はい! 奈央です。

 

 

以前、海流のことについては、シリーズ 海洋と海流①~⑫でいろいろと書いてきました。

 

 今回からは、海流以外の海洋の特徴、つまり、海の諸相 (波、潮汐、潮流、海水温度差、海水の塩分濃度差)エネルギーとの関係について述べたいと思います。

 これらは、太陽エネルギー天体の引力が形を変えた海洋エネルギーです。

 

 海面上に見られるのほとんどはによって生じます。 

 が吹くと海面に摩擦力が働きます。

 によって海面が引きずられて凹凸ができると、上にでた山の部分は重力で沈み、下の谷の部分は浮力で持ち上がりますが、慣性のため元の位置に留まらないで上下運動を繰り返すことになります。

 この運動は、海水の粘性のために運動エネルギー熱エネルギーに変わるまで続きます。

 これが風波(wind wave)です。

 

波の生成

TriEN+HPよりお借りしました。

 

 によって海面が引きずられて凹凸ができると、上にでた山の部分は重力で沈み、下の谷の部分は浮力で持ち上がりますが、慣性のため元の位置に留まらないで上下運動を繰り返すことになります。この運動は、海水の粘性のために運動エネルギー熱エネルギーに変わるまで続きます。これが風波(wind wave)です。

 は水という媒体を介したエネルギー伝達現象なのです。

 

潮汐

 潮汐(tide)海面の水位(潮位が約半日の周期でゆっくりと上下に変化する現象で、起潮力を復元力として起こる波です。

 潮位が上がりきった状態が満潮(high water)、反対に下がりきった状態が干潮(low water)です。

 

大牟田における潮位差 

TriEN+HPよりお借りしました。

 

  起潮力には月・太陽からの引力と地球が月(太陽)との共通重心の周りを回っている遠心力が関係しています。

 月の引力と遠心力によって海水が盛り上がります。

 この盛り上がった状態が満潮、逆に海水が少なくなった状態が干潮です。

 地球は 1 日 1 回自転するので、満潮と干潮は 1 日 2 回ずつ起こることになります。

 

 

潮汐のメカニズムと大潮・小潮

 

 また、地球に対して月と太陽が直線上に重なると、月と太陽による起潮力の方向が重なるため、1 日の満潮と干潮の潮位差が大きくなる大潮(spring tide)になります。

 逆に、月と太陽が直角方向にずれているときは起潮力を打ち消しあって、満干潮の潮位差が最も小さくなる小潮(neap tide)になります。

 大潮と小潮は、新月から次の新月までの間にほぼ 2 回ずつ現れ、新月と満月の頃が大潮、上弦の月と下弦の月の頃が小潮になります。

 

大牟田における大潮と小潮 

TriEN+HPよりお借りしました。

 

潮流

 潮汐に伴う海水の水平運動潮流(tidal current)です。海流が一方方向に流れるのに対し、潮流は干潮から満潮に向けての流れ(上げ潮)と干潮から満潮に向けての流れ(下げ潮)では逆向きになります。

 

鳴門海峡の渦潮 

兵庫県HPよりお借りしました。

 

海水温度差d

 海洋太陽エネルギーによって表面から温められるため、海水の温度は表面が最も高くなります。

 また、太陽放射の大きな赤道付近の表面水温は、太陽放射の小さな極付近より高くなります。

 さらに中緯度では、夏は温かく冬は冷たいという様な季節変動があります。

 しかし、深度が大きくなるとこれらの変動は小さくなり、600 m 以深では水温は 5~1℃とほぼ一定です。

 

熱帯、中緯度、極地方での海水温の鉛直分布のイメージ

TriEN+HPよりお借りしました。

 

 上の図に海水温の鉛直分布の例を示します。

 表層では深さ方向の水温変化が小さいですね。これは海面を吹く風によって、海水がかき混ぜられているためです。

 この水温変化の小さな層を表層混合層といいます。

 逆に、深さに対して急激に水温が変化する層が躍層です。

 中緯度では、 夏期には 200~400m に大きな水温勾配が見られますが、冬期には見られません。このような季節によって変わる躍層を季節躍層、季節によって変わらない躍層を永温永久躍層と呼びます。

 

塩分濃度差

海洋の塩分マップ

TriEN+HPよりお借りしました。

 

 海水には 塩化物、臭化物、重炭酸塩、ナトリウム、カリウムをはじめとして約80 種類の元素が溶け込んでいます。これらの塩類の濃度は塩分(salinity)として表されます。

 

 塩分は水の蒸発と降水、河川水の流入などによってその大きさが変わりますので、塩分の変動を調べれば海面における降水・蒸発の変化や海洋の循環の強さの変化を知ることができます。

 この具体例として、気象庁ホームページで、日本の南、東経 137 度線に沿った平均的な水温・塩分分布の模式図が示されています。

 ここで水温は等値線で示され、塩分は高いほど赤く低いほど青くなっています。

 

東経137度線に沿った平均的な水温・塩分の分布
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TriEN+HPよりお借りしました。

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 以上のような海の諸相 (波、潮汐、潮流、海水温度差、海水の塩分濃度差)は、最初に書いたように、太陽エネルギー天体の引力が形を変えた海洋エネルギーです。

 

 これらの海洋エネルギー電気エネルギーに変換する技術が研究開発されているのです。

 

 波       波力発電

 潮汐      潮汐発電

 潮流      潮流発電

 海洋温度差   海洋温度差発電

 海洋塩分濃度差 海洋塩分濃度差発電

 

次回から、これらの発電技術について順不同になりますが、ご紹介していきたいと思います。

 

それじゃあ、またね。