はーい! プラスチック探偵のナオでーす。
これまで、生分解性プラスチックに関して私の中でトピックって思った記事を偏見と独自の考察を交えてご紹介してきました。
今回が生分解性プラスチック関係の最後の記事ご紹介です。
今回の記事は、2024年1月26日なので、公開ホヤホヤですね。
出処は、国際科学専門誌「Nature Communications」オンライン版です。
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生分解性プラスチックは深海でも分解されることを実証
――プラスチック海洋汚染問題の解決に光明――
独立行政法人製品評価技術基盤機構
2024年1月29日 11時00分
動画時間: 5分22秒
研究成果
◆さまざまな生分解性プラスチック(ポリ乳酸を除く)が、水深や環境の異なる日本近海の5地点の深海底(757 m~5,552 m)のいずれでも、微生物により分解されることを、世界で初めて明らかにしました。
◆生分解性プラスチックを分解する新たな分解微生物を深海から多数発見し、それらが世界中のさまざまな海底堆積物に存在することも明らかにしました。
◆分解が実証された生分解性プラスチックは、世界中のいずれの海域においても分解されると考えられ、世界的なプラスチック海洋汚染問題の解決に貢献すると期待されます。
東京大学、海洋研究開発機構、群馬大学、製品評価技術基盤機構、産業技術総合研究所、日本バイオプラスチック協会は、様々な生分解性プラスチックが、神奈川県の三崎沖(水深757 m)、静岡県の初島沖(水深855 m)、伊豆小笠原島弧海底火山付近の明神海丘(水深1,292 m)、黒潮続流域の深海平原(水深5,503 m)、日本最東端の南鳥島沖(水深5,552 m)の全ての深海で、微生物により分解されることを世界で初めて明らかにしました。
実験場所
Nature Commun 2024よりお借りしました。
生分解性プラスチック表面には無数の微生物がびっしりと付着し、時間と共にサンプル表面に粗い凸凹ができて、生分解が進行する様子が観察されました。
PHBH(PHAの一種)の深海での分解状況(250日後)
Nature Commun 2024よりお借りしました。
深海における生分解速度は、水深が深くなるにつれて遅くなるものの、全ての深海底で生分解されることも確認されました。
水深約1,000 mの深海底では、本研究で用いた生分解性プラスチックで作製したレジ袋は、3週間から2ヶ月間で生分解されることも計算により推定されました。
今回、菌叢解析(16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンシング)およびメタゲノム解析により、深海から生分解性プラスチックを分解できる新たな分解微生物を多数発見することにも成功しました。
さらに、発見した分解微生物は、世界中のさまざまな海底堆積物にも生息していることが明らかになり、分解が実証された生分解性プラスチックは、世界中のいずれの深海でも分解されると考えられます。
本研究成果により、将来の海洋プラスチック汚染の抑制に貢献する優れた素材として、生分解性プラスチックの研究開発の進展が期待されます。
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今回の実証試験に用いられた生分解性プラスチックは、PHA(PHBを含む)、PCL、PBS、セルロースエステル系などのよく知られた材料です。
非分解性プラスチックが、日光や酸素、波、あるいは海洋生物によって、破片~マイクロプラスチックとなり、それらが海底に沈んで堆積しているのでは?と、多くの環境専門家が喧伝しています。
生分解性プラスチックといえど、深海では微生物がほとんどいなくて、どんどんと積もり続ける!とも心配されていました。
でも、今回の結果から、少なくとも生分解性プラスチックについては、深海においても生分解されていくことが実証されました。
心配の種をばらまくことに一生懸命な環境論者の方々にとっては、攻めどころを一つ失ったといったところですね。
ただ私が心配するのは、地上と海底では生分解のプロセスが異なる(酸素の有無は反応プロセスに大きく影響します。)と考えられるため、今後、深海での生分解反応が詳細に解析されていくことを願っています。
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はい!
以上で、生分解性プラスチックに関するトピックは終了します。
長々と続いた本件は、プラスチックの将来を占う意味で重要なことだと思っていますので、ちょっと変わった面から、謎シリーズとしてご紹介させていただきました。
それじゃあ、またね。