最近、とても「託す」ことについて考えます。
自分の活動フィールドや、演じる役も変わってきて、より一層感じるのかもしれません。
運よく、僕は「何代目」という形で、「誰かが作った役」を演じることをあまりしてきませんでした。
立ち上げに関わり、クリエイティブスタッフと役を作り上げてきたことが多いです。
その役自体が、たくさんの方に受け入れて頂くこともたまーーーにあり、苦労して作り上げてよかったなと思います。
苦労が多ければ多いほど、少なからず、作った「役」に愛着が産まれます。
人に渡したくないといことではなく、大事にしてほしい。
関わった多くの人や、愛してくれている人に敬意を持ってほしい。
僕の中で、重要なのは、その役、作品を「愛しているか」。
お客様に、楽しんでもらうために言葉を選んでいるか。
逸脱していないか。
自分のためだけにやっていないか?
ただハッシュタグを置いてきて、後でエゴサするのが楽しくなっていないか?
ちゃんと台本を分析して、その世界観の中で考えられているのか?
そもそも、鍛錬を怠っていないか。
自分がそこにいるだけで、観客が満足してくれると思ったら大違い。
そう言うことがとても気になっていた時期もありましたし、低い意識で演じられて、とても嫌な思いをしたことも何度かありました。
スタッフと頭を抱えたこともしばしば。
共演したこともない人が僕のエピソードを語って、オーディションを受けたり、紹介もしていないのに、僕の名前を出されることもしばしば。
僕とのエピソードを語る「知り合い」はとっても増えました。
おいしそうな匂いがするぞ!
じゃ、ないのよ(笑)
俺ごときの、こんな小さい影響力を利用しようとしてどうする!
いちいち否定するのも疲れたし、あまりに多くて辟易していた時期もありましたが、俳優になるモチベーションは人それぞれです。
だからこそ、巻き込まないで欲しいなと思うことも多いです。
それにお客様も、くだらない下心にはすぐ気づく。
実力を身につけなければ、自己顕示欲に呑まれて消えていくしか道はない。
演じたいのか、チヤホヤされたいだけなのかは、見ていれば分かりますよね。
そんなことに、役や僕を利用してほしくない。
自分が愛した場所、プライドをもってやっている仕事を適当に扱われると、とっても悔しいです。
そんなことが幾度かあって、さらに時は流れて、またそんなことを思い出すことがありました。
ただ、あくまで僕は作り手の一人でしかないわけで、所有権が僕にあるわけじゃない。
そう思った時に、なんかスッと何かの力が抜けていくような気がしたんです。
肩だな。
もちろん最後まで責任を持つということも大切。
だけど、僕の人生の時間よりも、役が長く生きられることもあるかもしれない。
そんな魔力を持った役を作れたのだから、あとはもう託したほうがいいんじゃないかと思いました。
やれることは全部やったし。
あとはもう、煮るなり焼くなり。
進化を期待して。