はい! 科学オタクのナオでーす。
皆さん、フォトクロミックレンズってご存知でしょうか。
陽射しの強い屋外では勝手に色付きのメガネになり、屋内では勝手に無色のメガネに変わるレンズです。
周囲の明るさに応じて自動でレンズの色が変わります。
フォトクロミックレンズ
Audio Glass HPよりお借りしました。
私たちの眼も、実は同じような変化を行っているのです。
今回はそれについて少しだけご紹介したいと思います。
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以前、ヒト と 動物 の見える世界の違い シリーズで、視覚が生じる仕組みに関して一度ご紹介しました。
今回のシリーズは、前回からもう一歩踏み込んだ内容でご紹介していきたいと思います。
今回の内容は、下記のブログを参考にさせていただきました。
視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3): 光と色と (cocolog-nifty.com)
桿体(かんたい)細胞と錐体(すいたい)細胞
私たちの眼の網膜の奥には、光を感じることができる視細胞があります。
視細胞には、暗い光にも反応するが色を識別できない桿体細胞(杆体細胞)と、明るい光にしか反応しないが色を識別できる錐体細胞があります。
桿体細胞は錐体細胞よりも数が多く、主に網膜の周辺部にたくさん分布しています。
錐体細胞は黄斑部を中心に分布しています。
眼はこの2種類の視細胞によって、網膜に結んだ物体の像の明暗や色や形をとらえます。
視細胞(錐体細胞と桿体細胞)
北海道カラーユニバーサルデザイン機構HPよりお借りしました。
光による桿体細胞の刺激
桿体細胞に含まれる視物質はロドプシンといい、オプシンというタンパク質とビタミンAであるレチナールが結びついた構造をしています。
オプシンと結合しているレチナールは下の図の上の構造をしていますが、光を受けると下の構造になります。
この構造変化(光異性化反応)こそが、フォトクロミックレンズの光変化の正体なのです。
ただし、物質は違いますよ。
ロドプシンの光異性化
光と色とHPよりお借りしました。
レチナールの構造が変化すると、レチナールとオプシンの結合が切れます。
ロドプシンの構造が光で変化するのは、可視光線が分子の電子エネルギー状態を変化させるからです。
この光によるロドプシンの構造の変化が桿体細胞の刺激です。この刺激が視神経を通って脳に伝わり、その結果、視覚が生じます。
なお、オプシンと結合が切れたトランス型のレチナールは暗所でシス型のレチナールに戻り、オプシンと再結合します。
また、レチナールは食べ物から摂取されるビタミンAから作られます。
ビタミンAが不足すると暗所でものがよく見えなくなる(夜盲症)のはロドプシンが合成されにくくなるからです。
光による錐体細胞の刺激
色を感じることができる錐体細胞に含まれる視物質はヨドプシンといいます。
ヨドプシンもレチナールとオプシンが結びついた構造をしていますが、ロドプシンのオプシンとは構造が異なります。
このオプシンの構造の違いにより、ヨドプシンは赤・緑・青の光(色)を感じることができます。
そのため、錐体には、赤錐体(L錐体)・緑錐体(M錐体)・青錐体(S錐体)とよばれる3種類の細胞があります。
この3種類の錐体は、それぞれ約560 nm、約530 nm、約420 nmを中心にある程度の幅をもつ波長範囲の光(色)を感じることができます。
赤・緑・青の錐体の受光スペクトル
人間の色ヒトの色HPよりお借りしました。
眼に入った光が網膜の奥にある視細胞を刺激し、その刺激が電気信号となって視神経を通り脳に伝わります。
その結果、私たちは物体の形や色を見ることができるのです。
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はい! 今回はここまでです。
次回は、視物質のことについて、もう少し深堀りしたいなって思っています。
それじゃあ、またね。