2022 6月定例会~一般質問 | 福岡県議会議員 「走る、弁護士!」 堀 大助

・6月定例会(6/3-21)


■令和4年度補正予算【1次補正】(133億)【2次補正】(0.9億)
■条例議案9件
■人事議案1件(監査委員)
■議員提案条例案(議会関係ハラスメント根絶条例)
など、29議案を可決・同意。
 また、「食料安全保障の強化を求める意見書」など5意見書を可決。 



・一般質問要旨


●サイクルツーリズム促進

Q
①本県の推進するサイクルツーリズムについて。本年2月議会で可決された「福岡県総合計画」及び「福岡県交通ビジョン2022」の部門計画「第2次福岡県自転車活用推進計画」にも、サイクルツーリズムの促進が引続き盛り込まれている。そこで、第1次計画の成果と、第2次計画の特徴、進化した部分、新たに取組む政策などについて伺う。


②北九州・京築ルート。本県でも広域サイクリングルートを設定。そのうちの一つに、私の地元行橋も含まれる北九州・京築ルートが。まず同ルートの特徴・長所や、サイクルツーリズム促進のための課題、そして課題にどう取組んでいくのか伺う。
 併せて、同ルートは大分県との県境付近まであるが、山国川を渡って大分側にも中津城や耶馬渓など、魅力的な場所は沢山。サイクリストは県境を意識せずにサイクリングを楽しみたい。また、大分県とは「九州・山口サイクルツーリズム推進委員会」で連携し、ツールド九州も一緒に進めていくパートナー。県境を越えた広域ルート「九州山口サイクルマップ」もあるので、利用者目線で広域連携に取組んで頂きたい。


③地元行橋のサイクリングスポット、平尾台について。平尾台は、日本三大カルストにも数えられる景勝地で、国の天然記念物にも指定。眺望も素晴らしく気持ちのいい場所。サイクリストにとっても、登りを楽しむヒルクライムの好スポットとして知られている。私も現地調査を兼ねて、ゴールデンウィークに自転車で登ってきた。登りのきつさと登り切った後の爽快感は格別。県として、もっとPRしてサイクルツーリズム促進に活用すべきだが見解を。併せて、来年に迫ったツールド九州2023に関連し、サイクリング周遊型旅行商品を造成する取組「ディスカバー九州」が展開される。この「ディスカバー九州」のルートに組み込むなど、旅行商品として平尾台も活用すべき。


④平尾台でのサイクリング環境整備。行橋市側からの県道直方行橋線には、暴走行為対策として路上に「ハンプ」と呼ばれる凸(とつ)状の舗装や、「ゼブラ状の滑り止め舗装」などが施工(北九州市側からの道路に「ハンプ」はない)。特に「ハンプ」がサイクリストにとっては障害。快適な走行の妨げとなる。ハンドルをとられて転倒の危険も。速度抑制の意味は理解するが、自転車の場合非常に危険。今後、走行空間である道路を管理していく上で、車やバイクだけでなく、自転車の視点も必要。県がサイクルツーリズムを促進するのであれば、サイクリストの目線でも良好な走行環境を確保すべき。

A
①第1次福岡県自転車活用推進計画の成果と第2次計画の取組。第1次計画では、サイクルツーリズムを新たな体験型観光と位置づけ、市町村や民間事業者と連携し、広域サイクリングルートの設定やサイクリストの受入環境整備などに取り組んできた。その結果、遠賀川や玄界灘に面した「直方・宗像・志賀島ルート」や、海辺から英彦山まで駆け上がる「豊前・東峰ルート」など、地域の多様な特色を楽しむことができる10の広域ルートを設定。また、サイクルスタンドを備えた飲食店などを「サイクルステーション」として320箇所認定するなど、受入環境整備を進めるとともに、これらの情報を県のウェブサイトやSNSで発信。
 第2次計画では、こうした成果を踏まえ、国内外からサイクリストを呼び込むための旅行商品の造成に取り組む。また、九州・山口各県や経済界と連携して設定した「九州・沖縄・山口一周ルート」を、我が国を代表するルートとして国が指定する「ナショナルサイクルルート」とすることを目指し、①客室内等に自転車保管場所を備えた「サイクリストに優しい宿」や、②レンタサイクル等を備えた「サイクリング拠点」の整備など、受入環境のさらなる充実に取り組む。


