はい! 奈央です。
昨日、年輪の不思議 導管の配列区分の違いというテーマでブログを書きました。
そこで、広葉樹には様々な導管の配列区分があることが分りました。
しかし、それよりもさらに広葉樹と針葉樹との間に構造の違いがありそうだということになり、今回は、そのあたりの事を書きたいと思います。
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比重の違い
針葉樹と広葉樹は、木材にしたときの性質も違います。
日本では、針葉樹は比較的速く成長するので、木材は軽くなります。
一方、広葉樹はどちらかというとゆっくり成長するものが多いので、一般的に材質が緻密になって重たくなります。
木材の重さを表す「比重」
【針葉樹】
- スギ 0.30 ~ 0.45 *屋久杉 0.4 ~ 0.56
- ヒノキ 0.34 ~ 0.54
- アカマツ 0.42 ~ 0.62
- カラマツ 0.45 ~ 0.60
【広葉樹】
- ミズナラ 0.45 ~ 0.90
- クリ 0.60
- ケヤキ 0.47 ~ 0.84
- ヤマザクラ 0.62
- キリ 0.19 ~ 0.40
ただし、針葉樹・広葉樹の中でも例外があります。
たとえば、針葉樹でも屋久杉のようにゆっくり育った木は、重たくなります。
また、広葉樹でも桐たんすや桐下駄の材料になるキリの木はものすごく成長が速いため、国産の木の中では最も軽い木です。
キリ(桐)の柾目
木材博物館HPよりお借りしました。
構造の違い
針葉樹の木口面を顕微鏡で見ると、円形または角ばった細胞が並んでいます。これを仮道管といいます。
これらの細胞は、春から夏にかけて成長した大きく壁の薄い細胞群(早材)と、夏から秋にかけて成長した小さく壁の厚い細胞群(晩材)が順次並んでおり、これにより年輪が作られます。
針葉樹・カラマツの木材構造の3次元画像
Forest Intelligence by NOBO Laboratory HPよりお借りしました。
早材と晩材の仮道管の違い
スギ材の構造Q&A 兵庫県立農林水産技術総合センター森林林業技術センター木材利用部資料よりお借りしました。
道管と仮道管
導管と仮道管は、どちらも植物の根から吸収した水分や養分を運ぶための組織ですが、構造と分布が異なります。
導管は、主に広葉樹を含む被子植物にあり、上下の細胞壁に穴(穿孔)が開いて連続した太い管状構造で、水の通り道がまっすぐです。
一方、仮道管は、主に針葉樹を含む裸子植物やシダ植物にあり、両端が尖った紡錘形で、側壁の壁孔を通してジグザグに水が移動します。
針葉樹の仮道管
仮道管は長い、両端が尖った紡錘形をし、二次細胞壁が厚くてリグニン化した死んだ細胞で中身はありません。
その特徴は、紡錘形をした細胞の側壁に壁孔(下の写真参照)と呼ばれる、その部分だけ二次細胞壁が形成されない孔があることです。
幾つかの仮道管が、上下ずれて側壁同士で接触していますが、多くは壁孔でお互いにつながっています。
仮道管は上下につなぐ壁孔はありません。水は、壁孔をとおって隣の仮道管に移り、さらに別の仮道管へ、壁孔を通って移動する、いわばジグザグ状に移動します。
裸子植物やシダ植物では仮道管が主となる水や栄養塩の通道組織となっています。特に、針葉樹では道管はなく仮道管だけが水の通路となっています。
スギ仮道管のSEM写真
スギ材の構造Q&A 兵庫県立農林水産技術総合センター森林林業技術センター木材利用部資料よりお借りしました。
一方、道管は、主に広葉樹を含む被子植物にありますが、生きている細胞が伸長し、厚い二次細胞壁を形成すると、上下にある細胞のつなぎ目部分の細胞壁に大きな孔があいてつながり、長い管状になったもので、死んだ細胞のつながりです。
リグニン化した二次細胞壁の内側は、環状あるいは螺旋状、網状に肥厚していて、特徴ある模様を示しています。
広葉樹ハリギリ(環孔材)の木材構造の3次元画像
Forest Intelligence by NOBO Laboratory HPよりお借りしました。
以上のように、仮道管と道管は構造的に大変違いますが、進化的には、仮道管から道管へ進んできたと考えられています。
仮導管の径や機能と力学的性質との関係
仮導管は、すべての維管束植物の木部で観察される組織で、根で吸収した水や無機塩の輸送と機械的支持を担います。
仮導管の径は、針葉樹では5~80 μm、シダ植物では100 μmを越える内腔の直径を持ち、長さが1.0~5.0 mmの死細胞からなります。
仮導管からなる針葉樹の枝と導管からなる被子植物の枝とで樹液流速や通導度を比較すると、多くの場合は針葉樹の枝の方が低くなります。
これは、仮導管の直径が導管よりも小さいことに起因しています。
仮導管の直径を大きくできない理由としては、力学的支持機能による制約が考えられています。
仮導管の直径を大きくすると、材における空隙率があがって、材密度が低下します。材密度はヤング率(剛性を表す物理量)と比例関係にあるため、材密度の低下は、茎の硬さの低下に直結します。
したがって、仮導管からなる材では、仮導管が力学的支持も行うために太い直径の仮導管を持つことがかならずしも有利になるとは限らないのです。
一方で、導管を持つ材は、力学的支持を直径が細く細胞壁が肥厚した木部繊維が担うため、比較的自由に導管の直径を大きくすることができ、通水効率を向上させられたと考えられています。
ヤチダモの道管
森林総合研究所のXよりお借りしました。
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針葉樹って道管じゃなくて仮道管しか持っていないんだ。
進化の歴史がここにも表れているのね。![]()
ところで、進化の歴史の中で道管にも面白いことが生じたみたいですね。
それについては、後日、ブログに書きたいと思います。
それじゃあ、またね。











