はい! 奈央です。
これまで 虹 についてご紹介してきました。
今回は 消える光 についてご紹介しますね。
下の写真は、濡れた路面に映る二人の人影です。
しかし、人影だけが一瞬にして消えちゃいました。
何故でしょう?
東京工芸大学HPよりお借りしました。
実は、反射してきた光は、通常の光と違って、特殊な光になっているのです。
それで、この特殊な光だけが見えないようにすると・・・
あれあれ、人影だけが消えちゃうのです。
(もちろん、二人は動いていませんよー。)
これは、反射してきた光が偏光になっているためなんです。
それでは、ご説明しますね。
光は反射します。
逆さ富士とか有名ですよね。
逆さ富士 富士への散歩道~撮影記~HPよりお借りしました。
この現象は、水面での光の反射によるものです。
(marine: そんなことはだれでもわかってるよ。)
そうですよね。
でもね。
ここに一つ、面白いことが隠されているんですよ。
下の図は、青色(波長400nm)と赤色(波長700nm)の水面での反射率を現した図です。
反射率は、光の入射角に依存していて、入射角が大きい、つまり低い角度で入ってきた光は極端に反射率が高くなります。
水面反射率の入射角(反射角)依存性
Techno Synergy HPよりお借りしました。
低い角度で水面に入った景色が高い反射率で鏡のように映るのは、上の逆さ富士の他に、ウユニ塩湖の風景も有名ですよね。
ウユニ塩湖 HIS首都圏版HPよりお借りしました。
さてさて、面白いことが隠されているというのは、上の水面反射率の入射角(反射角)依存性のグラフで、S偏光とP偏光の反射率が違うという点です。
特に、ブリュースター角と呼ばれる角度では、P偏光の反射率はゼロとなり、S偏光だけが反射されます。
水面のブリュースター角は、53度です。
S偏光とP偏光の反射の法則
シグマ光機㈱HPよりお借りしました。
ここで偏光というのは、光の電場の振動が特定方向に偏った光のことをいい、下の図は直線偏光と呼ばれる偏光の状態を表しています。
太陽や月からの光,身の周りの風景から来る光は、電場振動の方向や位相がばらばらに混じり合った状態の光で、
自然光と呼ばれます。
自然光から直線偏光を作り出すものを、偏光子と呼びます。
偏光子としては、偏光フィルムや偏光板などがあります。
偏光 Techno Synergy HPよりお借りしました。
偏光子の役割は、直線偏光を取り出すということ。
言い換えれば、偏光子内の透過軸方向以外の光はシャットアウトしてしまうということなんです。
それで、2枚の偏光板を平行に置くと向こうの景色が見えますが、垂直に置くと、真っ暗になっちゃうんです。
偏光フィルムの回転と出射する光の強度の関係
Techno Synergy HPよりお借りしました。
ということで、水面から反射してきた光は、S偏光成分になっているので、このS偏光成分だけをシャットアウトするように偏光子をおけば、反射光だけが見えなくなるのです。
濡れた路面に映るS偏光だけを偏光板でシャットアウト!
東京工芸大学HPよりお借りしました。
シグマ光機㈱HPよりお借りしました。
このような偏光子は、すでに私たちの身の回りに数多く使われています。
その代表的なものが、偏光レンズです。
つまり、サングラスですね。
偏光レンズ 東海光学㈱よりお借りしました。
この偏光レンズで見ると・・・
運転時、フロントガラスに映った映像も消えちゃいます!
水の中に泳ぐ魚もしっかり見つけることができます。
魚釣りに最適ですね。
いかがでしたか?
この 反射光を消す! って、
ドラマのトリックに使えそうですね。
それじゃあ、またね。