「役を演じるときに大切にしていることは何ですか?」

 

という質問をよく頂きます。

 

これ、答えるのが実はすごく難しいんです。

 

なかなか一言では言い表せない。

 

と言うか、作品毎に違うんです。

 

一貫して、どんな役を演じるときも同じことを大切にしているわけじゃない。

 

僕の場合はね。

 

例えば、「ピエタ」の場合は、僕は「友子の物語」だと思っていたので、僕がどう動けば、友子がより魅力的に見えるのか(元々魅力的なので、余計なお世話なんだけど)、彼女の心理経路を阻害していないか、どう働きかければ、より自然でチャーミングな表情を引き出して、観客に届けられるか。

 

そんなことを考えて、演じていました。

 

「モノノ怪」の時はむしろ逆。

 

どうすれば、相手俳優(とくに大重さん)の虚をつけるか。

 

予想外のところから飛び出す言動で、徹底的に動揺させる。

 

「モノノ怪」の場合は、大重さんがとてつもなく信頼のおける俳優さんだったからこそできた無茶だと思います。

 

舞台上で安心して殺し合いができた(笑)

 

どちらの作品も、素晴らしい相手役に恵まれて、僕自身もたくさん引き出してもらって、本当に楽しかった。

 

 

もしかしたら、昔どこかのインタビューで、ぜんっぜん違うこと言って、偉そうに講釈を垂れていたかもしれません。

 

けど、その頃からまた僕は変わりました。

 

これからも変わるかもしれません。

 

でも、今はやっぱりその作品によって大切にすることを変化させながら、自分を柔軟にしていくことが楽しいです。

 

もちろん、その根底には、【共演者を信頼する】【相手の為に芝居をする】ということがあるのかもしれません。

 

これだけは、ずっと変わらないのかもしれない。

 

皆ここまで読んで思ったよね。

 

「あるやん」って。

 

へへっ。

 

完了