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小玉真義(司法書士講師)のブログ

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こんばんは。

小玉です。


今日は、疑義のあった平成28年度本試験第30問についてお話します。


まずは、どんな内容だったか。以下で説明します。


平成28年第30問


(商法問題冒頭の注意書き)
第27問から第34問までの試験問題については,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして,解答してください。


(問題の内容)
第30問 大会社(清算株式会社を除く。)に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものは,幾つあるか。
エ 会社法上の公開会社であり,かつ,大会社である会計参与設置会社は,監査役会を置かなければならない。


<Aさんの解答>「これは“誤り”だ!指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社なら、監査役会を置くことができないからだ!」


Bさんの解答>「注意書きに、“定款に法令の規定と異なる別段の定めがない”とあるんだから、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社である旨の定めも無いはずだ!ここは原則通り答えて“正しい”が答えだ!」


<法務省の見解>Aさんが正しいです。


以上のように、この問題は、結論として、Aさんの解答を法務省が正しいとしました。


この箇所の解釈は、今後の本試験対策上、とても大切になるので、分析していきます。

(以下は、私見としてお読みください。)


まずは、以下の過去問を見て下さい。


平成27年第31問


(商法問題冒頭の注意書き)
第27問から第34問までの試験問題については,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして,解答してください。


(問題の内容)
教授: 会社法上の公開会社が解散するための手続は,どのようなものですか。なお,この会社は,監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社ではないものとします。


⇒(定款についての注意書きに加えて)監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く指示がある。


平成25年第31問


(商法問題冒頭の注意書き)
第27問から第34問までの試験問題については,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令と異なる別段の定めがないものとして,解答してください。


(問題の内容)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)である甲株式会社(以下「甲社」という。)の取締役Aが法令に違反する行為(以下「本件行為」という。)をし,これによって,著しい損害が生ずるおそれが甲社に発生した場合に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。


⇒(定款についての注意書きに加えて)委員会設置会社を除く指示がある。


近年の本試験である平成27年度と平成25年度の過去問では、「定款に法令の規定と異なる別段の定めがない」という文言とは別に、ちゃんと「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社(改正前は委員会設置会社)を除く指示」があるんです。


これに対し、平成28年度本試験では、


(商法問題冒頭の注意書き)
定款に法令の規定と異なる別段の定めがないという指示がある。


(問題の内容)
監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く指示がない。


というつくりになっています。


つまり、過去問分析上も、本問は、「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会を除く指示がないから、考慮して考える必要がある」ということになります。


つまり、これまでの本試験においても試験運営側は、先ほどの「Bさん」のような考え方を採っていなかったということが分かりますね。


ですから、今後の本試験対策としても、「定款に法令の規定と異なる別段の定めがない」という文言と、「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く指示があるかないか」は、分けて考える必要があります。


これは、平成29年度本試験で「合否を分ける1問」になる可能性がありますから、しっかりと押さえておいて下さい。


なお、似たように判断に迷う問題としては、以下の過去問があります。


平成25年第27問


(商法問題冒頭の注意書き)
第27問から第34問までの試験問題については,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令と異なる別段の定めがないものとして,解答してください。


(問題の内容)
株式会社(種類株式発行会社を除く。)の設立に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。


⇒(定款についての注意書きに加えて)種類株式発行会社を除く指示がある。


やはり、「定款に法令の規定と異なる別段の定めがない」という文言と、「種類株式発行会社であるかどうか」も、分けて考える必要があるということが分かります。

(つまり、「注意書きに、“定款に法令の規定と異なる別段の定めがない”とあるんだから、種類株式発行会社である旨の定めも無いはずだ!」という考え方はやめたほうがいいということです。)


このほか、種類株式と「定款に法令の規定と異なる別段の定めがない」という文言が絡む出題は、平成23年度の過去問にもあります。


平成23年


(商法問題冒頭の注意書き)
第27問から第34問までの試験問題については,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令と異なる別段の定めがないものとして,解答してください。


(問題の内容1)平成23年第30問
種類株式発行会社でない甲株式会社において,株主Aが200株,株主Bが180株,株主Cが100株,株主Dが40株,株主Eが20株をそれぞれ保有し,その他に株主が存しない場合における株主総会の決議に関する次のアからオまでの記述のうち,当該決議が可決されるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,いずれの株主総会の決議においても,議決権を行使することができる株主の全員が出席し,かつ,議決権の不統一行使はされていないものとする。


⇒(定款についての注意書きに加えて)種類株式発行会社を除く指示がある。


(問題の内容2)平成23年第33問
種類株式発行会社ではないA株式会社とB合同会社との間の吸収合併に関する次のアからオまでの記述のうち,吸収合併存続会社がA株式会社である場合とB合同会社である場合のいずれにも該当するものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,合併対価は,吸収合併存続会社がA株式会社である場合には,その株式とされ,吸収合併存続会社がB合同会社である場合には,その持分とされたものとする。また,各会社は合併の相手方の特別支配会社ではないものとして,解答すること。


