少年時代、リンと共にケンシロウと旅をし、ケンシロウ、ユリアを見送る。
数年後、リンと北斗の軍を立ち上げ、ケンシロウと再会。
帝都編ではアイン達と天帝ルイを救出したり、修羅の国編ではリンとヒョウのピンチに駆けつけたりと立派な成長と活躍を見せた。
また、ラオウの愛馬である黒王号に乗った数少ない1人でもある。
悪ガキから北斗の軍のリーダーへ
バットは元々、孤児たちを育てるトヨの村で暮らしていたが、自分がいなくなれば他の子達の食料が増えると考え、一人村を出た。
そしてその後、コソ泥として捕らえられた牢獄でケンシロウ、リンと出会う。この出会いが、今後の彼の人生を大きく変えることとなった。
これまで世紀末民として過ごしていた彼にとって、ケンシロウという存在は衝撃だっただろう。
悪事を働いて当たり前の時代、暴力が支配する時代に、どう見ても敵いそうにない悪そうなモヒカンに怯むどころか、冷静に立ち向かう1人の男。
そして何やら効かなそうなパンチを浴びせたかと思ったら、人体爆破という初見トラウマ必須の拳であっさり倒してしまう1人の男。
そのせいで腰を抜かし小便をちびってしまったという淡い思い出。
少年ながら「こんな時代」と諦めていたバットの前に現れた1人の男は、無敵の暗殺拳・北斗神拳伝承者だったのだ。
一生ついて行くぜアニキ!案件である。
そうして共に旅を始めたバットは、シンを始め沢山の強敵たちとの闘い、凄絶な死を目の当たりにする。
特に一緒にいる期間が長かったレイの人柄やその生き様には大きな影響を受けたのではないだろうか。
実際最終章でマミヤに話していたように、レイが散々拘っていた愛する女の幸せをバットも同じように願うからこそ、あれほどまでの急成長を遂げ、男の顔になったのだ。
少年だった頃は、自分たちの代わりにケンシロウたちが血を流していると、悔しがったこともあった。
勿論バットなりに頑張り、ファインプレーだってあったがそれでも自分の無力さに嘆いたことは何度もあったはずだ。
そんな経験から、彼はケンシロウたちのように強くなると心に決め、やがてリンが幸せに生きれる時代を作ろうと奮起したのだろう。
ケンシロウのように哀しみを背負う強さ
レイのように愛する女の幸せを諦めない信念
シュウのように子供たちの未来を願う心
それらの意志を継ぐように、並々ならぬ努力をしたに違いない。
こんな事を言っていた少年が、
友を想いこんな事を言えるようになったのが何よりの証拠だ。
それもこれも全て、まだ幼い少年バットの心に刻まれたケンシロウの生き様がそうさせたのだと思うと、ケンシロウの「男の顔になったな」という言葉はバットにとってどんなに嬉しかったことだろう。
アニメ北斗の拳2でのバットの男泣きは、私の「泣けるシーン」のベスト3に入っている。
あかん泣きそう。
バットは何故秘孔を突けたのか
北斗神拳を学んでいないはずのバットが、秘孔を突きリンの記憶を奪った。
何故バットが秘孔を使えたのかについては明かされていないが、恐らく見て覚えたのだろう。
北斗神拳の秘孔術とは集中させた「気」を秘孔を通じて送り込む事であり、人体を破壊するにはそれ相応の「気」を必要とするが、治癒効果程度であればその技さえ覚えれば出来なくもない。
そしてその技とは、バランがラオウの北斗神拳を盗んだように見て覚えることが可能。
つまりバットはケンシロウの闘いを何度も見ているうちに、秘孔効果の仕組みを覚えたのだ。
実際バットは物語の後半にいくにつれ、ケンシロウの闘いの解説ができるほどになっていて、闘気の流れなんかも見えるようになってた。
とはいえ、闘いに使えるレベルの秘孔までを扱うとなると、それなりの修行は必要。先程も言ったように人体を破壊するには強い「気」を完璧に操り、鍛えられた拳で送り込まなければ失敗するからだ。
だからこそギリ使えたのが「記憶を消し去る」という秘孔。
ただ、いくら比較的簡単とはいえ、当時のバットにはバランのように北斗神拳を学ぶ気はなかったため、見続けただけで扱えるほどまでにはならない。
一子相伝の暗殺拳の秘技とされる秘孔術を、一般人がただ何年か見ていただけで「記憶を奪う」というまあまあ怖いことをやってのけれていいはずもない。
となるとやはりもう少し理解が必要だ。必要じゃなきゃいけない。簡単に出来ちゃダメ。
そこで考えられるのが、トキである。
トキは、ラオウとの兄弟対決に敗れた後、残る余生を北斗神拳を用いた治療で村人たちを救う医者として過ごしていた。
この時、バットとリンはトキと一緒にいて、診療をお手伝いしていたのだ。
そこできっとトキは、患者さんに向けてなのかバットとリンに向けてなのかはわからないが、秘孔の説明をしながら治療していたのだろう。
人体の破壊ではなく治癒となると、お手伝いしていた2人は間近でトキの北斗神拳をじっくり見ることとなる。
この頃既にバットには闘気が見え始めていた為、もしかしたら「気」の量や「気」を送り込む過程を理解し、708つある秘孔の位置すらも覚えていたのかもしれない。
アニメではバットはバギーを組みたてたり修理したりと器用(というか組み立てるは天才)な一面も描かれていたため、当時本人は覚えてどうこうなどという気持ちはなかったものの、まじまじと見てたら習得してしまったといった感じなのだろう。
バットに拳を教えたのは誰か
バットがケンシロウとの旅の中で拳の修行をする場面はなく、空白の数年の間もケンシロウとは一旦別れているのでケンシロウから何か教わったとは考えにくい。
となると、戦術などは成長するまでの間そばに居たリハクから教えてもらった可能性が高い。
ボウガンなどの武器の使い方、戦略なんかはまさに軍師リハクの教えだろう。
しかし時を超え、あることが判明した。
パチスロ北斗の拳 新伝説創造に登場する元斗皇拳のオグルという男が、バットの師であるという衝撃の事実。
さすがにこの記事を書く為にやめていたギャンブルを再開してオグルさんに挨拶に行く訳にもいかず、オグルについて調べてみたところ、
帝都を離れ旅をしていたところバットたちに出会う。自身の非力さを嘆き強くなりたいというバットに拳法や兵法を叩き込んだ。
その数年後、北斗の軍という組織の討伐命令を受け、軍のリーダーがバットと知りその成長ぶりに驚く。
お互い守るべきものの為に非情の戦いに臨むが、オグルは自軍の巨大な鉄の矢から身を挺してバットを守り絶命。
その理由についてオグルは、自分にとってバットは息子同然だと告げている。
と。
オグル、てめぇかっこよすぎるよ!!!
