はーい! 科学オタクのナオでーす。
今回のトピックは、生体内吸収性縫合糸でーす。
医療現場、特に外科手術の際には、生体内で徐々に分解・吸収されていく材料がいくつも用いられています。
生体内吸収性縫合糸はその代表的なものです。
関西大学機能性高分子研究室HPよりお借りしました。
手術後しばらく経って、生体に吸収されて無くなってしまうタイプの縫合糸を生体内吸収性縫合糸と呼びます。
「生体内の糸を分解して吸収する」というのは一種の免疫反応ですから、吸収糸を使用するとある程度の「組織反応」が見られます。
通常この組織反応は軽度であり、組織内でゆっくりと進行するので、外からは判らないそうです。
生体内吸収性縫合糸にはカットガットと言う「牛の腸」を原料とした天然素材の糸と、合成吸収糸とがあります。
縫合糸の種類
Research Gate: Different-types-of-suture-materials-with-their-classifications-natural-and-synthetic よりお借りしました。
天然吸収糸であるカットガットは張力が弱く、早期に分解・吸収されるため組織内での張力の持続力が短いという特性があります。
加えて、組織反応が強く起こるため、特殊な用途以外ではあまり最近では使用されなくなりました。
合成吸収糸は、その素材の種類により多少の違いはありますが、一般的に張力が強く、組織内での張力の持続期間も数週間と長く、3ヶ月から半年くらいかけてゆっくりと吸収されます。
組織反応も少ないため、一般的には合成吸収糸が使用されています。
合成吸収糸の合成反応は以下の通りです。
グリコリドというのは、グリコール酸の環状2量体エステルです。
同様に、ラクチドというのは、乳酸の環状2量体エステルです。
吸収性縫合糸材料の合成反応
合成吸収縫合糸の分解特性
PDS(ポリジオキサノン)系縫合糸を例にとり、その分解特性をご紹介したいと思います。
PDSは、ポリジオキサノンポリマーです。
PDSは、縫合糸、メッシュ、ステープル、クリップ、埋込み型整形外科用デバイス、薬物送達などの多様な用途で使用されています。
PDSは、他の生分解性ポリマーと比較して、in vivo での吸収性、低毒性、柔軟性、屈曲性に特長があります。
通常、縫合糸の特性は、組成、縫合糸の構造、吸収時間、破壊強度保持率(BSR:breaking strength retention)で評価されます。
in vivo(生体内)で測定する場合、破壊強度保持率は、in vivo での伸長下で材料の重大な破損が起こらない時間の目安となります。
この測定法は縫合糸材料に特有のものですが、用途に関わらず、in vivo での材料の一般的な寿命や安定性をその結果から推定することができます。
通常、PDSの生体内での吸収時間は6~9か月で、BSRプロファイルは約6~8週間です。
グリコリドをコモノマーとして添加すると(最大15 mol%)、吸収時間は3~4か月、BSRプロファイルは3~4週間に短縮されます。
ポリ(ジオキサノン/グリコール酸)のin vivo での破壊強度保持率(BSR)に対するモノマー組成の効果
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本来はプラスチックや繊維が入り込めない人体組織の中で、プラスチック繊維の生分解速度をコントロールすることは難しそうですね。
はい! 今回はここまでです。
それじゃあ、またね。