②「北九州・京築ルート」の特徴と課題。「北九州・京築ルート」は、門司港から大分県境の山国川を結ぶ全長約92kmのルート。門司港レトロ地区・北九州空港連絡橋・今川サイクリングロードなど、多様な「景色」と、豊前海一粒かきなど「旬の食」が大きな特徴。その一方で、①サイクリストに優しい宿などの受入環境の整備、②本ルートの更なる魅力向上といった課題が。
 このため、沿線市町村や観光協会と連携し、受入環境の整備を進めるとともに、地域の観光スポットを組み込んだ周辺ルートを開発し、本ルートにつなぐことで、サイクリストが走りたくなるルートづくりに取り組む。また、「北九州・京築ルート」は大分県の耶馬渓など魅力あるルートとつながっていることを発信するとともに、大分県と協議し、県域を跨いだルートの情報を相互に発信する。令和6年度春には、大分県とともに、国内最大の観光キャンペーン「JRデスティネーションキャンペーン」を開催。このキャンペーンを活用し、広域サイクリングルートの魅力発信にしっかり取り組んでまいる。


③平尾台の魅力発信と旅行商品への活用。雄大でなだらかなカルスト台地の草原やヒルクライムを楽しめる峠道など、様々な表情が魅力のサイクリストに人気のエリア。ウェブサイトや広報誌でもPR。加えて、今後はSNSを中心に、サイクリストをターゲットにした戦略的なPRを展開し、平尾台の魅力をしっかりと情報発信してまいる。また平尾台は、国内にとどまらず、海外のサイクリストを惹きつけるのに十分な魅力があり、サイクリング周遊型旅行商品を造成する取組である「ディスカバー九州」においても有望な候補地。県としては、「ディスカバー九州」に組み込むことを目指すとともに、旅行会社向けの素材説明会等を通し、旅行商品に取り入れられるよう魅力を積極的にPRしてまいる。


④サイクリストの目線での良好な走行環境の確保。サイクリストの走行環境において必要なことは、主に、安全で快適な通行空間の確保と、分かりやすい案内表示。県では、日常の定期的な道路巡視において、段差の補修や落下物等の撤去など、速やかな対応を行うとともに、必要に応じて、除草や路肩清掃も実施。また、傷みが激しい舗装については抜本的な補修工事を実施するなど、適切な管理に努めている。特に、広域サイクリングルートについては、日常管理に加え、一昨年度から順次、自転車の通行位置を示す路面表示や案内看板等の整備も実施。今後とも、サイクリストが安全で快適に走行できるよう、良好な走行環境の確保に努めてまいる。



●代表質問ピックアップ 

■マスク着用の考え方の広報等
 マスクの着用は、基本的感染防止対策として引き続き重要。そのうえで、県民の皆様が、必要がない場面で人の目を気にしてマスクを外すことを躊躇しなくていいよう、また、熱中症にかからないためにも、マスク着用の考え方について、SNSや県の広報媒体を活用して広報・啓発してまいる。


■物価高騰による県民生活や経済活動への影響
 日本銀行が発表した4月の国内企業物価指数によると、石油・石炭製品が前年同月比30%を超える等幅広い分野で上昇し、全体でも10%増と、41年ぶりに2桁の伸び。一方、「企業短期経済観測調査」等によると、全国、九州いずれにおいても、原材料価格の販売価格への転嫁が進んでおらず、農林水産業や製造業をはじめ様々な分野の事業者において、経営への影響が及んでいる。
 総務省が発表した4月の消費者物価指数を見ると、全国で前年同月比2.1%の増、九州で1.8%増となるが、そのうち、食料では全国で4.0%増、九州で3.4%増、光熱水費は全国で15.7%増、九州で10.3%増と、生活に不可欠な商品・サービスの価格が上昇。総務省の家計調査等から、2人以上世帯の負担増を試算すると、4月時点で、コロナ前の令和元年より、全国で年4万9,000円程度、九州で3万6,000円程度の増。県民の皆様、特に生活困窮者の皆様の負担感が増してきている。今後も企業物価、消費者物価の上昇が続けば、企業活動や民間消費を下押しする等の影響が出てくることが懸念される。
6月補正予算として78億円を計上し、早期議決いただいた。今後速やかにこれを実施し、影響を受ける方々に必要な支援を届けてまいる。


