こどもホスピスの奇跡 短い人生の「最期」をつくる | 本の音色を聴こう♪

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『アナログ力のすゝめ 結果を出す人がやっているアナログ仕事術』出版

 

ちょいよしNO.3003
若い両親が難病の子供を長期間にわたって支えていくには、それ相応の経済基盤や周囲からのサポートが必要

 

 

  今日のちょいよし本

 

 

 

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余命少ない子供たちが辛い治療から離れ、やりたいことをのびのびとやり、家族と生涯忘れえぬ思い出をつくる。そんな、短くとも深く生きるための場所があったら―。医師や親たち関係者の希望をたずさえ、「こどもホスピス」が大阪、鶴見に誕生した。実現に向けて立ち上がった人たちのこれまで、そしてこれから。貧困やネグレクトなど子供の問題を描いてきた著者が、あらたに問いかける一冊

 

 

  目次

 

第一章 小児科病棟の暗黒時代
第二章 英国のヘレンハウス
第三章 大阪市中央公会堂
第四章 小児病棟
第五章 プロジェクト始動
第六章 TSURUMIこどもホスピス
第七章 短い人生を飾る
第八章 友のいる家

 

 

  こどもの療養環境のことを知りたくて…

 

仕事で「子供の療養環境」についての学習を深めようと思っている。

療養中の子どもたちの気持ち看病するお父さんお母さんの気持ちそれを見守る兄弟の気持ちなどを知り、自分たちの商品(共済・保険)がどのように役立てるのかを考え、仕事のモチベーションに繋げていくためだ。
 

 

その過程で「こどもホスピス」の存在を知った。
「ホスピス」とは、最期のときを穏やかに過ごすために行われる、苦痛を和らげる治療やケアのことを指す言葉で、日本ではそこから、そのような治療・ケアを行う施設のことを指ようになった。

「こどもホスピス」とは、こども専用の施設ということ。

 

難病の子どもたちは、亡くなる時に何を思うのでしょうか。
また、難病を克服して社会に復帰したとしても、ケアが行き届いていないとその後どういう状態に陥ってしまうのか
ホスピスがあるのとないのとで、その差は大きいということを、改めて本書によって知った。

 

 

  ごく普通の子どもとして時間を生きたい

 

亡くなる子供たちが、最期まで抱く願いは〝ごく普通の子供としての時間を生きたい〟ということだそう。
一日、半日でもいいから、普通の園児や小学生としてすごしたいと切望するという。

 

本書にある医師の苦悩が紹介されている。

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治療に励めば励むほど、何か大切なことを置き去りにしているのではないか(P.16)

 

少し前まで、難病の子供に対しては病名や進行具合を伏せることが常識だった。
しかし、それは〝ウソの連鎖〟につながっていく。

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患者の年齢にもよりますが、理解できる年頃の子には病気の説明はするべきなんです。(中略)ちゃんとこどもと向き合って、「この病気は命にかかわるもんやから、しんどいけど今ちゃんと治療せなあかんねん。先生も全力でやるから君も一緒にがんばろうな」と言うだけでわかってくれるし、納得して闘う覚悟を決めてくれる(P.18)

 

ちゃんとした説明を受けていない子供は、耐えがたい治療の苦しみの中で、医師や親から聞いている病気に納得できずに、本当はどうなのかと尋ねてくる。
そして、病状が悪化すればするほど「なんでこんなことしないといけないのか、もう嫌だ!」と治療を拒絶することにつながっていく
すると、お父さんお母さんは、子供に治療を受けさせたい一心で子どもをなだめ、また嘘を重ねて説き伏せる
その結果、病気の本人も、看病する両親も、見守る兄弟も、医師も、誰も納得のいく最期にはならない。

こんな負の連鎖が起きてしまっていた。

 

 

  立派な患者を演じる子どもたち

 

同じ病室には他の子供も入院していて、その親も寝泊まりしている。
我が子が駄々をこねると、まわりに迷惑がかかるってしまうから自分の子どもを叱ってしまう。
子どもにしてみたら、しんどい治療に辛抱しているのに、親にまで叩かれる羽目になる。

 

子どもは、医師や看護師のことを治療を強いる恐ろしい人間だと思っている。
その上、味方になってほしい親までが自分を叱るのだから、いたたまれない。

 

最初のうちは、子供も必死に抵抗するが、次第に体力が衰えてくると、言うだけムダと悟って諦めてしまう
それを見て、医師は子供が治療を受け入れたと都合よく解釈して勘違い…
こうして、医師とも家族とも信頼関係が崩れていく。

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子供って病気になって入院すると、子供らしさを捨てて、急に良い子を演じるようになるんです。(中略)「病気になっちゃってごめんね。私のせいで迷惑をかけちゃってるね」なんて言ってきた。自分が病気になったせいで家族を不安と心配に陥れてしまったと考えるようになったのでしょう(P.113)

 

 

  経済面でも…

 

難病の子供を抱える親の多くは、二十代から三十代と若く、心に余裕がないばかりか、家庭の経済基盤も脆弱なことが多い
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医者が患者のためを思って治療に取り組めば取り組むほど、家庭が疲弊していくという状況が当たり前でした。(中略)周りに難のサポートもなかったせいで、家庭は子供が難病になった途端、あらゆる負担を自分たちで背負わなければならなかった(P.26)
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▷若い両親が難病の子供を長期間にわたって支えていくには、それ相応の経済基盤や周囲からのサポートが必要(P.23)

