はーい! 科学オタクのナオでーす。
磁石って、どうして鉄をくっつけるのでしょうね。ニャ?
それは、磁石の磁力によって、鉄の中の電子スピンを同じ方向を向かせて、強磁性体(磁石)に変化させるためです。
同じ方向に並ばせるという点が重要なんですね。
構造が緩やかだと、揺らぎがあって、スピンもばらばらになっちゃうみたいなんです。
ということで、今回ご紹介する磁石は、金属イオンと有機配位子の複合化によって合成される金属錯体を基にした多次元格子「金属・有機複合骨格(Metal-Organic Framework,略称:MOF)」と呼ばれる分子性多孔性材料です。
二酸化炭素の吸着で磁石になる多孔質材料を開発 ~ガス吸着に伴う構造変化に起因する磁気相変換は世界初~(プレスリリース) — SPring-8 Web Site (spring8.or.jp)
分子性多孔性材料 いかめしい名前!って思ったでしょ。
でもね、正確な化学構造名を言ったら、もっとびっくりしますよ。
「電子供与性分子(水車型ルテニウム二核(II, II)錯体)、電子受容性分子(TCNQ)、およびピラー分子(デカメチルコバルトセニウム)から合成されるπ-スタック型ピラードレイヤー構造化合物」
ひえーっ!って思ったでしょ。
私も思いました。
だから、ポンチ絵で見てみましょう。
分子性多孔性材料 金属・有機複合骨格MOF
SPring-8 Web Site HPよりお借りしました。
この分子性多孔性材料は、その上の構造中、黄色い柱どうしの間に空間があります。
そのため、分子が自由に動ける、つまり揺らぎが起こる許容範囲があるんですね。
この空間には、色々なガス分子(酸素、窒素、二酸化炭素)を取り込むことができます。
これらの中で、二酸化炭素を取り込んだ時に、空間の高さが伸びて、揺らぎの許容性を失って、結果として磁石になるんだそうです。
195Kにおける粉末X線回折結果と横から見た結晶構造
二酸化炭素吸着前後における磁化の温度依存性
SPring-8 Web Site HPよりお借りしました。
これは、-200℃以下の極低温の世界でのお話です。
そう言えば、超電導もちょっと前まで、極低温の夢の世界のお話でしたよね。
でも、リニア新幹線も超電導を利用しているんですよね。
こんな不思議な材料が、やがて私たちの生活環境の中で普通に使うような材料になってくるのかもしれませんね。
はい! 今回は、ここまでです。
それじゃあ、またね。