はーい! プラスチックオタクのナオでーす。
昨日のブログまで、高屈折率レンズ材料開発の挑戦の歴史を簡単に説明してきました。
2023年における高屈折率レンズモノマーの世界市場規模は、69.2百万米ドルと予測されています。
高屈折率レンズモノマーの世界4大メーカーは、三井化学、三菱瓦斯化学(MGC)、Miwon Commercial(韓国)、Efirm New Material(中国)で99%以上を占めています。
その中で三井化学は約78%の市場シェアでトップです。
日本のメーカー頑張っていますね。
さて、今回のトピックは超高屈折率レンズ素材開発です。
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三菱ガス化学 世界最高屈折率 1.80
のプラスチックレンズ材料を開発
2015 年 12 月 21 日
三菱ガス化学株式会社(MGC)といえば、現行品の中では最高屈折率 1.76 のプラスチック素材を開発・製造している企業です。
さらに、屈折率 1.70 以上の超高屈折率メガネレンズ用材料市場で、プラスチックレンズの世界 50%以上のシェアを誇るトップメーカーです。
MGCの眼鏡レンズ素材
MGC 光学材料事業説明会資料2023 よりお借りしました。
MGCは、2015年に世界最高の屈折率 1.80 を持つプラスチックメガネレンズ材料(レンズモノマー)を開発したことを発表しました。
化学構造に関して、情報収集を行いましたが、残念ながら、NET・特許等で確たる情報を得るに至りませんでした。
ごめんなさい。
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早稲田大学 屈折率1.8超
分解可能な透明プラスチックを開発
屈折率1.8超、分解可能な透明プラスチックを開発 – 早稲田大学 研究活動
早稲田大学理工学術院の小柳津研一教授らは、分極性水素結合という新たな構造に着目し、1.8以上の超高屈折率と可視光透明性を同時に満たすプラスチックを開発しました。
早稲田大学 研究活動 HPよりお借りしました。
小柳津研一教授らの研究グループは、硫黄を含む水素結合を組み込んだ独自の高分子を設計し、従来達成が難しいとされていた1.8以上の超高屈折率と透明性を両立し、使用後には分解できる新しいプラスチックを開発しました。
研究グループは以前、硫黄を含むポリマーの1つであるポリ(フェニレンスルフィド)の側鎖に、水素結合性のヒドロキシ基を導入することで、屈折率が劇的に向上することを見出しました。
今回の研究は、この概念を拡張し、ポリ(チオウレア)に初めて着目したものです。
(a) ポリ(チオウレア)の分子設計、(b) チオウレアが形成する「無秩序で密な」多点水素結合の模式図
早稲田大学 研究活動 HPよりお借りしました。
チオウレアに含まれる硫黄原子は分極しやすいため、密で無秩序な「分極性水素結合」を形成できる特殊な性質を示し、可視光域 (400-800 nm) で超高屈折率 (1.8) と十分な透過率 (92%以上) を両立しました。
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出光興産・岩手大学 世界初、屈折率1.9を超えるポリマーを開発
2015年11月16日
main.spsj.or.jp/koho/24p.html 24p_3.pdf
出光興産の石井宏寿氏らと岩手大学工学部の大石好行教授の研究グループは、世界で初めて屈折率1.9を超える無色透明の超高屈折率有機ポリマーを開発しました。
高屈折率ガラスや無機ナノ粒子系高屈折率材料では、屈折率1.9を超える材料も知られていますが、ポリマー材料の中では世界最高の屈折率を示します。
超高屈折率有機ポリマーは、農薬や染料などの合成原料として工業的に用いられている塩化シアヌル、アニリン類、ジアミン類を原料として得られ、用いるアニリン類、ジアミン類の選択により屈折率の制御が可能であり、超高屈折率が発現する分子設計、原料選択により、無色透明な屈折率1.98の超高屈折率有機ポリマーを実現しています。
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以上、超高屈折率プラスチックレンズ用材料の開発状況をご紹介しました。
この分野では、日本メーカーが活躍していますね。
はい!
プラスチックレンズ用材料についてはここまでです。
それじゃ、またね。