この前、一般社団法人国際総合芸術研究会(WCARS)の運営委員会を拙宅で開いた際、運営委員になってくれた方の一人が、私の仕事部屋の天井近くを指さして、こう言いました。
(WCARSに関しては、https://wcars.or.jp/#page1 をご参照下さい。入会お待ちしています)

「あの紺色の背表紙の楽譜は、何なんでしょうか?なぜか気になる(!)」

それは、紺色の背表紙ではなく、ボロボロになった昔のスコアを紺色の製本テープで止めてあったものなのですが、取り出してきてびっくり。

私も、存在すら忘れていた一冊なのでした。


それは、プッチーニの大人気作、歌劇《ラ・ボエーム》のピアノ独奏用スコアでした。ピアノの腕自慢の人が、人気のオペラをピアノ1台で演奏してみようというためのもの。なので、「歌要らずの楽譜」なのです。こんな特別なスコアが出るぐらいだから、《ラ・ボエーム》がいかにヒットしたかということがよく分かります。ちなみに、この特別楽譜はプッチーニ自身の肝いりなのだとか。中表紙にその旨が謳ってありました。


このページは、第2幕の有名な〈ムゼッタのワルツ〉のくだり。歌詞が欄外に、参考程度にタイプされてはいるものの、楽譜の音符自体は、歌のメロディと伴奏部をピアノ1台で出来る限り再現しようという形になっていることが読み取れます。

実は、この月末、《ラ・ボエーム》に関する大変大きな仕事があり、いろいろ準備をしていたのですが、この楽譜のことは頭からすっぽ抜けていました。原作の小説と芝居を読み直したり、普通のフルスコアとヴォーカル・スコアを再確認したりといろいろやっていたのですが、この「3番目の楽譜」についてはすっかり忘れていました。

プッチーニ自身が「忘れるな!」と言ってくれたような気もするので、こうやってブログにも取り上げることにしました。




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