はーい! 科学オタクのナオでーす。
永らく宇宙のことを書いてきましたが、実は、6月5日に書いたシリーズ ”見える”ってなに?の中の一つの疑問のことを整理するための前振りだったんですよね。
その疑問というのは・・・
宇宙空間には光がないから暗いの?
光にスピードがあって、宇宙がそれ以上のスピードで膨張しているから暗い!
光にスピードがなかったら、何も見えないかも。
ということでした。
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しかし、この回答は理論的には間違いではないのですが、現実的ではないと思います。
というのは、先ず第一に、相対的な地球からの後退速度が光の速さよりも早い星々が存在するのか?という疑問です。
これについては、宇宙が膨張するに従って、宇宙マイクロ波背景放射(3K背景放射)の光子は赤方偏移を受け、現状、宇宙のスケール長に比例して波長が1900 μmまで延びています。
赤外線よりもはるかに長い波長領域ですね。
近赤外線 波長 2.5 μm以下
赤外線 波長 2.5 μm-25 μm
遠赤外線 波長 25 μm以上
それでも、宇宙マイクロ波背景放射(3K)が存在するというのは、宇宙の膨張速度が未だ光の速度までには至っていない可能性を示唆していると思います。
宇宙マイクロ波放射は分布を持っているので、宇宙のどこかに3K放射すら存在しない部分がある可能性も否定できません。なので、あくまで私見です![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
宇宙背景放射の輝度と波長の関係
National Geographic HPよりお借りしました。
第二の疑問が、赤方偏移したとしても、元々短波長の紫外線領域の光が可視光領域に偏移するのではないか?という点です。
先のブログでもご紹介したように、膨張している宇宙の中を進む光は、引き伸ばされて波長が長くなることで、スペクトルの赤色の方に移動(赤方偏移)します。
そして、さらに遠い星なると、赤外線の波長領域にまで偏移し、人間の視覚では捉えることができなくなります。
しかしながら、赤外線領域であろうとも、人間はJWSTのように、赤外線カメラを使うことで、その赤外線の光を見ることができます。
赤方偏移
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240617/13/cypris11/da/32/j/o0462044515452622106.jpg?caw=800)
谷口義明(愛媛大学)唐牛宏(国立天文台)の資料
COSMOS Press Release HPよりお借りしました。
実際、つい最近、宇宙誕生からわずか2.9億年後の最遠の銀河「JADES-GS-z14-0」でさえ、ジェームズウェップ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラNIRCamで捉えることができました。
しかし・・・
可視光が赤方偏移により赤外線領域にシフトするとすれば、逆に紫外線領域の光が波長が引き延ばされて可視光領域にシフトすることは無いのでしょうか?
太陽の場合、可視光よりも短波長の紫外線領域は比較的狭く、スペクトル全体が赤方偏移すれば、可視光領域に残る成分は非常に少なくなり、暗くなることは解ります。
ネオマグ㈱HPよりお借りしました。
しかし、広大な宇宙には、太陽とは異なる波長領域の光を放つ星々が無数に存在します。
恒星は、その光球の温度の違いによって連続スペクトルが変わることの他に、吸収線の強さと種類が異なります。
よって表面温度の系列として、スペクトル型O, B, A, F, G, K, Mが定められています。
さらに各型は0~9までに細分され、例えばA0, A1, A2, …のように分類されます。
下の恒星のスペクトル型で言えば、O型、B型、A型、F型の星々は、G型の太陽よりも高温であり、短波長側に多くの波長成分を有していると考えられます。
恒星のスペクトル型
空と雲のフォト日記HPよりお借りしました。
実際、様々な星々のスペクトル型を下の図に示しています。
G型の太陽よりも短波長側に多くの波長成分を有していることがよく分かるでしょ。![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
G型の太陽よりも短波長側に多くの波長成分を有していることがよく分かるでしょ。
![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
恒星のスペクトル型
宇宙物理メモHPよりお借りしました。
色々な星や星雲のスペクトル
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240622/11/cypris11/38/41/j/o0600040015454488591.jpg?caw=800)
ネオマグ㈱HPよりお借りしました。
以下に各スペクトル型とその特性をまとめました。
O型: 最も高温の青白色星でスペクトル線は少ないです。
O型: 最も高温の青白色星でスペクトル線は少ないです。
B型: 高温の青白色星です。
A型: 白っぽい星です。
F型: 黄白色星です。
G型: 黄色星です。太陽型のスペクトルを持ちます。
K型: オレンジ色星です。
M型: 低温の赤色星です。
以上のように、太陽と異なり、短い波長の光を放出している星々が多数存在します。
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結論: (全くの持論です
)
![てへぺろ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/019.png)
暗い宇宙は真っ暗ではない。
たとえ大きく赤方偏移したとしても、
遠い青白い星々から、可視光は届いている。
それでは・・・
宇宙の膨張が止まったら? 夜空はどうなる?
結論は次回のブログでね。
それじゃあ、またね。