はーい! 宇宙探偵ナオでーす。
このフレーズ、前にあったっけ?
面白いニュースを見つけたので、ご紹介しまーす。
昨日の氷結晶に続いて、今回は結晶じゃない氷の話です。
SORAE
新しい氷「中密度非晶質氷」を合成?
氷天体には豊富に存在する可能性も
氷の相図と結晶構造 *縦軸は絶対温度 273K が 0℃
日本原子力研究開発機構プレス発表よりお借りしました。
神奈川大学 寺島研究室HPよりお借りしました。
非晶質の氷は、これまで3種類が合成されていました。
そして、2023年、第四の非晶質氷 中密度非晶質氷 が合成されたのです。
非晶質氷と普通の氷や水との比較
SORAE HPよりお借りしました。
中密度非晶質氷の合成
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのAlexander Rosu-Finsen氏などの研究チームは、これまで知られていなかった新しい非晶質氷 中密度非晶質氷 (Medium-density amorphous ice) を合成しました。
中密度非晶質氷の合成には「ボールミル」が使用されました。ボールミルとは、物質を粉砕するための道具です。
頑丈な容器の中に鉄のボールと一緒に氷を入れ、容器を揺すって微粉砕するという単純な仕組みです。
ボールミル
写真中央、金属の容器の中にある白い固体が中密度非晶質氷
SORAE HPよりお借りしました。
研究チームは、普通の氷をボールミルに入れて、-200℃の低温下で粉砕しました。
次に、粉砕した氷を液体窒素の中に浮かべて密度ごとに分離し、X線回折法やラマン分光法といった結晶構造を解析する手法で分析しました。
その結果、これまで知られていない中密度非晶質氷の生成を確認したのです。
宇宙空間は低温で物質の密度が低く、低密度非晶質氷の生成条件が揃っています。
そのため、低密度非晶質氷は、惑星の大気などに存在しており、水の存在形態としては宇宙で最も多くを占めると推定されています。
その一方で、中密度非晶質氷は、木星や土星の衛星といった、氷が豊富で潮汐力を受ける天体に存在する可能性があります。
低温下、潮汐力によって細かく砕かれる氷は、巨大なボールミルのような環境に置かれているようなものだからです。
木星の軌道を回る衛星エウロパの表面は厚さ3kmにおよぶ氷で覆われていて「氷の月」とも呼ばれます。
GIGAZINE HPよりお借りしました。
中密度非晶質氷を、‐200℃から-120℃まで加熱すると、結晶構造が普通の氷と同じになって、大量の熱を放出する性質があります。
これは、水が氷になる時に放出する凝固熱と似たようなものですね。
潜熱の種類と熱量 数値の単位: ×106 J/kg
ユーキャンの気象予報士HPよりお借りしました。
これは既知の非晶質氷にはなかった性質です。
このような熱反応は、氷天体での地殻変動や地震の原動力になる可能性もあるそうです。
氷衛星のテクトニクスと地殻の進化
木村淳、栗田敬(東京大学地震研究所)
エウロパ表面の亀裂
木星の衛星エウロパでも地殻変動か、衛星画像に証拠
AFP BB Newsよりお借りしました。
はい! 非晶質氷の話から、氷天体の地震まで広がってしまいましたね。
今回のレポートはここまでです。
それじゃあ、またね。