20年前以上前の話。
ある廃病院に友達5人で行った。

そこは精神病院の廃病棟。

そこには「開かずの間」と呼ばれる大きな鉄の扉に格子が付いた個室があった。

勿論僕ら5人が行った時も鉄の扉に格子がはまった部屋のうち1つが閉じたまま。
押しても引いても扉は開かない。

開かないので院内を一回りして帰ろうとしたところ、友人の1人がトイレに行くと言い1人で院内のトイレに入った。
そして、トイレを終えて出てきた友達を待って帰った。
地元に戻り解散し、帰宅後眠りについた。

翌日携帯に着信があったので折り返すと、前日廃病院に行った友達の家からだった。

「Aが帰ってこないんだけどお邪魔してますか?」

「いえ?昨日遊んで夜中に解散しましたよ。」

友人B.C.Dにも同じ連絡があったようだ。

心当たりといえば廃病院。
最後にAがトイレに行ったことが妙に気になった。
しかし、Aも車に乗せて帰っている。

そんな筈はないのだが、僕らは再度廃病院に行くことにした。

廃病院に着いてトイレを見るが…いない。

院内を探索し開かずの間の前を通った時、「おーい!おーい!」と声が聞こえた。
扉を見ると格子越しにAの顔があった。

救出を試みようとしたが扉は開かない。
結果、消防を呼んで救出。

そのままAは病院へ運ばれた。

Aが何故開かずの間にいたのか?
僕たちと帰ったAはAだったのか?
それともAは解散してから廃病院に戻ったのか知る術はない。
何故ならAは病院に運ばれた後精神病院に入院してしまったから。