なんでこんな素晴らしい噺家さんを呼ぶことが出来るんですか?
何度も何度も訊かれたはずです。
それだけ豪華なメンバーがこの会社に来てくれていました。
基本的に、会社の福利厚生を目的として開催され続けてきた落語会は、もう34回目を迎えたとのこと。
立派です。
落語会と銘打たれていますが、今回は落語だけではなく浪曲師さんも呼んでくれています。
鯉八さんの新作落語は、正直イマイチでした。
そもそも私は、新作が苦手なので…
さて玉川太福さんです。
この人は、浪曲という芸能を復活させた救世主というひとがいます。
講談で言えば、神田伯山師のような方と言っていいのかもしれません。
私も何度か聴いていますが、馴染みのない浪曲というものを本当にわかりやすく伝えてくださっている感じがして、とても好感を持って聴かせていただいた記憶があります。
それに、この人のことを無条件に認めてしまうのには、もうひとつ理由があります。
玉川太福さん、新潟高校そして千葉大学でラグビーをやっていた人なのです。
ラグビー人の語る浪曲。
悪いはずはありません。
この日は、落語のようにサゲまで語らなくとも、今日はここまで!
とブツッと終わらせることが可能だと浪曲の特性などを面白おかしく説明してくれます。
そして、本編として語り始めたのは、師が50作全部を浪曲として完成させようとしているという『男はつらいよ』
しかも、第17作を演るというのです。
『寅次郎 夕焼け小焼け』
太地貴和子さんがきっぷのいい龍野芸者を演じた、あの名作です。
浪曲は、語る太福さんの傍に三味線で合いの手を入れる方がいます。
この日は、まだ二十代と思われるチャーミングな方がその役を担っていらっしゃいました。
と言うか、いつもあの方が一緒なのかな?
なにしろ、おそらく楽譜のようなものがあるわけではなく、話の調子に合わせて三味を弾き声をかけるのですから、一朝一夕に合うわけがないのです。
いやあ、いいものを聴かせていただきました。
うっかりすると涙が溢れてきそうでした。
この日の反省会はなし。
太福師匠の名調子を反芻しながら素直に帰宅しました。