はーい! 科学オタクのナオでーす。

 

もう梅雨は明けましたか?   良く降るね

今回は、梅雨時期に起こりやすい線状降水帯の事を取り上げたいと思います。

 

線状降水帯と言われているのは、マルチセル型積乱雲の一種です。

 

マルチセル型積乱雲とは

 通常の積乱雲(単一セルという)は、地上と上空の風向・風速の差(鉛直シア)が小さいときに発生しやすいのですが、マルチセル型は、大気が不安定で一般風の鉛直シアが大きいときに発生しやすく、巨大雷雨全体の活動も数時間と長いのが特徴です。

 

マルチセル型積乱雲

Weather Learning Diary HATENA Blig HPよりお借りしました。

 

 線状降水帯が発生するメカニズムの一つとして,バックビルディング型(後ろに形成されるの意)」というものがあります。
 このバックビルディング型というのは,風上に新しい積乱雲ができることで同じ場所に積乱雲の列ができる現象です。

 こうした複数の積乱雲が列をなすことで,その長さは数百キロメートルになることもあり,これを線状降水帯と呼ぶのです。

 

線状降水帯の構造

Weather Learning Diary HATENA Blig HPよりお借りしました。

 

 上図の左側線状降水帯の背面)で発生した積乱雲が、中層の風の影響を受けて右側へ移動し,発達した積乱雲から吹き出す下降気流下層の暖かい大気がぶつかり、ガストフロントを形成します。

 すると地上で空気は収束し,上昇気流に伴って左側に新たな積乱雲が生じることになるのです。

 

ガストフロント: 積乱雲からの冷たい下降気流が水平に吹き出し、周囲の暖かい空気と衝突した際にできる、上昇気流を伴った小規模な前線のこと

 

色と形で気象予報士!HP,よりお借りしました。


 このように,新たな積乱雲が発生し続け、発達した積乱雲が同じ場所で持続的に大雨を降らせることで線状降水帯となり、自然災害を引き起こすというワケです。

 

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 以上の説明では、ガストフロントというのが新たな積乱雲を発生させるうえで重要な働き(いわゆる前線を形成して上昇気流を生み出す)をしています。

 しかし、北部九州、とくに筑後地方の線状降水帯には地形的な要因もあると思います。

 つまり、東シナ海から東に向かって吹く風は、途中、大村湾有明海といった内海水蒸気を補給しながら、久留米、朝倉、日田へと向かうのです。

 

北部九州の地形

花見川流域を歩くHPよりお借りしました。

 

 下図は、平成29年7月の九州北部豪雨を例に取りバックビルディングのプロセスを示したものです。

 まず、東シナ海から東へ向かって、暖かく湿った大量の空気の流入が持続します。

 すると、地形などの影響で空気が持ち上がり、雲が発生します

 不安定で湿潤な大気で積乱雲が発達し、上空の風の影響でそれが線状に並ぶのです

 

海洋研究開発機構『線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす』バックビルディング(後方形成)の模式図 

NTT Beyond Our Planet HPよりお借りしました。

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 2021年より気象庁から提供が開始された顕著な大雨に関する気象情報」の自動検出の条件は以下の通りです。

  1. 前3時間積算降水量(5kmメッシュ)が100mm以上の分布域の面積が500Km2以上
  2. 1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
  3. 1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
  4. 1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過

キキクル気象庁 | キキクル(危険度分布) (jma.go.jp)

 

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もうそろそろ梅雨も明ける時期ですが、梅雨明け時期の雨一番激しいという印象があります。

 

皆さん。

くれぐれも豪雨災害に会われないようご注意くださいね。ウインク

 

それじゃあ、またね。