今年は新しい現場にばかり飛び込みました。
その理由のひとつとして、自分の芝居に「飽きた」というのもあります。
同じことばかりやりたくない。
今よりもっと成長したい。
という気持ちが強かったから。
で、これって「自意識」が邪魔をするんだなって思ったりもしました。
ある程度業界でも評価もあって、ファンもいる。
そうなってくると、そこへの自意識が働く。
【いつもと違う自分】への拒絶反応が起こるんです。
評価が変わったらどうしよう、ファンが求めていないものだったらどうしよう。
だから、いつも通りの芝居をする。
その為に、演出家のやりたいことや作品の方向性を捻じ曲げる。
捻じ曲げるは言い過ぎかもしれませんが、道が分かれたときに、「いつもの自分」を選んでしまう人はとても多いように感じます。
僕は、それをくだらないと思うタイプです。
自分にも経験値が備わって来たし、人よりも芝居に情熱を注ぎ、勉強している自負はある。
だからこそそれが邪魔をすることもある。
「そんなの聞いたことないな」「それって面白いの?」「演劇のルール的におかしくないか?」議論することは大切ですが、拒絶することは違うと思います。
ただ自分がやったことがないだけでだったら言語道断。
演出家がまだ経験不足で未熟なことだってある。
だけど、それだけで、演出家の言っていることを拒絶するのは違う。
まずやってみる。
それで、叶えたいものの実現を一緒に考える。
「これに付き合っていたら、自分の評価まで下がっちゃう」という自意識は捨てた方が絶対にいいと思うのです。
それって、思い込みだから。
毎度毎度、
新しい伊藤裕一。
今まで観たことがない伊藤裕一を見せることが、僕の「いつも通り」であり、皆さんにとっての「それでこそ伊藤裕一」でありたいと思っています。