はい! 奈央です。

 

 

今回は、水素キャリアとしてのアンモニア(NH3のご紹介です。

アンモニアって、なんか臭い!ってイメージじゃないでしょうか?

でもね。

すっごいポテンシャルを秘めた物質なんですよ!爆  笑

 

水素貯蔵能力の高い水素キャリア 

インプレスSmart Grid フォーラムHPよりお借りしました。
 

先のブログでは、簡単に次のようにご紹介しました。


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アンモニア

 

  N2(気) + 3H2(気) = 2NH3(気) + 92kJ


 アンモニアを化学式で書くと”NH3”であり、分子構造の中に水素原子が3個含まれていて、液化水素に比較しても1.5~2.5倍程度の高い体積水素密度を有しています。

 

 アンモニアは、沸点が -33.34°C、融点が -77.73°Cの常温・常圧ではガス状の物質です。

 ただし、アンモニアは、室温でも容易に液化可能であるため効率よく運搬できます。

 

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 アンモニアは有機物と同様に燃焼によってエネルギーを発生します。

 一方、有機物と異なり、燃焼によって、CO2を発生せず、安全な窒素ガス(N2を発生するからです。

 

NH3 + 3/4O2  →  1/2N2 + 3/2H2O + 382 kJ/mol

H2 + 1/2O→  H2O + 286 kJ/mol

 

 ”アンモニアといえば、思い浮かぶのは刺激臭のある有毒物質」というイメージだと思います。

 でも、アンモニア水として、虫刺されや痒み止めのとして使われています。

 また、硫酸アンモニウム(硫安)として、昔から畑の肥料として利用されてきました。

 そして、硝酸アンモニウム(硝安)として、爆薬の原料としても使われます。

 

 しかし、実はアンモニアには、次世代エネルギーとしての大きな可能性が秘められているのです。


 アンモニア新たな用途としてガスタービン、石炭火力発電混焼、燃料電池(船舶用固体酸化物燃料電池: SOFC )、アンモニア工業炉があります。


アンモニアの用途 

資源エネルギー庁HPよりお借りしました。


 また、アンモニアは、火力発電所が排出する煤(スス)に含まれる大気汚染物質「窒素酸化物(NOx)」の対策にも利用されています。

 NOxアンモニアを作用させることで、化学反応を起こし、安全な 窒素(N2水(H2O)に還元する「還元剤」として働くのです。

 

NO2 + NO + 2NH3 → 2N2 + 3H2O 

 

 さらに、アンモニア化学製品の基礎材料としても利用されています。

 世界全体でのアンモニアの用途は、その約8割が肥料として消費されていますが、残りの2割は工業用で、尿素樹脂メラミン樹脂ナイロンなどの原料となります。

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 こうしたニーズのため、世界各地の化学工場でアンモニアが生産されています。

 アンモニアを合成するためには水素が必要となりますが、この水素は主に天然ガスを中心とした化石燃料由来グレー水素ブルー水素が使われていますが、最近では、太陽光など再生可能エネルギー(再エネ)由来の電気を使い、水を電気分解してつくるグリーン水素の検討も始まっています。

 天然ガス再生エネルギーから水素を作り、作った水素からアンモニアを作る過程を下の図に示しています。

資源エネルギー庁HPよりお借りしました。

 

 このように、アンモニアはすでにさまざまな用途で利用されており、その中で、安全に運搬する技術が確立されています。

 陸上ではパイプラインタンクローリーで運ばれ、海上輸送にはタンカーが用いられます。

 安全性に対するガイドラインも整備されています。

 既にアンモニアは、私たちが想像する以上にいろいろなところで生活を支えている物質なのです。

世界のアンモニア需給状況
 世界全体のアンモニア生産量は、2019年で約2億トンです。

 生産国は上位から中国、ロシア、米国、インドが並び、この4ヵ国で世界生産の半分以上を占めています。

 これらの国々は、アンモニア生産に欠かせない化石燃料を資源として持つ国々です。

 日本アンモニア消費量2019年で約108万トンです。このうち約8割を国内生産約2割をインドネシアとマレーシアからの輸入でまかなっています。

日本のアンモニア消費量と輸入量

資源エネルギー庁HPよりお借りしました。

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アンモニアって、私たちの社会を支える基礎原料の一つなんですね。

そして、既に、国際貿易ネットワークの中に組み込まれている安全な物質でもあります。

 

こんなアンモニア水素キャリアとしてのポテンシャルについて、次回のブログでもう少しご紹介したいと思います。

 

それじゃあ、またね。