歌仲間に誘われてエントリーした、すみだ5000人の第九は、叔母の一周忌と重なったために残念ながら欠席することとしました。
国技館で歌うとどんな感じになるのか楽しみにしていましたが、まあ優しかった叔母のためなら致し方ないというところでしょう。
本番は歌わないけれど、先日出てみたらとっても面白かった大友先生が指導してくれる、いわゆるマエストロ練をもう一度出席してすみだの第九を卒業することに。
会場は錦糸町にあるすみだトリフォニーホール。
そこに向かって総武線に乗っているときにふと思いついてしまったんです。
あっ、久しぶりに両国の立ち蕎麦『文殊』に行きたいと。
その気持ちは止められずに途中下車。
お気に入りの春菊天蕎麦をオーダー。
やっぱり美味い。
出汁も蕎麦も天ぷらほ美味い。
気持ちがほっこりしたところでトリフォニーホールへ。
会場はほぼ満席となりましたが、私は先に行っていたKさんが取っておいてくれた、前から5列目のほぼ中央の良席に座ることが出来ました。
これで名マエストロの指導をかぶりつきで受けることが出来ます。
ズルいと言われそうですが、なにしろこの日ですみだの第九とはお別れなのですから勘弁してくださいね。
今回も発声練習の先生も面白い。
ただの声出しではありません。
全ての発声は第九に繋がっているのです。
発声担当の先生から、1秒も無駄にしないという気構えを感じます。
みんなを温めたところで、いよいよマエストロの登場です。
しかし、この日の先生は前回とは違っていました。
前は褒めて伸ばす。
だけど、こことここは的な優しい指導でした。
この日は、導入からいささか厳しい。
やはり本番が近づいてくるにつれて、先生としても思うところがあるのかもしれません。
じーっと聴き、歌い方やテンポなどを導くところまではいい。
その先、
「何人かの方が音がズレています。
これだけの人数がいます。
ここは出ない、ここは自信がないという方は歌わないでいただきたい」と。
言い方は紳士的、でも結構なことをおっしゃっています。
でもね、先生、もしかすると自分もそうかもしれませんが、音痴なひとは自分がズレていると思っていないから音痴なのではないですか?
そう思っていたら、今度は、言葉をゆっくり選びながら、
「もし、近くに明らかにズレているなあと思われる方がいたら、人間関係を壊さない程度にその方にちょっと声をかけて…」
とまで言い出しました。
これは苦笑せざるを得ません。
先生、それは言えませんって。
あるいは、それは言われたらショックですって。
文字にしてしまうと、ちょっとそれはなあと聞こえるかもしれませんが、逆に言えばなんとしてでもいい演奏をするんだという気合いみたいなものを感じて、むしろ凄みみたいなものも感じていたんですよね。
そんな真剣な練習のアフターは、庶民のもつ焼き屋の名店である『加賀屋』で。
そうか、加賀なんですよね。
被災した方々に1日も早く安心出来る日が戻って来ますように。
それにしても迫力ある最後の第九練習でした。