バンコクといえばカオサン。
カオサンの騒々しさにうんざりし、ちょっと静かな場所に宿を移した。
宿周辺を歩いていると、ラーメンと書いてある提灯を見つけた。
日本&韓国料理屋だった。
店に入る。
ご主人が、頭を下げ、日本式のお辞儀をした。
ニホンジンデスカ?
そこから彼との交流が始まった。
ほぼ毎日、その店に通った。
料理に厳しいタイ。
他の国の日本料理屋に比べ、しっかりしている。
日本のレストランで8年働いていただけのことはある。
ショッピングセンターへの安い行き方。
日本語の本が手に入る店の場所。
彼から、色々情報を教えてもらった。
バンコクは、東南アジアの旅の起点である。
一度タイから離れても、数ヶ月してタイに戻る。
その度に、この店に通った。
「まだいたの?」
なんて、冗談まじりで言われたりもした。
ある時、いつもの場所に提灯がなかった。
そういえば、店の場所を変えるかもしれない、と彼が言っていたのを思い出した。
でも、すぐ近くだよ。とも言っていた。
その通りだった。
あのラーメンの提灯で、すぐに新しい店が分かった。
東南アジアの旅も一区切りつき、バンコクからカトマンズ(ネパール)へ飛ぶことにした。
フライトの前日にも、この店に行った。
まだ、旅の行程を決めていなかった僕は。
「ネパールとインドを回ってくる。半年後くいらいにまた来るよ。」
と言った。
すると彼は。
「もしかしたら、お店もうないかもしれない」
「閉めちゃうの?」
「いいえ、日本料理屋ではなくて、タイ料理を中心としたレストランに変えるかもしれない」
カオサンに比べて、静かなこの近辺。
しかし、バックパッカー用の安宿が多い場所である。
ということは、その連中をターゲットにしたレストランも多い。
確かに、タイ料理を出す安い店はいつも込んでいる。
それに比べて、この店はガラガラという訳ではないが、客数は少ない。
それに、日本人はこの地域にあまり多くない。
なにより、どうしても日本料理は、タイ料理に比べ割高になってしまう。
欧米人ツーリスト向けのレストランの方が儲かるのでしょう。
それはそれでいいと思った。
別に日本料理屋でなくても、きっとまた来る。
「分かった、じゃあまた!」
そう言い残し、僕はカトマンズへと飛んだ。
あれから、10ヶ月。
僕はパラグアイにいる。
バンコクには戻らずに、南米まで来てしまった。
彼の店がどうなっているか、分からない。
いつか確認しに行きたい。
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