オタクの地雷を踏み抜く発言
みたいなハッシュタグが流行った時に、「ミュージカルに対して『なんで歌うの?』って疑問を持つこと自体がナンセンスだ。そういうもんだから」みたいな意見を見かけました。
歌舞伎に対して、「どうしてああいう喋り方なの?」
宝塚に対して、「どうして女性が男性を演じるの?」
と聞くのと同じだと。
まぁまぁ、確かに仰る通りだなぁと思います。
これをみて「よう言った!」と思った方も多いと思います。
エンターテイメントを楽しむうえで、うだうだ「何で?」と、人が好きなものを批判する姿勢は感心できません。
こっちは好きで見ているんだから、余計なお世話だ。
と思うでしょう。
ただ、これは我々演じる側は、ちょっと違う考え方を持っていた方がいいのではないかと思います。
ミュージカルに本格的に挑戦させて頂くようになって、2年。
まだ、たった2年の僕ですが、「どうして歌うのか?」ということについては、常に考えていました。
色んな人に質問しました。
だけど、多くの方は「そう言うものだから」「疑問に思ったことはない」としか答えててくれませんでした。
でも、やはり僕が凄いなぁと思う方々は、歌で物語を紡いでいくことに対して、自分なりの答えを出していました。
ミュージカルの中で歌がある意味をしっかり考えている。
だからこそ、表現に深みがあるのだなぁと。
で、僕もまだまだ歴は浅いですが、自分なりの「歌う意味」については、現段階での明確な答えを出して、納得して作品に向き合っています。
恥ずかしいから、ここでは言わないけど。
ご覧になる方には、難しいことを考えずに楽しんでもらいたい。
だから、最初に紹介したマインドはとても素晴らしいと思います。
だけど、我々クリエイター側は、その発言に「いいね」している場合じゃないと思うのです。
「そう言うものだから」は暴論。
いつか、ただの真似事になってしまい、ミュージカルを産み出した人たちが何故産み出したのか、どうしてミュージカルが素晴らしいのかを理解していない人だらけになってしまうと思うのです。
演技もそう。
抑揚って、再現するものじゃない。
だけど、まずは模倣から入るから、初期は「抑揚」を作ってしまう。
セリフを唄うとか言われちゃうヤツですね。
だけど、大切なのは、その「感情」になること。
そうすれば、自然と抑揚ってつくんです。
だから、その仕組みを分からないでいると、ただ音だけをなぞっていることになる。
やっと、ミュージカルでも、そのあたりの部分にアクセスできるように、頭が回るようになってきた気がしています。
出来なかったことが出来るように、分からなかったことが分かるようになっていくのは、とても楽しいですね。