はーい! プラスチック探偵のナオでーす。
生分解性プラスチックの微生物分解についてお話ししたいと思います。
今回だけでは終わらないかもしれません。
下の写真は、海で分解する生分解性プラスチックでつくった繊維を実際に海に沈め、その表面を撮影した電子顕微鏡写真だそうです。
幅が1μm、長さが2~4μmほどの微生物がプラスチック表面にびっしりとくっ付いて、分解作業をしていますね。
海洋中でプラスチックを分解中の微生物
東京大学岩田教授の資料よりお借りしました。
そして下の写真は、近年見つかったPETを分解する微生物です。
プラスチックを食べた後が凸凹していますね。
PET表面の柔らかいところを食べて、固い部分を残しているのでしょうか?
PETのフィルム上で生育する細菌(左)、フィルム洗浄後の分解痕(右)
IT Media News HPよりお借りしました。
微生物がプラスチックを分解するときに使う道具は、酵素 です。
私たちが、ご飯を食べて、それを口や胃、腸で分解して栄養分として吸収するのですが、その時も酵素が働きます。
下の図が、PETを分解する酵素です。MHETase と PETase という二つの酵素が共同してPETを分解するそうです。
PET分解酵素
PDBj入門HPよりお借りしました。
*酵素のPETaseは、ポリエステルプラスチック(PET)をモノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)に分解する。そして別の酵素MHETaseが、METをその構成成分であるエチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)に分解する。
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微生物が生合成するプラスチックとして一番有名なのが、PHB(ポリヒドロキシ酪酸)です。
微生物が生合成するので、それを分解するのも容易です。
下の図のように、分解酵素の活性サイトにPHBの分子鎖がきちっと嵌りこんで、分解反応が起こるんですね。
PHB分解酵素との錯体の結晶構造
笹沼裕二のウェブサイトHPよりお借りしました。
(R)-3-ヒドロキシブチレートオリゴマーと分解酵素との錯体の結晶構造。(a) Protein Data Bankに保存されているデータをソフトウェアProtein Workshopで描画したもの。(b) オリゴマーのコンホメーション。二面角と立体配座、および水素結合のN---OおよびO---O 間の距離を図中に示す。
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以上、微生物が分泌する酵素によってプラスチックが分解する例を二つほど紹介しました。
このように、基本、生分解とは、私たちの胃や腸で起こっているのと同じようなことが環境中で起こっていると考えたらいいですね。
はい! 今回はここまでです。
次回は、もう少し、掘り下げてみようかなーって思っています。
それじゃあ、またね。