30代も後半。
なんか最近、趣味が増えたなぁと思います。
で、どうしてこうなったのかを考えて、一つの仮説を立てました。
それは、「失われたプライベートの時間を取り戻そうとしているのではないか」という説です。
アリとキリギリスの話ではないですが、僕たちの仕事は本当に積み重ね。
若い時に遊んでいたツケはきっと年を取ってからくる。
そんなことを意識していたかどうかは分かりませんが、若いころはただただ無我夢中で、なんとかして俳優として生活していくためにプライベートの時間を全部犠牲にしてきました。
趣味なんてなかったし、趣味は本当に仕事だった。
舞台の本番を2ステージやって、22時から朝の6時までリハーサルをやって、4時間だけリハルームのヨガマットの上で仮眠をとって、10時には劇場に入るなんて生活を平気で何年も続けていました。
それが楽しくて仕方がなかったし。
Twitterに出てきた広告ですらこういってるんだから、もう当たり前なんですよね。
青春を全部かけるってのは。
いくつもの現場を掛け持ちしていて、給与明細には1月に50日現場と書いてあることもありました。(稽古はお金が出ないことがほとんどなので、実働を考えるとゾッとしますね)
だけど、ギャラが安かった(笑)
入りが間に合わないからタクシーで現場に向かって、タクシー代にも満たないギャラをもらうなんてこともありました。
だけどね、とにかく僕はたくさんの現場に出たかったんです。
自分を知ってほしかったから。
伊藤裕一@McGuffin_111万のギャラの仕事を100回やったら100万円もらえるわけで、仕事選ばずなんでもやって100回現場に出ればいい。 ギャラが安いとぼやく前に。
2021年03月04日 23:30
こんなこと言っていました。
いつも思うんだけど、これは当事者には響かない。
だし、そういう人の目を覚まそうと躍起になること自体意味がない。
だけど、「俳優になりたい!」と僕に言ってくれた人がたくさんいて、彼らが僕のTwitterを見てくれていると思っているので、たまぁにこういうメッセージを発信しています。
手遅れになる前に。
どの仕事でもそうですが、僕らの世界の手遅れは、分かりづらいです。
「食えない」が続くと「食えない」ことに慣れてしまうし、「いつか」を信じて生きることがある意味で当たり前だから。
手遅れになっても、その状態をいつまでも続けることができるんです。
アルバイトで食いつなぐことはできるから。
自分は何にもしなくても、オーディションは世界中でほぼ毎日開催されているから。
受からなくても、オーデイションに参加してたら、なんか頑張ってる気分にもなるし。
1万円をもらうためには、6:4の契約だったら自分のギャラを16700円以上にしないといけないわけです。(源泉のことを考えるなら、18500円以上)
まず一番最初の目標がそれでした。
というわけで、趣味に費やせるほどお金がなかったというのもあるけれど、そうやってすべての時間を使って演劇に打ち込んできたから、お金もほとんど使わないので、ちょっとずつ貯金もできるようになって来たのが、30代の前半でしょうか。
で、このあたりで世界の広さを知るわけです。
今までの自分じゃ全く太刀打ちできない、凄い俳優さんたちとの出会い。
そこでまず習い事やインプットにお金を使い始めることになります。
で、35くらいでこの習い事も大体生活圏内でできたり、稽古の帰り等に組めるくらいの心の余裕ができてきて、はじめてプライベートの時間ができるわけです。
僕の場合はね。
早い人はもっと全然早いし、僕は遅い方だと自分で思っています。
ただ、それについては以前もお話した通り、才能がないから。
才能がない分、作戦を立て地道にやってきました。
だから、こんなに時間がかかった。
けど、ご飯は食べれているし、趣味に時間とお金を使えるようになった。
これは本当に多くの俳優を目指す人にとって勇気を与えられることだと誇っています。
で、さっきの仮説に戻るのですが、やっぱり30代も後半にさしかかり「美味しいものが食べたい」とか「ゆっくりしたい」「のんびりしたい」という気持ちが前より出てくるわけです。
でも、いざプライベートの充実を・・・と思っても、ご飯が食べられていなかったらそんなこともできないわけです。
そして、やっぱり20代の時ほどの無理は効かないわけです。
だから、ここまでにはやっておいてほしい。
若いころは舞台に立つにもチケットノルマがありました。
このチケットノルマが役者を蝕むなんて言いますが、要はノルマ分のチケットを売ればいいだけ。
ノルマ以降はギャラになるんだから、うだうだ言うよりも、まずチケットをどうやって売るかを考えた方が早いし、ノルマのある劇団の方が多いんだから、そこでノルマ以上に売り上げて経験とお金を稼げばいい。
ブログだってTwitterだってなんだって無料で始められるんだから。
仕組みに文句を言いたくなることも多いです。
だけどね、その仕組みの中でもちゃんと得をする方法があるので、自分を安く見積もらず、頭一つ抜けてほしいと思うんです。
だって、そういう一握りの人が成功する世界だと思っているでしょ?
自分から一握りに入って行かないでどうすんのよ?と。
僕が尊敬する多趣味な先輩方は、みなさんものすごいお芝居が好きな方が多いです。
きっと、若いころがむしゃらにやって来たんだろうなぁと思うのです。
そして、自分のスキルアップに余念がないです。
皆さんのがむしゃら話を聞くと、自分なんてまだまだだなぁと思うことも多々あります。
実は自分が今何をするべきかって言うのは、実は明白で、誰しもが眼前に突き付けられているんだと思います。
その壁を乗り越えるにあたり、必要なのが圧倒的なパワーなのか、それともテクニックなのか。
それを見極めて、パワーで崩せる壁は、なるべく若いうちに片づけておいた方がいいと思います。
ただのパワーでも、壁を壊したことは達成感にも繋がりますから。
気が付いたら一握りになっています。
そう言うものです。