■児童虐待防止に係る「福岡ルール」
 乳幼児健診の未受診が続く場合や、要保護児童対策地域協議会の進行管理台帳に虐待事案として登録されている子どもの安全が確認できない場合、市町村が児童相談所に援助や助言を求めること、それでも安否確認できない場合、児童相談所に通告することを条例に定め、「福岡ルール」として取り組んでいる。昨年5月から運用を開始、援助助言はこれまでに22件、うち通告に至ったものは12件。
市町村から虐待通告があったものについては、児童相談所が家庭や親族宅への訪問、保護者への出頭要求などを行い、48時間以内に全ての子どもの安全を確認。その際、子どもの生活環境や発育状況、体に傷・あざがないかなどを確認し、定期的に健診や予防接種を受けること、学校に通学させることなど、必要な指導を保護者に行なった。


■雇用維持のための在籍型出向
 一昨年12月から、県、福岡労働局、産業雇用安定センター福岡事務所の三者で、県内企業に在籍型出向の仕組みや助成金について周知を行うとともに、県内4地域で今年5月末までに計70回の説明会を開催し、280社、330人の方に参加いただいた。こうした取組を通じて、産業雇用安定センターのあっせんにより実現した在籍型出向のマッチング件数は、44件257人。今後とも、在籍型出向の活用促進を図ってまいる。


■半導体不足
 デジタル社会・DX化の進展に伴い、急速に半導体需要が高まる中、世界的な半導体の供給不足が顕在化。県内製造業では、自社製品の生産に遅れが生じている、製品の仕様を変更せざるを得ない、といった状況も発生。「産業のコメ」と呼ばれる半導体の不足は、県内製造業に広く影響を及ぼしている。
 本県には、世界的なシェアを誇る半導体企業が立地しているほか、半導体人材を育成する大学や高専、工業高校、さらには半導体の高機能化で注目を集める「三次元半導体研究センター」などの研究開発支援機関が集積。今年2月、パワー半導体などのグリーンデバイスの拠点化を目指す「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会」を設立。さらに6月、1,000会員を超える産学官の連携組織「福岡県半導体・デジタル産業振興会議」を設立。今後、これらの組織を中核として半導体産業の拠点形成を図ってまいる。


■生産資材価格の上昇における農業者支援
 相次ぐ豪雨災害やコロナ禍の影響を受ける中、肥料価格が、昨年11月時点に比べて5割程度高騰。農業経営はさらに厳しい状況に。このため今回、補正予算を編成、早期議決いただいた。具体的にはまず、肥料の前年度からの価格上昇分の2分の1を助成。燃油や家畜飼料については、価格上昇分を補填する国のセーフティーネット制度を活用して支援。
 さらに、本県の食料供給体制を強化するため、①施設園芸では、長期的な省エネ化を推進するため、新たな技術に対応した機械・資材の導入、②畜産では、自給飼料の生産拡大に必要な収穫機などの導入、③水田農業では、輸入小麦に代わる米粉の利用拡大を図るため、新商品開発や販売拡大、といった、明日につながる取組を支援。
 こうした取組を確実に実施し、農業経営が安定し、生産継続が図られるよう、生産者に寄り添いながら支援してまいる。


■二級水系の「流域治水プロジェクト」
 52の二級水系について、流域全体で取り組む治水対策の全体像を示した「流域治水プロジェクト」を今年3月末に公表。3つの対策の柱で構成されており、①「河川の氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策」として、河川整備や下水道整備のほか、公園や水田に雨水を貯留・浸透させる取組など、②「被害を減少させるための対策」として、立地適正化計画の策定や見直しなど、③「被害の軽減や早期復旧・復興のための対策」として、ハザードマップの作成や、県民への防災意識の啓発など、関係機関が連携して取組むこととしている。
 出水期に向けた対策としては、河川の流れを阻害する樹木の伐採、河道掘削、堤防嵩上げや水田及び「ため池」の有効活用を行うとともに、ダムの事前放流の実施体制を整えるなど、関係機関において取り組めるものから順次実施。今後もプロジェクトに基づき、流域内のあらゆる関係者と一体となって流域治水を推進し、防災・減災・県土の強靭化に取り組んでまいる。