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癌治療。

 

私は、43の時に、癌が見つかりました。

 

極めて進行の早いたちの悪いタイプの癌でした。

分子標的治療をはじめにしましたが、もしも、これが効かなかったら、

余命は三か月と言われました。

 

さいわい、術前の分子標的治療の効果があり、大きな癌が消えそうなくらいに小さくなりました。

このまま手術をしたら癌の細胞が取れないので、腫瘍が消えてしまう前に、急いで手術をすることになりました。

 

癌の手術が終わると、すぐに検査がありました。

〜癌というのは色々種類があるので、皆おんなじではありませんが…。以下、私の場合…。

 

。。。。。。

 

 

癌を取り切れたかどうか画像診断をする。採取した細胞を見て、今後の治療方針を練る。

 

取り切れなかったら、再手術。

 

術後、身体中に散らばっているかもしれない、画像に映らない、まだしこりになっていない微細な癌を抗がん剤で治療していきます。抗がん剤、分子標的の抗がん剤、放射線、ホルモン治療、など…、選択肢を考えて将棋の駒ように、ああだったらこれ、こうだったらこれ、と、主治医が方針を出す。

 

この治療方針が、医師によって様々です。

扱った症例の多い、最新の薬を使う技術がある、所謂、「名医」とされる先生に出会えるか、は、とても大きな追い風になります。

 

癌の顔つきが悪い(悪性度が高い)場合は、治療はキツくなります。

 

抗がん剤に適応がない癌もある。

手術しか手立てがない癌。

反対に手術をしても叩けないタイプもある。

 

そして、術後一か月にすぐに転移があるかの検診がある。

そして三か月ごとに一年間、半年ごとに2年間、一年ごとに…。

 

再発すると予後が良くないとされる。

はっきりいうと、再発したら、復活は難しい。

 

私が、癌の治療で一番辛かったのが、実はその術後の検査だった。

 

 

 

 

 

 

検査の前の日は眠れない。

死刑宣告の前のようだった。

 

薄い皮一枚で命が繋がっているような感覚だった。

検診結果を聞く時、1時間も診察室から出てこない患者さんもいる。

 

転移、再発の、宣告だ。

 

「明日は我が身」と息を殺して時間が過ぎるのを待っている。

 

 

再発です、と言われたら、死刑宣告のような気がした。

 

 

 

ゆっくり育つ癌の種類ならば、10年、検査をする。

その間は、本当に生きた心地がしなかった。

 

 

 

 

私は、気持ちがもたなくて、5年で検診をやめた。

癌から離れたかったのだ。

 

その頃の私は、もう病院の点滴室の匂いがダメ、患者を呼び出す放送の声がダメ、階段の暗さがダメ…。

 

そのうち、病院方面にクルマで走るのも辛くなった。

 

 

こんな風に癌から解放されずに、生きるなら、いっそ検査をやめて『癌患者という立場』から離れてしまった方が精神衛生上良いのでは?と思って、検査をやめた。

 

 

 

 

 

癌の手術をした後、その検査で心が折れてしまうひともいる。

実際私も生きた心地がしなかった。

 

検査のたびに、不安がいっぱいな眠れぬ夜を過ごす。

検査が怖くて主人についてきてもらったこともあった。

 

 

でも癌患者はそんな生活を3年〜5年。癌の種類によっては10年再発がないかの検査をしなくてはいけない。

 

江戸時代ではないので手術が失敗するなんてことは稀。

抗がん剤治療や放射線治療の期間は気合いと根性で、頑張る。「これが終わったら…」という目標があるので頑張れる。

 

で、治療がひと通り終わり、ほっとした頃に、その術後の検査が延々と行われる。

 

それが一番辛かったかなぁ。

 

 

 

 

 

「治療後はなるべく明るく楽しく過ごしましょう」とか言われますが、こうして何年も、検査の結果を心配しながら、板一枚の下は地獄…みたいな生活をすることになります。

 

本当に癌患者がほっとするのは、癌宣告から、数年後、長いと10年後、寛解に、なってからです。

 

 

癌宣告をされた時に、「もう生きなくても良いのだ」などと思ったくせに、細い一本橋を渡るような治療を2年半して、その後には、「死にたくない」と命にしがみつくようになった自分。

 

良い気なもんである。

 

いやいや『死』というのは、生き物が本能的に恐れるものなのかもしれない。

訳もなく恐ろしかった。

 

闘病仲間で亡くなった方もたくさんいた。

 

抗がん剤治療中、癌友のお通夜に出席した。

幼い子供を残して亡くなったひともいる。

 

その様子を見ながらの再発の検査は辛かった。

 

『死の恐怖』を前にすると、人間は気合いと根性じゃ、どうにもならない。

 

終わりのないような、出口の見えないようなそんな辛さがありました。

 

 

 

それが癌の嫌なところでした。

 

 

 

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