オーディションに受からないと仕事はもらえない。
僕らの世界には、厳しい競争を勝ち残った【勝者】しかいないのか。
結論から申し上げると、僕は、そうは思っていません。
というか、むしろ【どんなに負け続けても諦めなかった人】だらけだと思っています。
オーディションと言うのは、単なる実力勝負ではありません。
役のイメージや、他役とのバランス等様々な要素で判断されます。
我々プロの俳優に対して「あまり上手じゃない人・素人っぽい人がほしい」なんてのうのうと言ってのけるオーディションもまれにあります(笑)
だから、オーディションに受かることは、必ずしも「勝利」ではない。
だけど、落ちることは何故か「敗北」に感じる。
また、「敗北」はオーディションに落ちることだけではありません。
「演出家や監督の理想を果たせなかった」
「納得のいく評価が得られなかった」
「みんなの足を引っ張った」
などなど。
あちこちで、僕達は「敗北」を味わいます。
伊藤裕一@McGuffin_11
「悔しい思いをたくさんしてきた人」の表現が大好きなんです。 僕自身もそうであるから。 澱んだ空気をいっぱい吸ったからこそ、僕は人より鼻が利くんだと思っています。… https://t.co/QDOIa6Zylz
2023年05月25日 00:37
つい先日、こんな自分に酔ったツイートをしましたが、この世界にいればいるほど、それはありありと感じます。
と、いうか99%の人はみんなそうなんです。
もちろん、【順風満帆】傷つくことなく来た人もいます。
本当にごくごく少数。
ある意味で、そう言った人たちの表現はとても魅力的です。
浮世離れし、美しさすら感じる。
共感はできないけど、共感できる演技だけが面白いわけじゃない。
だけど、どんなに順風満帆に見えている人でも、恐らくとてつもなく悔しい思いをしてきているはずなんです。
あとは、それとどう向き合うか。
力に変えるか、隠すのか。
はたまた「敗北を認めない」か。
以前からよく、劣等感や自己嫌悪の話をしています。
これらには、呑まれる。
呑まれてしまうと、消えたくなる。
それで辞めていった人もたくさんいる。
だから、蓋をしている人もとっても多いです。
だけど、これらととことん向き合うことができると、もっと先へいけると思うのです。
ここでしか見れない景色があって、嗅げない匂いがあって、痛みがあって・・・。
自分の嫌なところをとことん嫌って、傷ついて、それでも変えられないものもあって。
叶わない人がいて、それでも目指したい理想があって。
ひたすら藻掻いて、焦がれて、愛して、限界を超えて。
それをぜんっぶひっくるめて、自分の表現にのせる。
飼いならす必要はない。
僕なんか、自己嫌悪は3日に1度は襲ってくる。
きついけど、戦うしかない。
食い殺されないように。
全力で。
命を懸けて。
僕が魅力を感じる人たちは、そんな危ういバランスに自ら勇気をもって飛び込んでる。
笑顔で。
格好いいんだよなぁ。