こんにちは、三輪晃示(みわこうじ)です。
ぼくは、ロゴマークや名刺をはじめとする、グラフィックデザインの仕事をしていますが、そのまわりにあるものについて、お話したいと思います。

神奈川県立近代美術館鎌倉、通称カマキンの前です。
前ですが、すぐ目の前にあるのは展覧会の告知の看板です。1951年の開館当時に、カマキンを撮影したものです。
看板ではない実物のカマキンは、その奥、右端からのぞいています。このとおりの建物です。当たり前ですね。
写真に撮ると実物も平面になってしまうことと、木の葉や枝が看板のものと連続して見えることもあり、だまし絵のようです。
あ、あの、だまし絵は、偽札とかレプリカとかではありません。まあ、社会的には知名度もある、こちらが本家かもしれませんが。
分家のだまし絵はというと、フランス語の目をだます、錯覚を起こさせるという意味のトロンプ・ルイユがそれにあたります。また、これとは別にトリックアートともいいますね。
オランダの画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898 - 1972)は、遠近法を生かして、実際に立体にすると、実現不可能な図形や建築物や風景を多く描きました。
www.mcescher.com
イタリアの画家、ジュゼッペ・アルチンボルド(1527 - 1593)は、果物、野菜、動植物、本などを組み合わせて肖像画を描きました。
江戸時代の浮世絵師、歌川国芳(1797 - 1861)にも、人体を組み合わせて描いた肖像画や、猫を組み合わせて描いた文字があります。
これらは、寄せ絵、はめ絵と呼ばれています。
国芳の浮世絵は、今なら、渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで、6月5日まで、「ボストン美術館蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」で鑑賞することができます。
ほかには、デンマークの心理学者、エドガー・ルビン(1886 - 1951)が考案したルビンの壺があります。
くびれのある壺の、両脇の空間に注目すると、ふたりの向き合った顔が現れる、というものです。
本来図である壺を地(背景)としてとらえると、これまで地(背景)であった空間が図として現れ、くびれが鼻になり顔に見えてくるのです。
グラフィックデザイナーの福田繁雄(1932 - 2009)が、エッシャーやルビンの壺をなどをもとにした、すぐれたグラフィックアートを数多く残しています。
国芳は、もう30年ほど前に、福田さんに教えてもらいました。何のことだか分かりませんでしたが、緊張気味に返事をしました。
「クニヨシを見なさい」「はい・・・」
それで、カマキンの看板に近い、だまし絵はないかと探してみました。
ベルギーの画家、ルネ・マグリット(1898 - 1967)の描いた、「美しい虜」でしょうか?
屋外に建てられたイーゼルに、本来イーゼルで隠れて見えない風景が、そのまま描かれている・・・かのような作品です。
(神奈川県鎌倉市)





