はーい! 科学オタクのナオでーす。
構造色ってなに? のシリーズも最後になりました。
最初のプロローグに書いたように、構造色を発生させる微細構造には、下図に示すようないくつかの種類があります。
今回は、最後に、(e) レーリー散乱、ミ―散乱について書きたいと思います。
構造色を発現する周期構造
Techno-Synergy HPよりお借りしました。
以下の内容は、下記のURLの内容を参考にさせていただきました。
npointelligence.com/Techno-Intelligence/Theme-D/Theme81(Iro)/sampo-01.html
青い地球と赤い夕焼け
私たちは青い地球に住んでいます。
下の画像は、2009年、月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターからのデータを基に作成された合成画像です。
National Geographic HPよりお借りしました。
なぜ、宇宙から見た地球は青く見えるのでしょうか?
逆に、なぜ、地上から見る空は なぜ青いのでしょうか?
その理由は、主に空気分子の存在によります。
太陽からの光は、波長の短い青い光ほど空気分子によって散乱されやすいのです。
これをレーリー散乱といいます。
レーリー散乱とミ―散乱
大阪市とその周辺の蝶HPよりお借りしました。
太陽光のうち青い光が、空のいろいろな 方向で散乱されて目に飛び込んでくるため、空は青く見えるのです。
東工大名誉教授 渡邊靖志氏 身の回りの色 よりお借りしました。
逆に、朝焼けや夕焼けが赤いのは、波長の長い赤い光が直進して目に届き,青い光は 厚い大気を通過する際に散乱されて除かれるからです。
波長と散乱・直進性
坂元忠夫の絵画教室HPよりお借りしました。
空気の無い宇宙では、光が散乱されないので星の無い方向は真っ暗です。
そして、光が真っ直ぐに届くので、昼間でも星が見えるのです。
火星の青い夕焼け
2012年8月5日、NASAの火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が火星の赤道付近にある「ゲールクレーター」に着陸しました。以来、現在までキュリオシティは、同クレーターと、クレーターの中央にあるシャープ山(アイオリス山)の山麓を約29km走行し、着陸地点から標高にして625m登りました。
その道中で岩石と砂のサンプルを41個分析し、火星の雲や衛星フォボスとダイモスの太陽面通過を観測したり、将来の有人火星探査に備えて火星表面の放射線量を測ったりもしています。
火星探査機キュリオシティ
AstroArts HPよりお借りしました。
そのキュリオシティから送られてきた写真を見ると、なんと火星での夕焼けは地球と違って青いのです。
東工大名誉教授 渡邊靖志氏 身の回りの色 よりお借りしました。
実は、火星の夕焼けでは,地球と逆のことが起きているそうです。
これには2つの要因があります。
- 火星の大気が地球の1/100程度であり、非常に薄いことです。だから,上の部分で説明したような、地球上で 夕焼けを赤く見せているレーリー散乱(波長が短い青い光ほど散乱されやすい)は、火星では無視できるのです。
- 火星では砂嵐が頻繁に起こり、塵が大気に巻き上げられていることです。塵は大気分子よりはるかに大きいので、レーリー散乱とは逆に波長の長い赤い光を散乱し,波長が短い青い光は散乱しにくいのです。
火星では、波長の長い赤い光が大気を長く通る間に散乱されて除かれ、波長の短い青い光がほとんど直進してキュリオシティのカメラに入り、青い夕焼けになるのだそうです。
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はい!
これで、シリーズ 構造色ってなに? はおしまいです。
色の無いもので色を見せる!というのが構造色なんですけど、基本的に、可視光というものの中に、様々な色の光が混在しており、その中からどんな色の光を取り出すか! ということがそれぞれの微細構造の肝でしたね。
しかし、構造色は夜になれば、その色を失います。
光あればこそ映える色
ロマンティックに言えば、虹色の衣・十二単ですね。
照らし出す陽の光あればこそその身絢爛たり
されど、内に秘めたるものこそ真に輝けり
それじゃあ、またね。