はーい! 科学オタクのナオでーす。
昨日のブログ: 星までの距離はどうやって測定するの?
の続きでーす。
宇宙の歴史を紐解くのに、太陽系外の恒星や銀河系外の銀河までの距離、即ち、過去からの時間を正確に把握することはとても重要です。
つまりは、宇宙の始まりを明らかにすることに繋がるのです。
宇宙の歴史
時空人 goo blog「脳トレ宇宙論ー人類の見果てぬ夢」よりお借りしました。
ということで、昨日の続きです。
星までの距離はどうやって測定するの?
今回のトピックは下のURLを参考にさせていただきました。
宇宙の距離の測り方~三角法からバリオン音響振動まで~ (3/5) - ナゾロジー (nazology.net)
測定方法の概要
*今回は、前回(1と2)の続きで、下の3について説明したいと思います。
- 銀河系の中の近くの星までの距離は、三角測量の原理を使って測定することができます。
- 星の色からは、その星の本当の明るさがわかります。星の本当の明るさと見 かけの明るさを比較することで、その星までの距離が推定できます。
- 近くの銀河などの場合には、星の本当の明るさと色の関係に加えて、その銀河の中にある脈動変光星という星を使うことによって距離を推定します。
- 遠くの銀河などの場合には、銀河の中にあらわれる超新星を基準の明るさとして使うことで距離を推定することができます。
- 非常に遠くの銀河までの距離は、その銀河が遠ざかる速度を使って推定します。
具体的な距離測定方法
3. 銀河系の外にある他の銀河などの距離を推定するのには、「脈動変光星」という星を使います。
同じ銀河系内の比較的近くの星ならば、昨日のブログで紹介した「ヘルツシュプルング・ラッセル図 (HR図)」を使って距離を知ることができます。
しかし、銀河系の外にある別の銀河との距離は、この方法で測定することができません。
そのため、20世紀初頭では、新たに発見されたマゼラン星雲やアンドロメダ大星雲(現在は銀河)が、天の川銀河の中にあるのか、それとも銀河の外にある天体なのか、さっぱりわかりませんでした。
この問題を解決させたのは、アメリカの女性天文学者
ヘンリエッタ・スワン・リービットです。
アメリカの天文学者ヘンリエッタ・スワン・リービット
ナゾロジーHPよりお借りしました。
現在、彼女は女性天文学者として伝えられていますが、もともとはハーバード大学の天文台に、時給30セント(600円程度)で雇われたパートタイマーでした。
天文台では毎日膨大な数の天体写真を撮影し分別しています。しかも、当時は写真乾板を手作業で管理していたので飛んでもなく大変な作業でした。
ハーバード天文台の男性職員たちは、この整理をかなりずさんに行っていて、怒った所長のピッカリングは「うちのメイドの方がずっとマシな仕事をする!」と彼らを解雇して、代わりに女性のパートタイマーを雇ったのです。
その中にいた一人がリービットでした。
リービットは天文台で、セファイドと呼ばれる脈動変光星を探すカタログ作りの作業を行っていました。
変光星とは時間とともに明るさが変化する星のことです。
中には、何百日もかけて変化する星もあります。
変光星が明るさを変える理由には、いくつか種類がありますが、代表的な脈動変光星は、星内部の核融合反応と星の重力のバランスが取れなくなっているために、膨張収縮を繰り返して明るさを変化させています。
ミラの変光星の光度曲線
ナゾロジーHPよりお借りしました。
変光星を探すには、毎日大量に撮影された天体写真の中から、明るさが徐々に変化するものを見つけなければなりません。これはかなり根気のいる大変な作業です。
毎日大量の天体写真と向き合っていたリービットたちパートタイマーは、いつの間にか現職の天文学者より変光星を見つけ出すのがうまくなっていました。
そしてある時、リービットは、変光星の変更周期が長い星ほど明るく輝いており、変光周期が一致していると星の明るさが同じであるという相関関係に気づいたのです。
つまり、変光周期が同じ変光星は、絶対等級が同じだと分かったのです。
これが分かれば、見かけの明るさをもとにして、天体との距離を推定することができます。
このリービットの発見によって、宇宙の天体との距離は一気に6500万光年まで測定可能になったのです。
変光星の変光周期と絶対等級の関係
ナゾロジーHPよりお借りしました。
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天体観測が進んだ現在、脈動変光星には、多くの種類があることが解ってきました。
各種の脈動変光星のHR図上でのおおよその位置
天文学辞典HPよりお借りしました。
脈動変光星の種類と特徴
天文学辞典HPよりお借りしました。
それにしても、リービットさん!
パートタイマーから、女性天文学者にになられるなんて、凄い方ですね。
きっと、鋭い観察眼をお持ちだったんでしょうね。
はい! 今回はここまでです。
続きはまた明日ね。