基本的に私は北斗の拳に関しては、アニオリ以外は原作のみで話を進めたいのだが、こういう軽く知っただけでも胸が熱くなるエピソードは無視できない。
個人的には、バットの拳法はケンシロウの北斗神拳の型を見よう見まねで身につけたものであって欲しい思いがあった。
あれだけ長い間旅をし、最強の拳を散々目の前で見てきたのだから、ケンシロウに対する憧れも含め、その背中を追い拳法を覚えたという説が理想だった。
だがこんなエピソードを知ると無視はできない、それはそれでいいやん!となる。
というわけで、バットの拳の師はオグルです。
あれ、オグルやっけ、オルグやっけ?
最終話にて全てが報われたバット
ラオウ昇天までしか興味がなく見ていない人、修羅の国(アニメ)でリタイアした人に言いたいことがある。
原作を最後まで読んでみてください。騙されたと思って。
いやわかるよ、私もリタイアした漫画はいくつかある。途中でわけのわからん展開になったり、推しが死んだりしてリタイアすることは私もある。
簡単に言うと内容がおもんなくなったから見なくなったってだけなんだけども。
確かに北斗の拳も、カイオウ死後の話は正直面白みに欠ける。
というかそれまでのストーリーやキャラが面白すぎたのだろう。
ライバル、親友、強敵、婚約者、偉大なる兄たち・・・南斗六聖拳、南斗五車星、元斗皇拳、北斗琉拳と、もう出せるもの全部出しちゃった感は確かにある。
しかし、一つだけまだ残っていたものがあったのだ。
それがバットの役割である。
バットにも何度か活躍の場面はあったが、ハッキリ言って大人になってからも他の主要キャラほどの強い印象は残せなかった。
要は、「主人公をボコボコにする強さ」もしくは「主人公のために犠牲となる」がなかったのだ。
目を疑うほどの成長ぶりではあるが、バットだけが唯一、大舞台でのスポットライトを浴びないまま最後まできた。
1話からずっと一緒にいるのに、相方にもなれない、強敵にもなれない、親友にもなれない。
そんなバットに与えられた役割が、「弟」である。
ケンシロウと関わってきた人物には、それぞれ役割がある。
- シン▶︎ライバル
- レイ▶︎親友
- シュウ▶︎恩人
- サウザー▶︎強敵
- ユリア▶︎恋人
- ジャギ▶︎因縁
- トキ▶︎尊敬
- ラオウ▶︎偉大
役割的なものがなかったキャラでも、山のフドウはケンシロウと同じ瞳でラオウを退けたり、シャチは命がけでケンシロウを守り抜いたりと、物語においての重役があった。
ジュウザに関してはケンシロウと直接会ったこともないが、あの強さ含めたかっこよさで強い印象を残している。
だが唯一欠けていたポジションが、「弟」なのだ。
ラオウ然り、ヒョウ然り、弟を想う兄としての想い、兄を慕う弟としての想いには必ず感動的なストーリーがある。
弟の為に流す涙、兄弟愛も北斗の拳では色濃く描かれてきた。
そんな中、ケンシロウにとってラオウ、トキは義兄であり、やはり2人の間には入りこめない壁があっただろう。
ヒョウという生き別れた実兄もいるが、ヒョウが死ぬ間際にかけよったのはケンシロウではなくカイオウ。あの場面は視点を変えて見ると切なくなってしまう。
そんなケンシロウにとって、唯一誰よりも自分を思い、慕い続けてくれたのが、バットである。
そしてケンシロウが守り続けたのも、バットである。
みんな死んだ、自分だけが生かされてきた。
それを受け入れるしかない宿命の中、哀しみを背負い強敵たちと生き、最強となったのだが、バットだけは守り抜いたケンシロウの行動はまさに兄のそのもの。
北斗神拳伝承者としてではなく、兄としての弟への想いがバットを生かしたのである。
これは、バットにとってもこれまで積み重ねてきた全てが報われる瞬間でもあった。
レイやファルコのようなポジションに立てなくても、ケンシロウにとって弟のような存在となり、男として認められたことはきっと、バットが何よりも望んでいた事だろう。
カイオウ死後はアニメ化もされず知らない人も多いように、人気はない。面白味に欠けると言われるのもわかる。
だが、バットとケンシロウでラストを締め括ったのにはさすがとしか言いようがない。
そんな完璧な最終話がこちら↓です。
実の兄同然に慕い続け、憧れてきたケンシロウの為に死ぬ覚悟まで決めたバットにとって、これ以上に嬉しい言葉も、これ以上の幸せもなかっただろうな。