はーい! 科学オタクのナオでーす。
今回は、3大旨味成分の一つ グアニル酸 についてでーす。
グアニル酸をダントツで多く含む食材は、乾しいたけです。
乾しいたけがすごいのは、三大うま味成分のグアニル酸がほぼ乾しいたけからしか取れないということです。
しかも、生のしいたけにはほとんど含まれず、乾燥させると何倍もグアニル酸が豊富になることがわかっています。
乾燥させると、乾しいたけに含まれる酵素の働きによって、うま味成分のグアニル酸が生成されるのです。
「干すとうま味が増える」というのは、昆布や鰹節にはない、乾しいたけ特有の特徴です。
「しいたけを乾燥させるとうま味と栄養が増す」という事実は、すでに江戸時代にはわかっていたそうで、『食物本草』(1669年)、『食物適用大全』(1683年)、『本朝食鑑』(1697年)などの書物に中国から伝わった乾しいたけの薬効が記されています。
さて? グアニル酸とは・・・
グアニル酸は、イノシン酸と同様に核酸系の旨味成分です。
こんぶネットHPよりお借りしました。
”だし”の中の旨味成分
ALis HPよりお借りしました。
しいたけのグアニル酸は、リボ核酸(RNA)からヌクレアーゼの作用で生成し、さらにフォスファターゼによって無味のグアノシンへと変化していきます。
「乾燥シイタケのグアニル酸について」あいち産業科学技術総合センターニュース2022年3月よりお借りしました。
乾椎茸のうま味成分が生成される仕組み
1.水戻し温度と時間
乾しいたけの水戻しを行なうと、細胞壁の中にあるリボ核酸(RNA)が戻し汁の中に抽出されます。
抽出量がもっとも増える水温は5度近辺です。
冷蔵庫に入れて5時間程戻すと旨み成分の元が増え、加熱後にグアニル酸が4倍以上に戻ります。
水戻し温度によるグアニル酸抽出量
水戻し時間によるグアニル酸抽出量
王将椎茸株式会社HPよりお借りしました。
※常温で長時間(24時間以上)戻すと苦みのある疎水性アミノ酸の割合が増える傾向があるそうです。
1.抽出物の加熱温度
増えたリボ核酸を60~80度で20分程加熱するとリボ核酸分解酵素が働き、旨み成分であるグアニル酸に変わります。
この時、45度~60度の温度帯はヌクレオチド分解酵素が働き、増えたグアニル酸を無味のグアノシンへと変えてしまいます。
そのため、できる限りこの温度帯を早く通過させる事が重要なのです。
しかし、80度以上になるとリボ核酸分解酵素も失活してしまうため、最初強火で加熱して、乾しいたけから気泡が出始めたら弱火にすると丁度良い温度帯になります。
王将椎茸株式会社HPよりお借りしました。
尚、生しいたけでは、細胞壁が壊れていないため、リボ核酸が抽出されにくい事から、旨み成分であるグアニル酸の生成量が非常に少なくなります。
乾椎茸と生椎茸のグアニル酸抽出量
王将椎茸株式会社HPよりお借りしました。
はい! 今回は以上です。
乾しいたけからの旨味成分 グアニル酸 の抽出って、とてもデリケートなんですね。
次回は最後の グルタミン酸 についてレポートします。
それじゃあ、またね。