【書 名】Die Fluch des Bierzauberers
【仮邦題】ビールの魔術師の呪い
【著 者】ギュンター・テメス(Günther Thömmes)
【出版社】Gmeiner
【ページ】357ページ
【ISBN13】978-3839210741
【あらすじ】
1618年に勃発したカトリック教徒とプロテスタント教徒の諍いは、やがて宗教対立の枠を超えて神聖ローマ帝国全土を巻き込む大戦争になり、1648年、ヴェストファーレン条約(ウェストファリア条約)締結でようやく終息した。
30年の間には各地で激しい戦闘が繰り広げられたが、中でも1631年にドイツ北東部の都市に加えられた激しい攻撃は「マクデブルクの婚礼 」として知られている。このとき、マクデブルクでビール醸造所を営んでいたコルト・ハインリヒ・クノルは、妻も子も醸造所もすべて失ってしまった。命からがら逃げ出してたどり着いたビットブルクで再びビール醸造家として名をなすが、いまだ終わりの見えない戦争の中で平和な時は続かず……。
【作品について】
"Der Bierzauberer(ビールの魔術師)""Das Erbe des Bierzauberers(ビールの魔術師の遺産)"に続く、ビールの魔術師3部作の最終作である。これも前2作とのつながりはほとんどなく、単独の作品として十分楽しめる。
三十年戦争はドイツの人口の約3分の1が失われたと推計されるほど激しいもので、もちろん国土もすっかり荒廃してしまった。主人公のビール醸造家コルト・ハインリヒは、働き手も原材料も極端に不足する中で、中世の古いレシピを参考に造ったビールで難局を乗り切ろうとあがく。この場面は、さまざまな種類のハーブを使ったグルートビアからホップビアに収斂する過程を描いたシリーズ第2作『ビールの魔術師の遺産』の世界をさかのぼっているかのようだ。直接のつながりはないが、やはりできれば続けて読んだ方が味わいは深まるだろう。
本書にも、ビットブルクの住民が市の兵力を大きく見せかけてスウェーデン軍を撤退させたエピソードなど、歴史上の大小さまざまな出来事が盛り込まれている。ビールと歴史を愛する人にはお薦めのシリーズがとうとう終わってしまい、寂しさを覚えるところだ。
【著者について】
ギュンター・テメス(1963- )は、ドイツの中でもビールどころとして知られるビットブルク生まれ。同地でビール醸造の実務を覚え、ミュンヒェン工科大学ヴァイエンシュテファンキャンパスでも醸造業について学んだ。20年ほど前からビールをめぐって世界じゅうを訪ね、新聞や専門誌で論文を発表し、2005年にはビール百科事典を刊行した。2008年に本シリーズで小説家としてデビューし、高い評価を受けている。
【出来事へのリンク】