はーい! 科学オタクのナオでーす。
これまでの宇宙シリーズでは、宇宙の膨張ということがずっと出てきました。
この膨張という特徴に基づいて、遥か彼方の星や銀河までの距離、そして遠い宇宙開闢の頃の姿を知ろうという努力が続けられています。
こんな膨張宇宙の特性を表す重要なパラメーターが、ハッブル定数です。
そう! ハッブル宇宙望遠鏡に冠された天文学者エドウィン・ハッブルの”ハッブル”です。
このハッブル定数を使って、簡単に宇宙の年齢を計算してみましょう!
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ここで参考にさせていただいた情報は下記のURLです。
宇宙の年齢を計算してみよう | KAZELAB (kitakaze.space)
宇宙の年齢を計算してみよう
目的:ハッブルの法則を使って宇宙の年齢を計算する。
1919年、ウィルソン山天文台職員となったハッブルは、当時世界最大の望遠鏡であった100インチフッカー望遠鏡を使って、1923年から1924年にかけて観測を行いました。
その結果、天の川銀河の外にも別の銀河が存在することを発見し、1924年12月30日に論文発表します。
Edwin Hubble
天文学辞典HPよりお借りしました。
ハッブルの法則
1929年、ハッブルとミルトン・ヒューメイソンは、銀河の中にあるセファイド変光星(脈動変光星の1種)を観測し、セファイド変光星の明るさと変光周期の関係を使って、銀河の赤方偏移と距離の間の経験則を定式化しました。
変光星の地球からの距離と後退速度の関係図
KAZLAB HPよりお借りしました。
v = H0 × r
v :その星が地球から遠ざかる速さ
H0:ハッブル定数
r :その星と地球との距離
ただし、この当時、ハッブルは複数ある脈動変光星の型を区別していなかったため、ハッブル定数としては、今日知られている値の約7倍の 500[km/s/Mpc] という値を算出しています。
ハッブル定数決定の歴史 (1936年”536”という値)
天文学辞典HPよりお借りしました。
現在、ハッブル定数は大体 70.5 km/(s・Mpc) となっています。
ここで「Mpc」とはメガパーセクと呼び、メートルに直すと 3.09 × 10^22 m となります。
この「Mpc」をメートルに変えてやると、分母と分子の距離の単位(mとkm)が消え、ハッブル定数の単位を1/s、つまり時間の逆数に直すことができます。
H0 = 70.5 km/(s・Mpc)
= 70.5 × 1000/(3.09×10^22)
= 2.28×10^(−18) (1/s)
ここで、ハッブルの法則を少し書き換えてみましょう。
r / v = 1 / H0
r/ v :地球から現在の距離まで離れた時間
= ビッグバンから現在までの時間
1 / H0 = 4.4 x 10^17 (s)
≒ 139 億年
そうなんです。
ハッブル定数 H0 の逆数を取ると、宇宙の年齢 約138億年にほぼ近い値が得られるのです。
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ただし、以上の計算は、ある意味、偶然の結果なのかもしれません。というのは、宇宙の膨張速度が一定と仮定されているからです。
しかし、実際、ハッブル定数は一定ではありません。
下の1995年頃までのハッブル定数決定の歴史を見ればわかるように、ハッブル定数は年代とともに修正を繰り返しています。
1995年頃までのハッブル定数決定の歴史
天文学辞典HPよりお借りしました。
そして、なによりも、宇宙の膨張速度は一定ではなく、近年、膨張速度が加速しているという観測結果が報告されているのです。
さまざまな宇宙モデルとその年令
国立科学博物館HPよりおかりしました。
さらに問題なのは、ハッブル定数を求めるための方法として、セファイド変光星による測定法 (下図の青色) と宇宙マイクロ波背景放射による測定法 (赤色) がありますが、これらの方法によって得られた結果は、本来一致するはずなのですが、近年では一致しなくなっているのです。
このギャップが”ハッブル緊張(Hubble constant tension)”と呼ばれているものです。
様々な時代と方法におけるハッブル定数の推移
Livedoor News HPよりお借りしました。
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以上、ハッブル定数の歴史とそれを用いた宇宙の年齢計算を紹介しましたが、宇宙というのはまだまだ未解決の問題が山積みだっていうことがよく分かりました。
JWSTの観測結果は、問題解決の糸口を与えるだけでなく、さらに複雑で難しい新たな謎も提供することになるでしょうね。
今後の天文学者さんたちの努力に期待しましょう!
はい! 今回はここまでです。
それじゃあ、またね。