はい! 奈央です。
昨日のブログで、海洋エネルギーのポテンシャルのことについて書きました。
その中で、理論ポテンシャルからいえば、波力と海洋温度差発電(OTEC)が大きく、技術ポテンシャルでは波力が大きいということを紹介しました。
海洋温度差発電(OTEC)は、太陽からの熱エネルギーにより温められた表層海水と海洋を循環する冷たい深層海水との温度差をタービン発電機により電力に変換する方法です。
低い温度域を利用するため、タービンを回す作動流体として、沸点の低い媒体(アンモニアや代替フロン)が用いられます。
海洋温度差発電
TEMs テムズ中日㈱HPよりお借りしました。
とりあえず、下の短い動画をご覧ください。
大まかなことは、この動画で解ると思います。
動画時間: 3分8秒
海洋温度差発電のメリット
○ クリーンで再生可能なエネルギー
化石燃料を燃やしたり、大量のCO2を発生しません
○ 多量なエネルギー供給
海洋温度差発電を建設可能とされている国は世界で約100カ国に及びます。
○ 安定した発電方式
海面と深海の温度差は年間を通してほぼ一定化しているため、海洋温度差発電は年間を通して安定した電力供給が可能とされています。
これは、気候変化の影響により発電量が増減する風力発電や太陽光発電などと違う点です。
○ 深層海水の複合利用
深層海水には豊かな栄養素や貴重な資源も含まれています。そのため、発電に利用された後の深層海水を回収して、その栄養素を利用して魚介類の養殖やサンゴや海草の育成への利用も考えられています。
また、リチウムなどの資源を深層海水から採り出すことの計画されています。
海洋温度差発電の課題
○ 有効な海水の温度差をもつ海域分布
浅層20mと深層 1000 m の海水の温度差の分布を示したのが下の図です。
海洋温度差発電が有効となる温度差は 20 ℃といわれています。
図の黄緑色より赤い場所が候補となる海域です。
日本の場合、沖縄付近の海域が候補地となります。
海洋の表層20mと深海1000mの温度差分布
TriEN+ HPよりお借りしました。
○ 海洋温度差発電のコスト
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の発表によると、海洋温度差発電の発電コストは下記のとおりです。
出力 発電コスト
10MW級 約20円/kWh前後
100MW級 約10円/kWh
これは既存の火力発電や原子力発電に匹敵する、極めて優秀な発電コストです。
ただし、この発電コストは、設置海域を沖縄周辺に設定した場合のものであり、設置場所によってはコストが変わる可能性は十分にあります。
○ 設備の導入コスト
海洋温度差発電には流体の状態変化を利用するための蒸発器や凝縮器、発電機などの機器が必要なので、設備の導入コストが高いという課題もあります。
○ 深海の生態系へ影響を与える
深海から大量の海水を汲み上げるため、深海の生態系への影響が懸念されています。
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海洋温度差発電 安定した発電が実現できるって、夢のような技術ですね。
海に囲まれた日本にとって、この技術を世界に先駆けて進めて行ってもらいたいものです。
はい! 今回は、以上です。
それじゃあ、またね。