毎年、音楽雑誌さんから「コンサートベスト10」の依頼があり、昨晩もその仕事をやっていたのですが・・・

「演奏回数をお書きください。非公開でも構いません」

とのことなので、このところ毎年、非公開にしています。
単に手帳に書いてある回数を足し算すればよいだけなのですが、それでも止めておこうと感じています。

というのも、オペラについて評するとなると、楽譜を読む時間が相当に要るからです。オペラは2時間以上かかるものが一般的であり、日本の劇場やホールで読譜のための席が用意されているわけでもなく、また、公演中よりも事前に読むことのほうが重要でもあるので、毎日演奏会場に足しげく通っていたら、時間的にそれができなくなる。そのことを理解してほしいからなのでした。「それをしないのなら、仕事をやっている意味がない。生きる理由も失くしてしまう」のです。

そういえば、つい先日も、ワーグナーの《タンホイザー》の演奏例で楽譜と合わない箇所が出てきて???となりました。

「なんか、相当に込み入っているな・・・」と思ったのです。結果、分かったのは、同種のメロディを2回繰り返す箇所において、最初のパッセージと2回目とでは調性が異なるのですが、その演奏例は、2回目のパッセージに1回目の歌詞を乗っけるかたちで歌われていたのでした。つまり、1回目のパッセージをカットしているが、歌詞は2回目のものではなく1回目を当て嵌めているというややこしい処置。歌い手さんの喉の負担を減らしたかったのかな・・・

そういうことは、やはり楽譜に目を通さないと分かり辛いのでした。また、そういうことに気づくにも結構な時間を要するのです。適当に読んでいると読み飛ばしもします。

というわけで、オペラ研究家が実演に赴く回数は、音楽評論家の方が実演に赴く回数とは開きがあるはずなのでした。そこを考えて、非公開です。



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オペラとバレエの海外鑑賞ツアーのお知らせです。2月下旬から3月にかけて、美食の街でありムーミンが世に出たヘルシンキでマスネの《タイス》(オプショナルツアー)、世界のどこにもない、各国の建築様式が入り混じる「幻想の人工都市」サンクトペテルブルクでアダンのバレエ《ジゼル》を観劇します。

宇宙語のような不思議な言葉を話すフィンランド語話者の人々、突然作られた水と運河の人工都市サンクトペテルブルクの不思議な空気、そしてその土地ならではの美味しい食べ物など、オペラやバレエにまだ馴染みがない方でも十分に愉しんで頂けるでしょう。日程に余裕を持たせたので、エルミタージュ美術館など一日がかりでじっくりご覧いただけます。

フィンランドのお守り兼装飾品のヒンメリです。

オペラに関することなら道中何でもご質問にお答えしますから、遠慮なく仰ってみて下さい。バレエも知っている限り答えます。そのほかの話題は、皆さんが得意とされているものを、私が逆にいろいろとお訊きしてみたいものです。それがこういう旅の良さですね。

ご興味おありの方は、日放ツーリストのホームページをご覧ください。ロシアのヴィザ取得の関係で、締め切り日を早めに設定していますが、担当さん曰く、12月20日辺りまでお待ちできそうとのことでした。
http://www.nippo-tourist.co.jp/kaigai-tour/helsinki_190224.html