新宿で遅くまで用事がかかってしまい、終電にすら乗り遅れる・・・思わず「すら」と書いてしまいましたが、京王線も小田急線も零時50分過ぎまで終電があるというのに!

歩いて帰ろうかな…久しぶりに…と思いながらさっさと歩きだしたところ、最近よく見かける、新しい形のタクシーが信号待ちをしていました。

「この車両って、身体障碍者の人優先なのかな?」

以前から勝手にそう思っていたので、実際に乗せて貰って、運転手さんに話を訊いてみました。


「この車両は、トヨタの『ジャパン・タクシー』という新型モデルなんです。うちの会社は都内最大手(国際自動車株式会社)なので、業界で先鞭をつけるという意味合いもあってか、これまでのクラウンから、いまどんどんこの車両に切り替えていまして、オリンピックの年までには100%完全移行の予定なんですよ」

「この車、天井が高いですね」

「そうでしょう。外国のお客さんも乗りやすいし、大柄な方はもうこの車体を選んで乗られますね。それに、車椅子の方も乗れるんですよ。あと、床の中央の出っ張りもなくなってフラットだから荷物が置きやすいし、後部座席の方に三人乗りされても真ん中のお客さんも座りやすいんです。スーツケースも大型のが2個積めますからね」

「視界も効きそうですね」

「はい、見やすいですよ。関西圏なんかはまだこれからのようですが、東京と名古屋はいまどんどん切り替わっていますね・・・一つ今後の改善点は、車椅子を載せる場合、座席を倒して、車椅子を載せる台を置いて、それからお載せしてバンドで固定して・・・という一連の作業が長いと15分かかるんですよ。道が混んでいるときや大雨の時に、道路端でそういう作業が15分かけて出来るかどうかっていうのが、判断が難しかったりしますね。無線で呼んでくださって、最初から車椅子だよということをお伝え頂ければ、我々も座席を倒すなど準備してから迎えますが、流しの場合に渋滞の道端で車椅子の方を拾えるかどうかっていうのが・・・」

それは確かにそう。でも、そういう問題点も一つずつ、解決してゆかねばならないことです。自動車メーカーやタクシー会社だけでなく、社会全体が意識を向けることが必要ではないかと。

私は、アメリカで免許を取って日本では一度も運転したことがないので、車の事情については本当に疎いのですが、こうやって運転手さんから詳しく教えて貰うと、視野も広がるし注意力も増すというか。

電車でも、車椅子の人が利用するたびに、駅員さんが乗降板というのか、いちいち引く作業をされていますが、あれが、そうしなくても車椅子がすっと乗れるようになればいいなと、ずっと願っています。

そういえば、私がロサンゼルスで市営バスに乗る機会があった時、暫く座っていたら、女性の運転手さんからいきなり「お客さん、立って!」と言われて???となったことを思い出しました。私が座っていたのは車椅子用のスペースにある席。運転手さんは私が立った後の座席を倒して、中央の扉から車椅子の乗客を迎え入れ、バンドで固定してから走り出していました。

ただ、その時は、板を敷く手間もかけていなかったようだし(乗降口から自動で乗降板が出てきたような覚えが)、バンドで固定する作業等を入れても、運転手さんは5分ぐらいしかかけていなかったように思う。バスの方が乗降口も天井もより広く高いからやりやすいのか?

「手伝えるものなら手伝いたいぐらい」と感じたことを思い出しました。手伝って良いのなら。1998年の夏の思い出です。

日本でも、例えばそういう補助作業を、中学の授業などでやり方を全員が習って、車椅子の乗車方法だけでなく、目の見えない人や耳の聞こえない人を誘導する方法など把握できればいいのにとも思いました。ま、青少年だけでなく、還暦を迎えた辺りの世代にそういう研修があっても良いのではないかと思います。

どんな作業や所作でも、スマートにやれば美しいと思う。


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