はい! 奈央です。
水素シリーズの続きです。
今回は、水素を貯蔵する方法の4番目の方法についてです。
1.高圧で圧縮して貯蔵
2.低温で液化して貯蔵
3.金属などに吸蔵・吸着させて貯蔵
4.他の物質に変換して貯蔵
4.他の物質に変換して貯蔵
再生可能エネルギー発電電力をアンモニア、有機ハイドライド(注:適切な触媒反応を介して水素を可逆的に放出する有機化合物。メチルシクロヘキサンなど)などの他の物質へ変換することで、大量、長期、安全に貯蔵・輸送することができます。
これら変換された物質のことを水素キャリアといいます。
再生可能エネルギーからの水素キャリア製造・利用
産総研 福島再生可能エネルギー研究所HPよりお借りしました。
水素キャリア
アンモニア:17wt.%の水素を有する窒化物
1Lの液体アンモニアで、1,300Lの水素ガス(常温常圧)を貯蔵
メチルシクロヘキサン(MCH):6wt.%の水素を有する常温常圧で液体の有機物。
1LのMCHで、500Lの水素ガス(常温常圧)を貯蔵
水素貯蔵能力の高い水素キャリア
インプレスSmart Grid フォーラムHPよりお借りしました。
それぞれの水素キャリアには次のような特徴があります。
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メチルシクロヘキサン(MCH)
トルエン メチルシクロヘキサン(MCH)
メチルシクロヘキサン(MCH)は、トルエンに水素を付加させて作る液体であり、水素ガスと比べると体積当たり500倍以上の水素を含んでいます。
そのため効率よく水素を運搬できます。
さらに、MCHは石油に似た性状の液体のため、既存の石油インフラを活用できるというメリットもあります。
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アンモニア
N2(気) + 3H2(気) = 2NH3(気) + 92kJ
アンモニアを化学式で書くと”NH3”であり、分子構造の中に水素原子が3個含まれています。
アンモニアは、室温でも容易に液化可能であるため効率よく運搬できます。
また、液化水素に比較しても1.5~2.5倍程度の高い体積水素密度を有しています。
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MCHもアンモニアも水素キャリアなので、運搬・移送後、ふたたび水素を取り出すことになりますが、アンモニアの場合、直接燃料として使うことも検討されており、水素を取り出すために必要となる相当量のエネルギーと熱源が不要になるメリットもあります。
NH3+3/4 O2 = 1/2 N2+3/2 H2O + 317 KJ/mol
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水素は危険だ!って思っている皆さん。
水素キャリアという形でならば、危険性はガソリン並み
なーんて思ってみませんか?
しかし、コストがかかるのはどうしようもないですね。
今後、コストダウンにつながるイノベーションに期待しましょう!
次回からは、MCHとアンモニアについて、それぞれ、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
はい! 今回はここまでです。
それじゃあ、またね。