身体の中の一部が、あるべき場所から出てきてしまった状態を「ヘルニア」と言います。
医学知識がなかった子どもの頃は、ヘルニアと言えば「脱腸」(鼠径ヘルニア)のことでした。
脱腸で手術したという同級生がいました。
それから「出べそ」(臍ヘルニア)、「腰のヘルニア」(椎間板ヘルニア)があることも知りました。
医学生になってからは、「腹壁ヘルニア」、「横隔膜ヘルニア」(食道裂孔ヘルニアなど)、「脳ヘルニア」などがあることも学びました。
眼科領域では「眼窩脂肪ヘルニア」と呼ばれるものがあります。
眼球を保護している周囲の脂肪組織(眼窩脂肪)が、主に加齢によって眼窩の中にある筋肉や靭帯が弱くなってきたために眼球前部へ出てきた状態です。
目袋は眼窩脂肪が眼窩より前方にはみ出したために生じる下眼瞼の膨らみです。
本来あるべき部位からはみ出した状態というヘルニアの定義からすると、これもまた「ヘルニア」のひとつと
捉えることができます。
機能的には支障がなくても整容的には悩ましい状態です。
この解決には飛び出した眼窩脂肪を除いてあげることが必要で、手術がもっとも確実な治療となります。