はーい! 科学オタクのナオでーす。
今回はグルタミン酸の番外編でーす。
Chem-Station(ケムステ)HPよりお借りしました。
皆さん、納豆はお好きですか?
私は、いつも朝食の時にいただいています。
最近の納豆って、匂いがほとんどなくなりましたよね。
でも、あのネバネバが苦手って人も多いのではないでしょうか。
実は私も、あのネバネバがちょっと苦手
唇の周りに付くと、すぐ拭き取りたくなっちゃうですよね。
だから、メイクした後はノーサンキューなんですよね。
ところで、あのネバネバは、ポリグルタミン酸といって、グルタミン酸が長く連なったポリマーなんですよね。
グルタミン酸が大体5,000個は繋がっているといわれています。
ポリ-γ-グルタミン酸(PGA)
東洋サイエンス㈱HPよりお借りしました。
納豆を箸でかき混ぜるのは、ポリグルタミン酸の連結を切って、グルタミン酸にするための作業なんですよ。
だから、掻き混ぜた後、美味しくなるのは、グルタミン酸が増えたからなんです。
ところがこのアミノ酸ポリマー、ちょっと変わっています。
自然界に存在するアミノ酸は、通常、L型なのに、納豆のネバネバの中にはなんとD型のグルタミン酸が含まれているのです。しかも納豆の熟成につれて,このD型のグルタミン酸の割合が80%以上にまで増えてきます。
D-グルタミン酸とL-グルタミン酸
Chem-Station(ケムステ)HPよりお借りしました。
もう一つ不思議なことは、一般に地球上のタンパク質は、L型のアミノ酸が α(アルファ)結合しているのに、納豆の糸のグルタミン酸間のつながり方は大変珍しい γ(ガンマ)結合をしたヘリックス構造をとっています。
納豆が糸を引くヒミツはここいらにありそうだと考えられています。
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高知大学農学部 味園春雄氏と芦内誠氏の研究によると、納豆菌においては、グルタミンラセマーゼによって、L-グルタミン酸から光学異性体であるD-グルタミン酸が生成し、次にこの両異性体を基質とするPGA合成酵素複合体に よって,D-グルタミン酸とL-グルタミン酸からなるポリ-γ-グルタミン酸が合成されることが報告されています。(ビタミン、79巻2号(2005))
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納豆の原料は、大豆(大豆の煮豆)、水、納豆菌です。
納豆菌は大豆のタンパク質や 炭水化物を分解し、旨味のアミノ酸と“ネバネバ成分”と香り成分を生産しています。
この納豆菌は、下の写真のような小さく短い楕円形の細菌(バクテリア)(短桿菌)で、土壌微生物の枯草菌 (バチラス・ズブチリス Bacillus subtilis)の仲間で、
学名をバチラス・ナット―(Bacillus natto)と言います。
納豆菌の電子顕微鏡写真
宇都宮大学工学部 柿井一男研究室HPよりお借りしました。
納豆菌は稲につく寄生菌であり、休眠細胞である胞子をつくるため、その他の多くのバクテリアに比べて、生き残り戦略に長けたバクテリアと言えます。
胞子は熱や乾燥にも強く、稲ワラ中で何事もないかのように平然と生き残ります。
そこで、稲ワラに煮豆をつめて保温すると、自然発酵で糸引き納豆に変身します。
これが古いタイプの納豆製造のしくみです。
工場においては、熱い蒸煮大豆に納豆菌を噴霧し、40℃くらいで増殖を開始させ、1日発酵の後、低温で熟成させ、効率よく納豆をつくっています。
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