はい! 奈央です。
金星とは、ビーナス 愛と美の女神 です。
ところが、この女神様 とってもひねくれ者なんですよね。
惑星名とローマ神話の神様の名前の対応
ひねくれ模様 その1 一人だけ逆回り!
下の短い動画、ちょっとだけですので見てくださいね。
ほら! 金星だけ逆回りでしょ。
つまり、金星では太陽は西から昇り東に沈みます。
(天王星の横倒しは別格ですから、またいつかお話しできればと思います。)
ひねくれ模様 その2 自転で1周するのが、1年より長い!
金星は公転周期が約225日、自転周期が約243日と、自転周期のほうが長くなっています。
つまり、太陽を1周するよりも、自分で1周する方が長いんです。
ちなみに、1日の長さは、117日なんですって。
ひねくれ模様 その3 水星よりも暑い!
金星には非常に厚い大気があり、そのほとんどが二酸化炭素です。そのため二酸化炭素の強い温室効果がはたらき、金星の表面の温度は昼も夜も460℃と、もっと太陽に近い水星よりも高くなっています。
(因みに、水星の表面温度は、昼430℃、夜-160℃です。)
太陽系惑星の太陽からの距離と表面温度/平衡温度 物理のメモノートHPよりお借りしました。
ひねくれ模様 その4 秒速100mの風が吹き続ける!
大気中には硫酸の粒でできた雲が何kmもの厚さで広がっており、その雲にさえぎられて太陽からの光が直接地表に届くことはありません。
雲からは硫酸の雨も降りますが、地表があまりにも高温なため、地表に達する前に蒸発してしまいます。
金星の大気の上層では、秒速100mもの風が吹き荒れていて、たったの100時間弱で金星を1周してしまいます。
この強風を「スーパーローテーション」と呼びます。
ひねくれ模様 その5 1日が20年で6分も長くなっちゃった!
ヨーロッパ宇宙機関の報告によると、金星探査機「ビーナス・エクスプレス」の観測から、金星の自転が以前の計測よりも遅くなっていることがわかったそうです。
1980~90年代、ソ連の探査機「ベネラ」やアメリカの「マゼラン」が行ったレーダー観測で、厚い雲のヴェールに包まれていた金星の地表の様子が初めて明らかになりました。
マゼランは、1990年から4年間、自転による地形の動きを観測し、そこから「金星の自転周期=地球の243.0185日」という数値が得られました。
ところが、今回の観測研究では、この自転周期はさらに6.5分長くなっていたのです。
研究発表者であるNils Müller氏(ドイツ航空宇宙センター)は、マゼランの計測は正確だったはずなので、自分の計算が間違っていると最初は考えたそうなんですが、ベルギー王立天文台のÖzgur Karatekin氏の検証により、これが短期的な変化ではなく長期的な差違であることがわかったそうなのです。
20年で 6.5分 って大きい変化なの?って思ったでしょ。
では、地球はどうなんでしょうね。
以前のブログでご紹介しました。
地球の平均太陽年は、100年ごとに 約0.532秒 ずつ短くなっています。
ねっ! 変化のスケールが全く違いますよね。
なぜ、金星だけこんな風に違うんでしょうね?
金星の自転軸は反転したのでしょうか?
過去に、金星内部での核とマントルの摩擦などにより、過去に自転軸の向きの南北が反転したという説が唱えられていました。
つまり、ひっくり返っちゃったということですか。
ところが、フランス国立中央科学研究所のコレラさんたちは、理論的研究やコンピュータ・シミュレーションによって検討した結果、自転軸が反転しなくても、逆自転状態に到達する可能性があることを示しました。
結論から言うと、最終状態はつぎの4種しかないんだそうです。
(1) 自転軸の反転がない正回転(周期76.83日)
(2) 自転軸の反転がない逆回転(-243.02日)
(3) 自転軸が反転した正回転(-76.83日)
(4) 自転軸が反転した逆回転(243.02日)
現在の状態は、(2)か(4)のどちらかなんですけど、実際にどちらの道筋をたどったのかは、まだわかっていないそうなんです。
て次回は、「スーパーローテーション」について、もう少しお話ししたいと思います。