 

 

初めのうちは、夫婦は手を取り合って全力尽くすが、三か月、半年と経つごとにその絆に亀裂が入りだす。
また、健康な兄弟の方も、放っておかれることが多くなって愛情飢餓に陥ってしまう
放っておかれる方の兄弟が幼ければ幼いほど、病気の兄弟の状況を理解できない。
小児病棟は子どもの出入りが禁止されていることもあって、会って目で見て感じることも叶わない。
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数年かけて治療が終わり、ようやく家族全員が一緒に暮らせるようになった時には、子供の気持ちが家庭から離れて家族関係が壊れていることがある(P.23)
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▷類似のことは両親の間でも起こりうる。両親が手を取り合って子供の治療を支えているうちはいいが、一年、二年と経つうちに、無理が高じてだんだんと衝突することが増えてくる(P.23)
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夫婦間にひびが入った最初のきっかけは金銭問題だった。一般的に小児の難病治療にかかる費用は、「小児慢性特定疾病医療費助成制度」によって大半を助成金で賄えるが、家族の生活費まで補償するものではない。妻が二十四時間付き添いのために仕事をつづけられず家計が窮し、長女と次女の面倒をみるのも難しくなった(P.24)

 

24時間の付き添い、治療費を補うための借金、数年に渡る看病による精神的な負担。
これは、治療中だけに限ったことではないため、子供の存命中から深い関係性を構築してケアを行う必要があると本書は指摘する。
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▷日本では緩和ケアで誤解されていることがあります。緩和ケアって患者さんが亡くなれば終わりだと思われているんですが、実は家族の心の痛みのケアも含まれているんです(P.217)
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小児の難病治療を考える際に、もう一つ忘れてはならないことがある。病気が治った子供たちのその後の人生だ(P.36)
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▷退院後のケアの手厚さが子供のQOLにつながる(中略)病院は治療のための場所なので、治療が終わったら家に帰らせようとします。家族は日常のことを任されますが、素人なのでどうしていいかわかりません(P.161)

 

ケアには、「肉体的なもの」と「環境的なもの」がある。
「肉体的」には、病気や治療による障害(後遺症)、病気のリスクをいう。
「環境的」には、家庭関係にヒビが入っていることによる家庭崩壊、闘病による学業中断で留年や退学を余儀なくされるといった社会的孤立が当てはまる。
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▷「病院に入院していた時は、将来のことより、その日一日のことしか考えられませんでした。退院してからも、学校には友達がおらんかったし、遊ぶことも勉強についていくこともできませんでした、免疫力が低いので出かける場所もなかった。私だけじゃなく、病棟であった友達はみんなそんな思いを抱いていました」(P.3-4)

 

 

  勉強が生きる力に…

 
 ▷難病の子どもたちはちがう。狭い病室のベッドに何年も横たわり、手術でメスを入れられ、抗ガン剤という「猛毒」を体内に流し込まれる。薬の副作用でもだえ苦しんでいても、1人で歯を食いしばって耐えるしかなく、将来像どころか、明日生きている自分の姿さえ想像できない(P.4)
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▷子供は病室でつらい治療を受けているうちに、子供ではなく「立派な患者」として振る舞うようになる。そんな彼らにとって、勉強は自分に未来があることを思い出させてくれるという。計算式を一つ覚えるごとに自らの成長を感じ取る。問題を解いていて褒められて自信をつける。友達や教師との語り合いの中で将来の夢を抱く。真っ暗な闘病生活の中で、勉強はその先の人生を照らす光なのだ(P.193)

 

 

少し、違った視点からは、勉強することで子どもたちが自分の気持ちを明確に表現できるようになるという効果も考えられる。
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▷子供たちって、大人のように意思をうまくつたえられませんよね。大人であれば「こう思う」って言えますが、子供はなかなか言葉にできない(P.256)
▷子供とて、自分の感情をしっかり理解できていないことも少なくない。闘病中ともなればなおさらだ(P.257)
 

TSURUMIこどもホスピスでは、その課題を進展に導いた、自分の感情を明確な言葉で表せる女の子の存在があったという。
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▷大半の子供はボキャブラリーが乏しいので、自分の思っていることを口に出して表すのが苦手ですよね。でも、歩乃果ちゃんは自分の気持ちを踏まえた上で、こういう風に考えているとか、こうしたいということをつたえてくる。だから、彼女と話をしていると、他の難病の子供たちもこう考えているんだろうなとか、こんなふうにしてほしかったんだってわかるんです。歩乃果ちゃんの要求に耳を傾けることが、他の子供の思いをくみ取ることにもなる(P.259)
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▷こうした言葉の一つひとつが、スタッフの子どもに対する洞察力を育てていくのだろう。それが大勢の難病の子供たちを支えることにつながるのだ(P.262)

 

 

  今日のちょいよし

 

若い両親が難病の子供を長期間にわたって支えていくには、それ相応の経済基盤や周囲からのサポートが必要

 

 

最初に、自分たちの商品(共済・保険)がどのように役立てるのかを考え、仕事のモチベーションに繋げていくためと書いた。
まさにこの言葉がそう。

 

 

 

 

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