はい! ナオ でーす。
な、な、なんと、粘菌3連チャンでーす。
コレハジケンデース!
マーリン: ナオ 大変じゃ!
あの Natureから、年金について凄いトピックが出ておったぞ。
年金じゃなくて、粘菌でしょ!
マーリン: おお、そうじゃった!
それで、どんなトピックなの?
マーリン: 聞いて驚くなよ。
農業の始まりは粘菌から っていうトピックじゃ!
えー! それ、本当?
マーリン: 本当じゃよ!
まあ、中身については熊楠先生に解説してもらうから、よーく聞いておくのじゃ!
熊楠: ナオさん、おはようございます。
これはお話ししておいた方が良いかなって思って、マーリンさんに伝えたんですよ。
MyRICOH プリントアウトファクトリーよりお借りしました。
あ、おはようございます。
よろしくお願いしまーす。
農業の始まりは粘菌から
Nature ダイジェスト Vol. 8 No. 4
原文:Nature (2011-01-19)
Slime moulds prosper on the microfarm
土壌に生息する細胞性粘菌は、食物を節約して「種」とし、別の場所に「蒔く」という「農業」を行っている。
社会性アメーバとも呼ばれる細胞性粘菌の中には、細菌という「農作物(食料)」の一部を種として、次の栽培に利用する、事実上の農業経営を行っているものがいるという論文が、Nature 2011年1月20日号に発表された。
ライス大学(米国テキサス州ヒューストン)のDebra Brockらによれば、土壌中に生息するキイロタマホコリカビという種の一部は、食物源の細菌を管理して農業を行っているという。
胞子と細菌を内部に持つキイロタマホコリカビの子実体
Nature ダイジェストHPよりお借りしました。
この粘菌は、食料の細菌の一部を大事に取っておいて持ち運び、移動先で種のように蒔くのです。
こうした「細菌の栽培」は、真菌類を栽培するアリなど、ほかの社会性動物の行動に似ている。
研究チームは、野生クローン35種類のサンプルを集め、その約3分の1が、移動体から形成された子実体中の胞子のそばに、細菌を保持しているらしいことを発見した。
これら内部の細菌は実験室内で増殖することができ、粘菌に集団で移動するように刺激を与えた後でさえも増殖可能であった。
Brockらは、細菌を持ち運ぶクローンを「ファーマー」と呼ぶことにしたのです。
ファーマー、農民っていうことですね。
細菌🦠 が粘菌の食べ物なんですね。
熊楠: 食物が十分にある時は、ファーマーは早々に食べることをやめ、食物の一部を取っておいて、多細胞体で移動するとき「種」として携行する。
もし、移動先に食べられる細菌が十分存在していなくても、ファーマーは、取っておいた細菌を蒔き、増やして収穫して、生きていくことができるそうなんだ。
細菌を持ち運ぶクローンと持ち運ばないクローン細胞性粘菌Dictyostelium discoideum 東邦大学HPよりお借りしました。
熊楠: しかし、栽培には代償が伴うそうなんです。
食物が豊富な時、ファーマーと非ファーマーの増殖を比較すると、ファーマーの子孫のほうが少ないことがわかったそうだ。
おそらく、細菌の一部を食べずに携行用として確保するために、子孫を生み出す能力が削がれているのだろうと考えられています。
なんか、高等生物に似ているね。
さらに、非ファーマーと比べて移動距離も短いこともわかったそうですよ。
ニューヨーク大学(米国)の生物学者Michael Puruggananは、細菌の栽培によりキイロタマホコリカビの定住化傾向が強まることについて、人間の農業社会と興味深い類似性があると考えているだそうだよ。
粘菌って、脳みそないのに、どうしてこんなことができるの?
マーリン: どうした! そんなに衝撃的じゃったか?
だって、どうしてそんな知恵がアメーバにあるの?
マーリン: なにか、わしらには分からない言葉みたいなものを持っているのかもしれんな。
以前、植物同士が地中の根でコミュニケーションを取っているってことを紹介したけど、あれの原型みたいなものかの。
熊楠: 一見するとファーマーの方が有利のようにも思えますが、実際に自然界には、ファーマーじゃない粘菌が多く存在するということは、どちらにも利点と損失があるそうなんです。
何故、わざわざ細菌を食べ残して運ぶようになったかというメカニズムについては謎のままなんだそうだよ。
そうよね。人間社会でも士農工商の時代が長かったし、
蟻の世界にも、軍隊蟻なんていう種類もいるし、
平和的に農業する種が必ずしも有利とは限らないかもね。
熊楠: あれ? ナオさん、雰囲気変わっちゃった?
そう! 仮装研だしね。 ころころ変わっちゃうの。
熊楠: そうなんですね。ちょっとびっくりしました。
それじゃ、今度こそ、さようなら。
また、何かあったら、読んでください。
はーい! 熊楠さんていい人ですね!
はい、今回はここまででーす。
またね。