12月25日(火)が締め切りなので、昨晩いろいろと考えていました。

なぜそんなことをブログに書くかというと、「締め切りを忘れないため」です。
原稿はいつもさっさと書いて何度も読み直すくちですが、こういう「選出」が入るものだと、やはり順位を何十回と考え直したうえで決めねばならず、結果、ぎりぎりまでかかるのでした。

この企画は毎年ご依頼がありますが、年々苦しむことになる。いわば「《ノルマ》を歌うマリア・カラスと《オテッロ》を歌うマリオ・デル・モナコにそれぞれ点数をつける」という、とても大変かつ、どう点数をつけても他人の賛意は得にくいことをやっているのです。

それは、M-1グランプリを審査する上沼恵美子や松本人志、オール巨人といった人々の苦しみにも似ているものなのです。

ただ、上のお三方のお笑い界における地位と、オペラ界における私の地位ではブラジルと日本ぐらい距離がありますが。

しかし、それでもやらねばならない。仕事として受けたのだし。こういうとき、サラリーマン生活で覚えたやり方を当て嵌めてみることになります。それは「無理にでも点数をつける」というもの。

例A:《ノルマ》に必要とされる、滑らかに、かつ、ゆっくりと歌わねばならない下降スケールの出来栄えが10点満点としたら何点なのか?

例B:《オテッロ》で不可避の、主人公の登場第一声の迫力を、10点満点で何点と見定めるか?

こんな感じです。

時々、「芸術に点数をつけるのはいかがなものか」という話が出てきます。確かに、人間一人ひとりに点数をつけるのも失礼な気がします。ただ、どうしてもやらねばならない場合がある。就職試験とか・・・酷い話です。

ただ、その一方でこうも思う。

「採点レベルに達している人なら、点数を付けられる悔しさを、次のステージへの駆動力に変えられる」。

ところで、上記の私自身の物差しというか、目線は、楽譜を通しての研究に加えて、大歌手たちへのインタヴューの機を得て、少しずつ形成されてきたものでもあるのです。

バリトンのルーチョ・ガッロのぎざぎざの山道をしっかり下りてゆくような見事な歌いぶりとか - 《ランスへの旅》の六重唱内のパッセージです - ご本人に感動したと伝えたら、それは喜んでくれたものです。素晴らしく磨かれた歌いぶりでした。楽譜を頭に入れておいた方が、歌手の自発性&解釈力がより掴めるのです。

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ヘルシンキとサンクトペテルブルクの海外鑑賞ツアー、12月25日まで締め切りを延長しています。

www.nippo-tourist.co.jp/kaigai-tour/helsinki_190224.html
一昨日にもブログに書きましたが、ヘルシンキの街と人々の美質は、私の感覚にもとてもよく合うもののようです。12月20日付の『素敵、フィンランド』のブログもご参照ください。

今回は、この鑑賞ツアーでマスネの歌劇《タイス》(オプショナル・ツアー/ヘルシンキにて)と、アダンのバレエ《ジゼル》(サンクトペテルブルク)を鑑賞しますが、サンクトペテルブルクでは、マリインスキー劇場内の3ホールで、ほかにもたくさんオペラやバレエのオプショナル・ツアーを組むことが可能です。ショスタコーヴィチの《ムツェンスク郡のマクベス夫人》はロシアならではのオペラですが、ベッリーニの《海賊》まであって驚き。後、エルミタージュ美術館を半日じっくり眺めたり、ロシアの大作曲家たちの墓参も行います(墓所の一角に纏まってたくさん眠っているのです。チャイコフスキーやムソルグスキーなど)。



北国の人々の温かいもてなしと、オペラ最先端の街の一つでもあるヘルシンキとサンクトペテルブルクの上演水準をぜひ味わってみてください。往復とも、定時運航に定評あるフィンランド航空で向かいます。