⇒(定款についての注意書きに加えて)種類株式発行会社を除く指示がある。


以上となります。


この出題形式は、今後の本試験でも、出てくるんじゃないかなと思います。


しっかり押さえておくと、今後の本試験対策として非常に使える知識になります。


※弱点分析の方法③は、近日中にアップします。お読み下さっている方、お待たせしてすみません。かたつむり


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こんばんは。
小玉です。


今日は、手順②です。


手順①で、「自分の知識不足」と認定したものについては、「過去問知識の不足」だったのか、「過去問知識以外の知識の不足」だったのかを、明確に区別しておいてください。


どうしてこの作業が必要かと言いますと、


「過去問をやらない受験生はほとんどいないから,過去問知識を落とせば痛い失点となる。」


というのは、まず、当然のハナシとして、


実は、


「過去問を丁寧にやらない受験生が多い。」


「だから、過去問を隅々までしっかり勉強すれば、それだけで他の受験生に差を付けられる。」


というメリットもあるんです。


例えば、平成28年度本試験午前の部の第14問(共同抵当の計算問題)は、平成20年第16問と平成24年第14問の過去問知識が、ほぼそのまま焼き直しとして再出題されている問題です。


面倒くさがらずに、過去問を丁寧に分析して正確に押さえてさえおけば、平成28年度本試験の現場では所要時間1分もかからずに解ける問題です。


にもかかわらず、実際の本試験における受験生の正答率が50パーセント未満という結果になっています。


これは、明らかに「過去問を丁寧にやっていない受験生が多い」ということを示すデータです。


※念のため、この問題を失点してしまう他の要因(多くの受験生がひっかかるような、ひっかけ等があるか)を私のほうで検討してみましたが、それは見当たりません。記述イとウが、過去問そのままの肢だからです。


平成28年度本試験の内容を詳しく調べてみますと、


午前の部第14問と同様に、「正確な過去問知識があれば解けるのに、正答率が60パーセントを下回っている問題」が他にもありました。


午前の部では、このほか1問、午後の部では、4問ありました。

(もちろん、午後の部に関しては、時間不足等の要因があるので、一概に「過去問の勉強不足」とは言い切れません。一応のデータとして、ここで示しておきます。)


ということは、単純に計算すれば、「過去問を”丁寧に”やっていれば、他の受験生よりも6問も多く点数がもらえる」ことになります。


だから、自分の知識不足の原因が、「過去問知識の不足」なのか、「過去問以外の知識の不足」なのかを選別しておくことは、非常に重要な作業となります。


過去問知識が不足していた場合には、単純な勉強不足といえるので、対策はラクです。


来年まじめに過去問をやり込めば、この点は克服できます。


「どの程度丁寧に過去問をやり込めば、点数が取れるんだろう」という、勉強の程度については、平成28年度本試験を分析していれば自然と分かるようになります(試験委員が、問題文を通して、「平成29年度本試験対策として、この程度の勉強をやっておいてくれ!」と伝えてくれているのが、まさに平成28年度本試験問題です。)。


以上の作業は、(面倒な作業ですが、)来年の合否を決定付ける重要な作業だと思ってやってください。



ところで、毎年、本試験前に、以下のようなご質問をよく受けます。


受講生「先生!私は前回の模擬試験で、○○点取れました!このまま勉強を続けて行けば受かるでしょうか?」


小玉「う~ん。それはまだ分かりません。」


・・・どうして「分からない」のかというと、それだけでは判断材料として不十分だからです。


ただ、「受かりそうな人」の特徴は、ある程度分かります。


それは、


①模試の内容のうち、「これは過去問肢だな」、「これは過去問肢ではないな」という判別が出来ている人、


かつ、


②正答率が高い問題から順に点数を取っていて、落とした問題は、全て正答率40パーセント未満

という人


です。


毎年講師をやってきて(次回で7年目になります。)、経験上、こういう人は、実際に受かっている方が多いです。


なお、②について詳しくお話しますと、「模擬試験で〇〇点取れた!」という内容にも、「受かりやすい〇〇点」と、「受かりにくい〇〇点」とがあります。


例えば、正答率30パーセントの問題で稼いだ1問と、正答率80パーセントの問題で稼いだ1問とを同列に扱うのは、本試験対策として適当ではないからです。


もっと言うと、「正答率30パーセントの問題で稼いだ1問は、点数に換算しない。」という姿勢で自己採点する人は、本試験に受かりやすいと思います。


どうしてかと言うと、正答率30パーセント未満の問題で稼いだ1問は、「たまたま出来ただけ。」という可能性が非常に高いからです。


そうやって見ていくと、


単純に点数だけで判断して「模擬試験で32問取れた!」というよりも、「今回の模擬試験では、正答率が高いものから順に得点していって29問取れた!」という人のほうが、本試験に受かりやすい


