はーい! 科学オタクのナオでーす。
今回のトピックは、孔雀さんです。
あの孔雀さんの羽飾りも構造色なんですね。
つまり、色がついているわけではないんですよ。
びっくりでしょ。
ネタ元は下のブログです。
GIGAZINE HPよりお借りしました。
孔雀さんの飾り羽は尾羽とよく言われますが、実際には尾羽ではなく上尾筒(じょうびとう)という羽です。
要するに、尾羽の根元の背中側を覆っている羽で、孔雀さんの場合、この上尾筒が長く伸びて、それほど長くない尾羽を完全に覆っています。
ディスプレーの際には尾羽を用いて下から上尾筒を持ち上げることによって広げます。
尾羽の上側を包む羽の事を上尾筒
、下側を包む羽は下尾筒(かびとう)といいます。
コトリペストリ HPよりお借りしました。
なお、孔雀さんと同じ仲間であるキジの場合、上尾筒ではなく尾羽自体が長くなっているので違いに注意が必要です。
キジのオス
mirusiru.jp HPよりお借りしました。
孔雀さんの上尾筒の目玉模様を実体顕微鏡で拡大していった写真が以下の通りです。
構造色事始さんのブログよりお借りしました。
この写真の左右に走る太い軸が羽軸(うじく)です。羽軸から両側に枝分かれしているのが羽枝(うし)です。
色のついた部分を良く見ると、細かい繊維のようなものが見えます。
細かい繊維は、その羽枝に付いているように見えます。
中心の水色の部分をさらに拡大してみましょう。
繊維のように見えていたのはその羽枝に生えている小羽枝だったのです。
その小羽枝がきらきらと光っているのが分かりますね。
構造色事始さんのブログよりお借りしました。
そうなんです。
孔雀さんの羽の色は小羽枝によるものでした。
それでは小羽枝は、なぜこんな色に光るのでしょうか。
その仕組みを電子顕微鏡で調べてみましょう。
左の写真は小羽枝の走査型電子顕微鏡写真で、スケールバーは20ミクロンです。
小羽枝の表面はつるっとしています。
右の写真が、小羽枝の断面の透過型電子顕微鏡写真です。
驚くような構造が見えてますね。
小羽枝の表面(右上)から11-12層の黒い丸が規則正しく並んでいることが分かります。
スケールバーは200ナノメートルです。
この規則正しい構造が、孔雀さんの輝くような色の正体でした。
この黒い丸はメラニン顆粒で、実は円柱状をしています。メラニンは髪の毛の黒い成分と同じ成分ですが、その顆粒が規則正しく並ぶことで色を作ることができるのです。
構造色事始さんのブログよりお借りしました。
1962年、ドイツのデュラーは電子顕微鏡で孔雀さんの羽を詳細に観察した結果、このような奇妙な構造を初めて見出しました。
羽の色の違いは、主に、メラニン顆粒と顆粒の奥行き方向の間隔で決まります。
間隔が小さいと青くなり、大きくなると緑や赤くなるのです。
このように、結晶のように規則正しく並んだ構造をフォトニック結晶と呼んでいます。
フォトニック結晶は、光を自由にコントロールできる素子として、現代科学の最先端技術の一つにもなっています。
孔雀さんは大昔から最先端技術を使って色付けしていたことになりますね。
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ところで・・・
疑問が一つあるんだけど。
孔雀さんの鮮やかな模様が構造色だと、色はついていないんですよね。
光が当たってはじめて、反射・干渉光を見ているんですよね。
それならば、白孔雀さんは、どうして白いのでしょう?
白孔雀
野毛山動物園HPよりお借りしました。
白孔雀さんは、遺伝子変異でメラニンが羽に付着するのを防ぐ特徴があり、そのため白くなってしまいます。
アルビノ種とは異なり、目の色や皮膚にはしっかりとした色素沈着は見られているそうです。
(このような固体は、白変種と呼ばれているようです。)
白孔雀さんは、幼少期は通常の個体と同じ色であることが多く、成長するにつれて白くなっていくそうです。
そのため、白孔雀さんによっては、全身が白い白孔雀さんもいれば、一部だけが白い白孔雀さんもいるようなのです。
主に遺伝で生まれる白孔雀さんなので、両親が通常の孔雀さんの場合、子孫に白孔雀さんが誕生するのは4分の1の確立だそうです。
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はい! 今回は以上です。
次回は、鳩さんのことを書きたいと思います。
それじゃあ、またね。