はい! 奈央です。

今回も日食に関係する話のつづきです。

 

 

皆さん、日食ってめったに見ることができないって思っているでしょう。

ところが、毎年、地球のどこかで日食が起こっているんですよ

下の図が、2021年から2040年までに起こる日食の起こる地域を予測したものです。

2035年9月2日皆既日食が日本で起こることが予測されていますね。

 

日食の予測 2021-2040 黒い太陽にロマンを求めてHPよりお借りしました。

 

下の図が、2000年から2040年までの間の日食の起こる回数と時期を示しています。

毎年、2~4回部分食も含めて含めて起こることがわかりますね。

そして、重要なことは、同じような日食パターン18年周期で同じ日時頃に繰り返して起こっていることに気が付きましたか?

そう! これが サロス周期 っていうんです。

 

      青が皆既食、赤が金環食、黄が部分食

サロス周期 塩屋天体観測所雑記帳HPよりお借りしました。

 

日食ってどんな時に起こるのでしょうね。

それは、簡単で、太陽地球の間にが入って、の影が地球に到達した場所で日食が観測されるのですよね。

 

皆既日食と部分日食における太陽による月の影との関係 TANTANの雑学と哲学の小部屋HPよりお借りしました。

 

ということは、新月(朔(さく))の時はいつも日食が起こっているかというと、そうじゃないんですよね。

なぜなら、月の軌道(白道)面と太陽の軌道(黄道)面は、5.1°ずれているからなんです。

だから、白道黄道が交わる2か所の点(昇交点と降交点)付近で、日食は起こるのです。

 

日食の周期 国立天文台暦計算室HPよりお借りしました。

 

でも、交点で、地球太陽一直線(新月にならないと、日食は起こらないですよね。

逆に、月が地球の反対側(満月)にいるときは、月食になってしまいます。

月が新月の位置に来た時に交点を過ぎてしまうと、皆既日食は見られません。

皆既日食は、交点の前後各11°の範囲で見られますが、日食限界(交点の前後各17°)であれば、部分食が見られるのです。

 

太陽が、白道黄道との交点を通ってから、黄道をほぼ一巡し、再び同じ交点に戻る期間を食年といいます。

この食年は、 約 346.62日 です。

 

17 x 2 = 34°は、食年から計算すると、32.29日 になります。

ということは、この日食限界の間に、必ず新月は1回(多いときは2回)あるわけです。

だから、1年に最低2回は 日食 が必ず起こるのですね。

 

日食限界 南極・北極旅行&クルーズHPよりお借りしました。

 

日食の条件 国立天文台暦計算室HPよりお借りしました。


さてさて、もう一度、サロス周期 に戻りましょうか。

サロス周期 塩屋天体観測所雑記帳HPよりお借りしました。

 

サロス周期の呼び名の由来

このサロス周期は、バビロニアのカルデア人(紀元前10世紀~6世紀)には知られていたそうです。

後に、天文学の巨人ヒッパルコスプリニウスプトレマイオスにも知られるようになったそうです。

サロス食の周期の名前として最初に使ったのはエドモンド・ハレーで、1691年のことでした。

  *ハレー彗星のハレーさんですね! ニュートンのプリンキピア出版の重要なキーパーソンです!

ハレーは11世紀のビザンツ帝国スーダ辞典からこの サロス という語を採ったそうです。

ただ、サロスという語は、バビロニア時代において別の周期(3,600年)の呼び名として使われていたものだったそうです。

ハレーのこの誤りは1756年にフランスの天文学者ギヨーム・ル・ジャンティによって指摘されました。

しかし、サロスという用語はそのまま使われ続けているのです。

 

サロス周期の時間

天文学的には、サロス周期太陽周期の倍数が同じ(公倍数)になるために起こる現象です。

不思議なことに、1サロス は以下の四つの時間にほぼ等しいのです。

 

月の満ち欠け(朔望)サイクル: 29.53日

 223朔望月=6585.3212日 (18年 11日  7.7時間、閏年4回)

月の公転周期(交点月): 27.212221日

 242交点月=6585.3575日 (18年 11日  8.6時間、閏年4回)

月の近地点から次の近地点までの近点月: 27.5545505日

 239近点月=6585.5375日 (18年 11日 12.9時間、閏年4回)

食年: 約 346.62日

 19食年=6585.78日     (18年 11日 18.7時間、閏年4回)

 

つまり、約18年周期で、ほぼ同じような、 太陽地球 のランデブーが再現されるのです。

ただし、約8時間の誤差があるので、地球の経度で 120°の位置的なずれが生じるのです

 

つまり、18年後に同じサロス周期日食が起こっても、地球1/3周分ずれているので同じ場所で見ることはできません

同じ経度付近に戻ってくるには、3サロス周期(54年)も長い時間が必要であり、さらに、その時は下図のように緯度の変化が生じるので、全く同じ食分の日食を見ることはできません

 

つまり、一生の内に、同じ場所で同じように見える日食は無いということになりますね。

 

Saros136系列で発生する日蝕 田中君的日常HPよりお借りしました。

 

サロスの系列

1サロス周期の間に起こる223回の月の満ち欠け(朔望)は、それぞれが同様のサロス周期を持っているのです。

同じサロス周期に属する新月を仮にサロスの系列とすると、223種類サロス系列が存在することになるのです。

 

歴史時代に日食を作ったサロス系列には、ゲオルグ・ファン・デン・ベルグ (1955) によって番号が付けられています。

2011年7月1日より前には、117から155までの番号を付けられた39本の系列が進行していました。

その後、156番の系列が南極近海の部分食として発生し、現在は40本の系列が進行しています

2054年8月3日には、117番が消滅するはずです。

日食サロスの系列69~86回(1,226~1,532年間)起こるまで持続します。

サロス系列始まりと終わりは部分日食で、系列の中ほどに約48回の皆既日食または金環日食を含みます

 

ということでした。

それじゃあ、またね。