ことが分かると思います。


以上となります。


だから、手順①で問題冊子に書き入れた「誤答に至るこの1箇所!」に、「これは過去問知識だ。」とか「これは過去問知識ではなく、条文知識だ。」等の書き込みをして行ってください。


おそらく、(過去問と平成28年度本試験を照らし合わせるという面倒な作業なので、)この作業が一番キツイと思います。


一番キツイ作業ですが、「一番実力に跳ね返ってくる作業」ですから、ぜひ丁寧にやってみて下さい。


以上が手順②です。 


また、次回③は1週間以内に更新する予定です。




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※個人的にお勧めの動画
司法書士 高橋欣也先生の実務家講演会
(単純に「この人スゴイ!」と思ったので、挙げてみました。)
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こんばんは。
小玉です。


もうすぐ7月も終わり,8月になります。


本試験後、ゆっくり休んでいた人も、そろそろ勉強を再スタートする時期だと思います。


今日は、受験時代に私がやっていた、「自分の弱点分析の方法」を書かせていただきます。


「予備校の講座に1年間通って、言われたとおりにやったけど、点数が取れなかった。」
「模擬試験では毎回高得点を取っていたのに、本試験には対応できなくて、点数が取れなかった。」
「思いつくだけやるべき勉強はやったのに、本試験には対応できなかった。」


という、「今後、何をやったらいいのか分からない!」という方を対象に書きます。


最初に、これから書く内容の結論を書きます。


要は、「自分でやるべきことを探して、それに従って勉強していく。」、「誰かに言われたことを鵜呑みにせず、自分のアタマで考えて勉強していく。」ということを、これから長々と書いていきます。


4週連続で更新しますので、勉強の合間にやってみて下さい。


まずは、手順①


予備校が出している平成28年度本試験の解説を手に入れます。
そして、今年の本試験の問題を見て、自分が間違えた問題をピックアップします。
間違えた問題をピックアップしたら、解説を見ながら、

「その問題を誤答するに至ってしまった、(試験中に自分がしてしまった)誤った判断1箇所」を特定します。


例えば、
「民法第○問目の肢ウの、この文言を読み落としてしまったからこの問題を間違えた!」
とか
「不動産登記法第○問目の肢エの、この知識が分からなかったから、この問題が解けなかった!」
とか
「民事訴訟法第○問目の肢イをちゃんと読んでいればこの問題が解けたのに、他の選択肢で無理矢理判断してしまって間違えた!」
とか・・・

この点は人それぞれだと思います。


とにかく、


「誤答に至るこの1箇所!」というポイントを、自分が間違えた問題から見つけ出して下さい。


この作業をする時点で一番注意すべきことは、
自分の頭をフルに使って、「知識以外の方法で、どうにかしてこの問題を解くことはできないかな?」と、間違えた問題について、知識以外で解ける糸口を探してみることです。


そして、
知識以外で解答の糸口が見つけられない、どうしようもないものだけ、「自分の知識不足」と認定して下さい。


つまり、


まずは、知識以外で粘って解くための分析をして下さい。


自分の間違えた部分すべてについて「自分の知識不足」を原因としてしまうなら、単純に「覚えてなかったから解けなかった」ということになります。
しかし、本試験では「知識以外の箇所で失点する」という問題が出題されます。


本試験過去問を検討していると、「内容的に非常に難しい問題なのに(自分にとっては難しいのに)、なぜか受験生の正答率が高い(他人にとっては易しい)」という問題がありますね。これはまさに、「知識以外の箇所」で差が付いている問題です。例えば、“一般常識で解く”とか“文脈で解く”とか“基本知識を応用して現場で考えて解く”ような問題がこれに当たります。


具体例を挙げますと、平成28年午前の部、憲法第2問(「主権」の意味)はこれに当たります。この問題について、今後、「主権の意味をしっかり覚えなきゃ!」という方向性で勉強して行っても、おそらく本試験の点数に直結しません。
この問題は、「本試験の現場でしっかり時間をかけて、粘って解く」という方法で対応すべき問題です(私の私見です。)。


まずは、「自分がどうやって間違えたのか」、「間違いの原因となった1箇所」を各問題から探し出し、「誤答に至るこの1箇所!」というポイントを、お手持ちの平成28年度本試験の問題冊子に書き入れてしまって下さい。


丁寧にやらないと意味がないので、「来年合格するための作戦を練る」という重要な作業だと思って丁寧にやって下さい。


ここまでが手順①です。


手順②については、次回の記事でお話しますので、まずはひたすらこの作業をやって下さい。


※次回記事は、1週間以内に更新致します。