隣席に知り合いの方が来られても、あまり口を開かなかったりします。ただ、お世話になったことがある相手だと、ご質問には普通にお答えします。

でも、実のところ、あまり声が出ないのでした。いったん、客席に座ってしまうと、そこから先は「ひたすら観る、ただ聴く」のみという感覚になり、身体も心も変質してしまいます。

どうも、そういう気質なのです。

なかなか理解して貰えず、時には申し訳なく思ったりもします。面識ある方がこちらが気付くまでずっと待っていてくださったりするときなど。

ただ、講演会でお馴染みの皆さんは、私のそういう姿勢をよく理解してくださっているので、何かあって話しかけてこられる時にはきびきびと話してくださり、無駄がありません。ご挨拶からひと言二言の短いやり取りであっても、お互いに十分意思の疎通が成り立つのでした。

ところで、客席では集中して観ているほうが勿論良いわけですが、ついウトウトしてしまっても、目がぱっと覚めた時に案外重要な場面をやっていたりしますから、気にしないほうが良いと思います。

オペラは長い。2時間も3時間もかかるから、全部記憶にとどめようとするよりも「どこかを記憶に残す」ぐらいの感覚でいてくださったほうが、結果として良いものになるようですよ。

「記憶に残す、そして解釈する」です。観劇されたなら、自分なりの解釈を積み重ねてください。


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オペラとバレエの海外鑑賞ツアーのお知らせです。2月下旬から3月にかけて、美食の街でありムーミンが世に出たヘルシンキでマスネの《タイス》(オプショナルツアー)、世界のどこにもない、各国の建築様式が入り混じる「幻想の人工都市」サンクトペテルブルクでアダンのバレエ《ジゼル》を観劇します。

宇宙語のような不思議な言葉を話すフィンランド語話者の人々、突然作られた水と運河の人工都市サンクトペテルブルクの不思議な空気、そしてその土地ならではの美味しい食べ物など、オペラやバレエにまだ馴染みがない方でも十分に愉しんで頂けるでしょう。日程に余裕を持たせたので、エルミタージュ美術館など一日がかりでじっくりご覧いただけます。

フィンランドのお守り兼装飾品のヒンメリです。



オペラに関することなら道中何でもご質問にお答えしますから、遠慮なく仰ってみて下さい。バレエも知っている限り答えます。そのほかの話題は、皆さんが得意とされているものを、私が逆にいろいろとお訊きしてみたいものです。それがこういう旅の良さですね。

ご興味おありの方は、日放ツーリストのホームページをご覧ください。ロシアのヴィザ取得の関係で、締め切り日を早めに設定していますが、担当さん曰く、12月20日辺りまでお待ちできそうとのことでした。
http://www.nippo-tourist.co.jp/kaigai-tour/helsinki_190224.html