はーい! プラスチック探偵のナオでーす。
以前のブログでポリマーアロイ(合金の意味)の代表として、ABS樹脂をご紹介しました。
三つのモノマー成分の組み合わせからなるABS樹脂は、多種多様な物性を持った変幻自在なプラスチックであることを紹介しました。
(A) アクリロニトリル Acrylonitrile
耐熱性、機械的強度(剛性)、耐油性
(B) ブタジエン Butadiene
耐衝撃性(ゴムの特性)
(S) スチレン Styrene
光沢性、成形加工性、寸法安定性
meviy HPよりお借りしました。
ABS樹脂の構造式
資源プラ協会HPよりお借りしました。
三つのモノマー成分を組み合わせたものがABS樹脂なのですが、二つのモノマー成分でもそれぞれ異なった性質のプラスチック(ラバー(ゴム))が出来上がります。
それは以下の3種類です。
SAN(AS): スチレン・アクリロニトリル樹脂
NBR: アクリロニトリル・ブタジエンラバー
SBR: スチレン・ブタジエンラバー
テクノUMG㈱HPよりお借りしました。
SAN(AS): スチレン・アクリロニトリル樹脂
SAN樹脂は、AS樹脂ともいわれ、ポリスチレンの耐薬品性や耐熱性を改良するためにできた素材と言われています。
耐熱性に優れているため、化粧品や医薬品業界で広く使用されています。
SAN樹脂は、歯ブラシや化粧ブラシなどの化粧品やパーソナルケア製品の容器に広く使用されています。また、カップ、トレイ、カバー、コンテナ、カセットケース、ジューサー、ミキサー、使い捨てライター、ハンガー、ドアノブなどにも使用されています。
SAN 製品 プラスチックのはてなHPよりお借りしました。
NBR: アクリロニトリル・ブタジエンラバー
ニトリルゴムともいわれます。
NBRは、アクリロニトリルの含量によってゴムの特性が決まります。アクリロニトリルの量が増加するにしたがって、鉱油や炭化水素系燃料に対する抵抗力はたかまりますが、逆に、低温柔軟性は悪くなります。
NBRの用途は、その優れた耐油性を利用した工業用品に幅広く使用されています。
最も使用量が多い分野は、自動車部品関連です。Oリングやオイルシール、オイルホースなどに使用されています。
そのほか、工業用途では、油圧系統、圧力系統に使用される油、燃料、水、薬品などのシール(漏れ止め密封装置)の材料として使用されます。
ニトリルゴム手袋 Metoree HPよりお借りしました。
SBR: スチレン・ブタジエンラバー
SBRは、天然ゴムの代用として開発され、合成ゴムの中で最も多く生産されている材料であり、車のタイヤをはじめとして、さまざまな用途で使用されています。
SBRの特性は天然ゴムと似ており、弾性・機械的強度・耐磨耗性などが優れています。
SBRは、耐熱性も天然ゴムより少し良いのですが、鉱油性に対しては劣ります。そのため、Oリング、パッキン・オイルシールなどのシール材には不向きですが、植物油には優れており自動車のブレーキ液系のシール用として使用されています。
SBR製タイヤ ゴムノイナキ㈱HPよりお借りしました。
以上、ポリマーアロイ ABS樹脂の仲間たちとしてご紹介しました。
三つの成分からなるABS樹脂の原料から二つを取り出して組み合わされたSAN、NBR、そして、SBRとABS樹脂とはまた違う材料に変化しちゃってますね。
ゴム材料に関しては、それだけで数多くの材料がありますので、NBRやSBRに関しては、ゴム材料シリーズをやる時に再登場願う予定でーす。
それでは、今回はここまで!