厚生労働省は5日、2023年の合計特殊出生率が前年から0・06ポイント下がり、1・20だったと発表した。記録のある1947年以降の最低を更新した。都道府県別の合計特殊出生率で最も低いのは東京都の0・99である。

 

厚労省の担当者は「経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなどさまざまな要因が絡み合って少子化につながっているのではないか」と推察した。

 

漫画家の瀧波ユカリさんは「子育て政策の誠実さをこの国からはずっと感じられないでいます」と指摘しているが、この厚労省の他人事のような分析など正にそれを裏付けるものである。

 

過去の政策を見ても本気で子供を増やそうとしているとは思えない。民主党政権下で2010年に子ども手当が創設されたが、それと引き換えに年少扶養控除が廃止され、その後、自民党政権下で結局子ども手当も廃止された。

 

民主党がパフォーマンスの為ではなく本気で子供を増やすつもりなら、年少扶養控除の廃止などしなかったはずである。また、自民党も民主党政権時の政策だからと子供手当を廃止する必要はなかった。

 

今回も異次元の少子化対策を掲げ、目玉として児童手当の拡充などを掲げている。しかし、一方で子育て世帯にも影響の大きい支援金の健康保険からの徴収を予定しており、これから結婚し子供を産もうとする世代にとってはマイナスである。

 

その他の内容についても異次元どころか代わり映えのしないものばかりであり、とても本気で少子化の解消をしようとしているとは思えない。

 

子どもを産んでも安心して生きていけるのだというメッセージを、政府は網羅的な政策という形で発信すべきであり、これができない限り日本の少子化が解消されることはないだろう。

 

東京の合計特殊出生率が圧倒的に低いにもかかわらず、政府は依然として東京に投資しそこに人口を集める政策を行っている。これでは少子化を進めているようなものである。

 

東京一極集中は地震リスクを高めることでもあり、政府はまず少子化対策としてもリスク回避の為にも東京への投資を減らし地方への投資を増やす政策をとるべきだろう。