エンデの遺言「根源からお金を問うこと」 | 本の音色を聴こう♪

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『アナログ力のすゝめ 結果を出す人がやっているアナログ仕事術』出版

 

ちょいよしNO.2997
時間こそが人生そのものなのです。そしてそれは心の中にあります。時間を節約しようとするほど生活はやせ細ってしまうのです

 

 

今日のちょいよし本

 

2003年4月5日第12刷発行

 

Amazon紹介

 

ファンタジー作家ミヒャエル・エンデに導かれて「暴走するお金」の正体を探りに旅立つ。「老化するお金」「時とともに減価するお金」など、現代のお金の常識を破る思想の数々を紹介する。欧米に広がる地域通貨の実践―米国のイサカアワー、ヨーロッパの交換リング、スイスのヴィア銀行などをレポートする。

 

 

目次

 

プロローグ 『エンデの遺言』―その深い衝撃
第1章 エンデが考えてきたこと
第2章 エンデの蔵書から見た思索のあと
第3章 忘れられた思想家シルビオ・ゲゼル
第4章 貨幣の未来が始まった
第5章 お金の常識を疑う
エピローグ 日本でも「お金」を問い直す機運高まる

 

 

ネバー・エンディング・ストーリーの…

 

ミヒャエル・エンデの名に聞き覚えが無くても、『ネバー・エンディング・ストーリー(はてしない物語)』は知っているでしょうか。

エンデはその作者です。

そして、エンデの小説で『ネバー・エンディング・ストーリー』と並んで有名なのが『モモ』

どちらも映画化されるほどの傑作です。

 

本書は、何かのきっかけ(忘れてしまった…笑)から『モモ』を読んだのですが、その時に一緒に買った本です。

 

 

どうして『モモ』を書いたのか?

 

さて、エンデはどうして『モモ』を書いたのどうしてでしょうか?

 

 

この問いについて、エンデは、ひどく外面的な理解しか示されていないと残念がるのです。

↓↓↓

私が『モモ』を書いたのは、現代社会でだれもが忙しくて『時間』のもてない存在になったことに注意喚起させるためだった。あるいは、人びとのストレス状態、世の中のあわただしさを警告するためだった、というのです(P.44)

 

エンデは、もう少し先のことを警告するためだったと言います。

 

「もう少し先のこと」とは何なのでしょうか?

 

それに初めて気づいたのは、ドイツの経済学者ヴェルナー・オンケンでした。

オンケンは、『モモ』には現代の経済システムに関する問題提起が描きこまれていることを発見しました。

↓↓↓

1986年、エンデの『モモ』を読んだオンケンは、それには、〈時間とともに価値が減る〉というシルビオ・ゲゼルの自由貨幣の理論と、ルドルフ・シュタイナーが提唱した〈老化するお金〉というアイデアが描きこまれていると感じ、その考えを「経済学者のための『モモ』」という論文にまとめました。そして、エンデ本人に手紙を書き、自分の考えが正しいかどうか確かめた(P.45)

 

手紙を受け取ったエンデは、自分の本をこれほどよく理解してくれ、老化するお金の概念が『モモ』の背景にあることに最初に気づいたオンケンを心から褒め称えました。

 

 

目減りする貨幣

 

第1次世界大戦の時代、シルビオ・ゲゼル(レーテ共和国)が、『お金は老化しなければならない』という考えを提唱しました

お金で買ったものは、ジャガイモにせよ靴にせよ消費されます。

しかし、その購入につかったお金は無くなりませんから、「モノとしてのお金」と「消費されたモノ」との間では不当競争が発生しているというのです。

モノはなくなりますがお金はなくなりません、だからお金も経済プロセスとして最終的にはなくなるべきだと主張したのです。

 

このゲゼル理論を使って成功した町があるのだそう。

 

それは、世界恐慌時(1929年)のオーストリアのヴェルグルという町で、1億3000万シリングの負債を抱え、400人もの失業者を抱えていました。

この町は従来の貨幣のほかに、〝老化する貨幣〟のシステムを導入しました。

それは、1ヵ月ごとに1%ずつ価値が減少するという貨幣でした。

 

町民は、毎月1%分のスタンプ(シール?)を買って老化するお金に貼らなければなりません。

このお金は時間とともに目減りするので、誰も受け取らないだろうと思われましたが皆が喜んで受け取りました。

そして、持っていても価値が減っていく一方なので、皆がすぐそれを使いました。

 

こうするとお金が回るようになります。

留まることなく(貯まることなく)、経済の輪の中に戻っていくことになるのです。

 

このお金は持ち主を変えれば変えるほど、購買力が大きくなります。

(時間の制約=価値の目減りがあるので早く手放さないといけないから?)

1日に2度持ち主を変えるお金は、1日に1度持ち主を変えるお金より購買力が大きくなると本書はいいます。

 

このシステムを導入して2年後には、ヴェルグルの町から失業者の姿が消えたといいます。

お金を借りても利子を払う必要がないので、皆がお金を借りて仕事を始めたからです。

同時に、町の負債も解消されました。

 

すごいシステムです!

しかし、残念ながらオーストリア国家の介入によって、このお金は禁止されることになります。

この成功を見て、他の町もこのシステムの導入を始めました。

貨幣の発行は国の独占権利であったため、ヴェルグルの町長は国家反逆罪で起訴され、目減する貨幣は回収されてしまったのです。

 

 

今日のちょいよし

 

時間こそが人生そのものなのです。そしてそれは心の中にあります。時間を節約しようとするほど生活はやせ細ってしまうのです

 

 

 

エンデの名言をネットで探してみました。

「時間を節約しようとするほと生活はやせ細ってしまう」という言葉に衝撃を受けます。

スロー(=じっくり)こそが豊かさである。

そう感じた本でした。